1.《ネタバレ》 【あらすじ】で記入したのが物語の導入部。なかなか面白そうな設定です。本作のウリとなる部分でもある。ここからどう物語を広げてゆくかお楽しみ。でも、あまりパッとしません。足枷となるのが、誘拐される“前”の男の状況が判然としないこと。それなりに説明はありますが、彼元来の“人となり”が具体的にイメージ出来ない。同棲相手が言う「彼は変わった」が、どの程度なのか掴めない。この不具合が後々まで尾を引きます。まずオカルト路線へのミスリード(あえてそう言いましょう)が効果を発揮しません。そもそも有名な心霊スポットが現場。怪しさ満点。そこで霊に憑かれたと言われても、逆に眉唾じゃないかと疑いたくなる。終盤、中核となるエピソードについても同様の理由から驚けない。男の狂気が如何ほどなのか分かりません。何だかんだ言いつつ霊云々は本作の目玉なので、その線が消えてしまうと求心力が失われます。後半はTVレベルの刑事ドラマのようでした。物足りないです。そんでもって最期の最期でちゃぶ台返し。もう観客の興味は其処に無いのでは。出だしで観客の気を引いたのはいいけど、後が続かなかったという印象です。