61.《ネタバレ》 ロバート・アルドリッチの“漢”を描いた最高傑作が「キッスで殺せ」や「特攻大作戦」「ロンゲスト・ヤード」辺りだとすれば、“女”を描いた最高傑作は「カリフォルニア・ドールズ」とこの「何がジェーンに起ったか?」。
これほど強烈かつ、狂気&ホラー地味たタッチで女を描いた映画は中々ない。
ベティ・デイヴィスにとっても「イヴの総て」「情熱の航路」に並ぶ、
ジョーン・クロフォードにとっても「ミルドレッド・ピアース」「ザ・ウィメン」「知られぬ人」に並ぶかそれ以上の傑作。
冒頭の可憐に踊るジェーン少女と、裏でジェーンを羨ましそうに見つめる妹のブランチ。
成長してジェーンの人気が無くなった変わりに、ブランチは女優として羽ばたこうとする。映画にも幾つか出演し、栄光を掴もうというところまでいく。
しかし“事件”は起きてしまう。
歳を取り、ジェーンとブランチは老後を二人っきりで暮らす毎日。二人の孤独を埋めるのは、雇われた家政婦とご近所に住む親娘だけ。
ジェーンは事故で足の動かなくなったブランチの世話、歳の違いではなくジェーンの方が介護で疲れている感じ。老いた顔に金髪は白髪みたいで余計に歳を取って見える。
ブランチは過去を捨てた、ジェーンは過去を捨てられず縛られている女。自分の若い頃の生き写しと言える気味の悪い人形を持ち続け可愛がるほどだ。
ジェーンは自分より動けないクセにまだ若々しい容姿を保つブランチに嫉妬していた。
ジェーンは次第にブランチに嫌がらせをするようになり、行動は徐々にエスカレート。
ブランチが悲鳴をあげるのを聴くと嬉しそう高笑いをするシーン、ブチ切れてブランチの腹を蹴りまくるシーンは戦慄する。
仕舞いには人気の絶頂だった少女の格好をして歌いだす始末。
それに対して髪をおろした様子がちょっと色っぽいクロフォード。
終盤の浜辺で太陽の日差しが照る中で笑うデイヴィスは本当に幼い少女みたいで一瞬ドキッとしてしまった。
どんどん壊れ幼児退行のようになっていくジェーン、そしてある“告白”をするブランチ。ブランチがその“告白”を今までしなかったのも、姉に苦労をかけてきた罪悪感というよりはメンツやプライドの問題だったのかも。
浜辺で人々に囲まれ、ステージに立っていたあの頃のように踊るジェーンの姿。何ともいえないラストだった。