57.《ネタバレ》 まず、このタイトルが秀逸だと思う。
一度聞いたら忘れないような、とてもお洒落な印象を受ける(僕だけ?)。
そして全編を覆うメランコリックな雰囲気も良い。
冒頭の曇りがかった都会的な風景にもどこか憂鬱な雰囲気が漂っていたかも。
(昔の映画は全てがそうなのかもしれないが)この古惚けた質感というか雰囲気がとても良い。
B級スプラッターなどでは「悪魔」というものをとても描ききれないが、
「悪魔」というのはとても崇高で厳粛な存在だというのを描いているのが「オカルト映画」なのかもしれない(え、あたりまえ?)。
この作品は真面目に「悪魔」と向き合っている感じがある。
背景(日常の町並みや人間関係など)をとても忠実にリアルに描いているから、「悪魔」という存在感がリアリティをもって引き立つのだと思う。
「悪魔の赤ちゃん」のオゾましい容貌を観客にそのまま見せないのが逆にリアルだし怖いと思う。
悪魔がその姿を現す場面が無いので、
この作品で描きたかったものは「人間」(人間の心の中にいる悪魔)なのかもしれない。
本当に悪魔は人間の心の中にいるのかもね。
裏社会(悪魔社会)ファミリーの人々も「変態さ」が過剰すぎず(それが逆に超変態なんだと思うけど)、その裏部屋の内装や装飾も「悪魔っぽさ」がワザとらしくもなく普通なので、それが逆にとてもリアルだったりする。
ローズマリーのナイフの持ち方は(ある有名なホラー映画にも出てきたけど)とても不安な感じが伝わってきて良いと僕は思う。
ローズマリーのみる夢はとても不条理で気味が悪くてエロティックだった。
隣のオバちゃんの「ウルさ迷惑」な感じがよくでていたと思う。
妊娠はとても希望に満ちたものだと思うのですが(その半面に不安もあると思いますが)、この作品は「妊娠」と「悪魔」とを結びつけることにより、生理的に不安な印象を与えるのかもしれません。
しかし最後は「やはり母親なのだなあ、強いなあ」産まれてきた我が子を受け入れる強さみたいなものを感じた。
人物描写がなかなか見事でした。
淡々と終わる感じがとてもリアルで良かったように思います。