★84.《ネタバレ》 ゼロ戦・飛行機の創造に魅入られた”天才肌の欠陥人間(分野は違えどまさに宮崎駿!まさに庵野秀明!)”と、そんな男を愛してしまったけなげな女の物語。 飛行機は美しい。堀越ニ郎は美しいものを見ていたい。美しいものだけを。 飛行機と同じように彼は「美しい」から菜穂子を愛した。だが、(あるいはだからこそ?) サナトリウムで美しさを失っていく菜穂子を見舞うより、彼は美しい飛行機の創造を優先してしまった。 それでも彼を愛し、ついに山を下りて、自分がまだ美しくいられる最後の日々を 二郎とともに過ごし、そして死期を悟って一人去っていく菜穂子の姿はひたすら悲しい。 最後に菜穂子は死ぬが、同時に失敗続きだった二郎の実験機は劇中初めて成功する。 ゼロ戦はついに子を持つことがなかった二郎・菜穂子夫婦の愛の結晶のメタファーだったのかな? 【大鉄人28号】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-09-19 11:39:42) (良:2票) |
83.《ネタバレ》 理想を追おうとしつつも、実はほとんどの人間が目の前のことをやっつけて生きていくしかないことは、技術者の端くれである自分もよくわかっている。自分のしていることの善し悪しなんて結局わからないが、それでも「生きねば」。劇中では、主人公がそれに対峙するのはラストシーンの「でもだれも帰ってきませんでした」の一言のみ。ここにすべてが凝縮されていると感じました。簡潔で素晴らしい半面、もう少しこのあたりの葛藤を描いてくれてもよいかなと思いました。 【Northwood】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-09-19 06:28:06) |
82.《ネタバレ》 庵野が棒読み過ぎて泣けます。こんなことしてる暇あったら、本業をしっかりやってくれよ・・と思ったのは私だけではないと思います。タバコのシーンも不快感しかありませんでした。結核の人の隣で普通タバコ吸うか?アホか・・。でも関東大震災のシーンは圧巻。スゴイの一言です。駿の最後の作品ってことで甘目に7点献上。 【ゆみっきぃ♪】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-09-18 02:55:03) |
81.《ネタバレ》 相変わらず表現力は最高。地震や自然・背景、そして何より風の表現が素晴らしかった。内容については、飛行機・堀辰雄等に興味のない人には何の事やら。“飛行機の設計があるから君のことは構ってられないよ”的な発言をしておいて“愛してる”と云われても・・・恋愛映画としては完全に破綻。設計の話についても興味のない人にとっては“ふ~ん”程度の内容。一体何が『生きねば』なのか?ストーリーテラーとしての宮崎監督は枯渇してしまったのだろうか。あと、監督が声優嫌いなのはよく判ったから、せめて演技の出来る人を使って下さい。お金を払ってとても演技とは云えない素人のぼそぼそ声を延々聴かされるのは二度とご免です。 【ふじも】さん [映画館(邦画)] 5点(2013-09-16 20:34:27) (良:1票) |
80.《ネタバレ》 恋愛映画として傑作。 人生観を考えさせる映画として秀逸。但し、未来に向けてでは無く、今まで数十年生きてきた大人に、それぞれにおいて間違えでなかったんだよと教えてくれる映画。子供たちには不向きだと思う。難しいと思う。でも、周囲に居たうるさそうな子供たちが、映画の最中に行儀が良かったのは何かひきつけるものがあったのか?映画について賛否を論じる必要は無いかと。過去の宮崎作品から見ても、(夢として描くことで)ファンタジーから離れて、実人間界での生き様で描いた。宮崎氏自身に照らし合わせて。唸るように攻めてくる地震、怖い、その震災に対しての頑張ろう日本!にも通ずる。美しい愛を再認識させてくれてありがとう、夢と希望を描くキャンバスが戦争兵器しかなかったという罪を教えてくれてありがとう、その罰は何!?が残るのだけれども、涙するほどの感動をありがとう。 【お好み焼きは広島風】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-09-16 19:20:29) |
79.《ネタバレ》 潔さ、覚悟というものをじいさん(監督)は伝えたかったんだと思う。 主人公はなかなか迷わない。まるで心がないみたいに潔い。嫁も強い。 現代人には違和感を覚えるが、古きよき日本人のデフォルメだと受け取った。 ラストは妻が死に、それでもなお生きねば!と潔く前を向く主人公。 あの妻なら、そう望んだだろう。柔軟になりすぎた現代に芯を持て!という今一番のメッセージを込めた映画だと感じた。 【おでんの卵】さん [映画館(邦画)] 10点(2013-09-16 00:19:41) (良:1票) |
78.夢のシーンがとても良かった。夢がはちきれるほどたくさんあった若いときを思い出しました。笑 【ギニュー隊長★】さん [映画館(字幕)] 7点(2013-09-14 23:57:56) |
77.《ネタバレ》 「紅の豚」と同じく、宮崎監督が作りたくて作った映画というのは分かりました。ただ、堀越二郎に堀辰雄のストーリーを無理矢理重ねたためか、話もかみ合っていないし、主人公が魅力的でもありません。筋も、淡々と飛行機設計を続けるだけで、病気の妻も完全なる脇役。やたらと喫煙シーンばかり(実際、昔の喫煙者はあんなものだと思いますが、あれだけ強調されると何か意味があるのかと思いきや、何の意味もありませんでした)。何より、主人公以下多くの人物の、声の演技が下手すぎて聞いていられません。宮崎監督の作品は長年見てきましたが、正直こんな作品が引退作になってしまうのは残念ですね(今までも何度も引退表明してきましたが、今度は本当なんでしょうか?)。鈴木プロデューサーが一緒に引退する訳ではなさそうなので、今後もジブリは話題先行のキャスティングを続けるのでしょうか…11月の高畑監督「かぐや姫の物語」もどうなることやら? 【蛇蟇斎狐狸窟】さん [映画館(邦画)] 5点(2013-09-14 20:08:42) |
76.まず主人公の魅力が乏しいという、その時点で作品に入り込めませんでした。 設計者であり、いわゆる「飛行機おたく」ゆえにあれが個性といえば個性なのだと思いますが、少なくとも魅力は感じませんでした。 また、ストーリーが淡々と進んでいき、印象的なシーンに欠けたと思います。 冒険はせず幅広い層が楽しめる安心感ある作品といったところではないでしょうか。実際、館内は年配の方がかなり多かったです。 とてもいい雰囲気の作品ではありましたが、宮崎監督の引退作としては物足りなかったです。 興業成績は上々のようですが、引退宣言含め多分にPR効果によるところが大きいと思いました。 見終えたあとは、「最後の作品がこんな感じでいいのか?」という思いと、「ここまでしかできないから引退なのか?」という思いの両方が頭によぎりました。 【午の若丸】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-09-12 05:37:44) (良:2票) |
75.結局宮崎駿という人は“人間を描けない作家”だという印象をまざまざと残した作品。見た目が派手なだけの上っ面で薄っぺらい物語の描写。いや実際には、この映画のモデルになった真実には極限の人間ドラマがあったのだろう。その真実には素直に敬意を払いたい。だが宮崎駿はある意味被害者で、時代が生んだ裸の王様だったとも言える。これを見て“自分が作った作品を見て初めて泣いた”と言った宮崎監督。その監督が放った引退宣言は、日本のアニーメーション映画業界にとってこの映画の持つ最大の功績だと思う。プロデューサーの鈴木敏夫氏も、ぜひとも一緒に引退してほしいものだ。0点を最高のはなむけとしたい。 【ムッシュ★いち~ろ!!】さん [映画館(邦画)] 0点(2013-09-12 00:28:17) (良:2票) |
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74.《ネタバレ》 ◆自分がはじめて飛行機に乗ったのは大学2年の帰省の時。羽田から徳島まで、今はもう無くなった日本エアシステム。離陸と着陸の時の独特の感覚は今も覚えている。あの感覚のせいで飛行機嫌いの方も多いと聞くが、自分の場合は、何かわくわくするモノを感じた。◆この物語はそんな飛行機に魅せられた天才青年の半生記。映画内の『現実』と二郎青年の『夢(妄想?)』を行ったり来たりしながら、かけがえない伴侶との出会いと別れを絡めていく作品。◆見る前は評価が分かれていたので不安だったが、見て納得した。評価が分かれるのも致し方ないかな、と。鑑賞者の人生観や経験した事によって、大きく感動のポイントが変わってくるのだろう。自分も独身だと仮定したら、そんなに深く感銘しなかったと思う。が、嫁や幼い息子の事を思い浮かべながら見ていると、本当に感慨深い作品だと思う。◆主人公の二郎にとって、設計の仕事は大空へ飛ぶ事につながる夢。でも、決して平坦な道ではなく、目の前で無残な現実を突きつけられていく。でも、彼は計算尺と鉛筆を離さない。一方、菜穂子との時間も決して平坦なものでなく、現実は厳しい。でも、二人の互いに慈しむ気持ちはスクリーンからダダ漏れしていて、思わず泣けてきた。たとえ、結末が辛く悲しいものであったとしても。◆話の中で特に印象的だったのは、刈り上げ頭がなんだかかわいらしい黒川さん。一見意地悪そうなこの人が実に良い人で、もし叶うなら黒川さんに焦点を当てたスピンアウトを見てみたいくらい。◆仕事の後に楽しそうに議論する光景、特高にねらわれて姿を消すときのやりとり、今の日本の会社からは無くなりつつある光景かもしれない。何でも『数値目標』に置き換え、目標設定と達成に汲汲とし、不要となったらゴミを捨てるかのように仕事仲間を捨ててしまう今の日本。宮崎監督なりの強烈な提言なのかもしれない。◆主人公の声は最初は一瞬驚いたが、後になるにつれ、二郎の『誠実さ』がよく分かるものに思えた。そういう意味では、中々絶妙な人選だったような気がする。◆生きていれば、山もあれば谷もある。でも、その火が自然に消えるまで、前を見て生きる事、それが監督の最後の『遺言』なのだと最後のシーンで思えた。心に残り続ける言葉を全力で投げかけて舞台を降りた宮崎駿監督に、心からの感謝を。 【ばびぃ】さん [映画館(邦画)] 10点(2013-09-11 09:47:55) (良:1票) |
73.《ネタバレ》 絵は相変わらずのジブリ節でよかったけど、内容は飛行機技術開発というかた~い感じで子供はちょっとよってこない映画になってますね。それにしても小さい頃からクソ真面目な主人公でした。頭がよくて、やさしくてと非の打ち所がない、ただ声は自分には馴染めませんでした。タバコ、キスなどのシーンが多く今までにないアダルトなジブリ。鯖定食が非常にうまそうでした♪ 【とむ】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-09-11 00:41:27) |
72.《ネタバレ》 近年の宮崎駿監督作としては傑作だとおもいます。宮崎自身がミリタリーマニアでありながら反戦論者であるという矛盾した感情を堀越二郎の姿を使って堀辰雄の作品をベースにアニメをつくり、アニメ・特撮オタであり、アニメーション作家である庵野秀明に演技をさせて出来たのがこの映画で、実は宮崎自身の心境を描いた作品じゃないかな、と思うわけです。但し、これを普通の人に勧められるか?というと、NOという回答しか出せません。事前に、あるいは事後にこいう解説ができる人が周囲にいればいいけど、いない場合は正直、表層的には楽しめるけど、宮崎駿のアニメの奥の深い面白さとかは分からないんじゃないかな?と。また、これまであれだけ子供の為にアニメを作っていた人らしからぬ作品になった事で、只々素晴らしい、とは言えないとおもいます。彼のアニメの良さって先ず子供達に楽しんで貰うって事が最初にあるから、家族で見に行けるという所があると思うのだけど、今作について言えば、完全に子供は置いてけぼりですよね。それを両手放しで喜んで良いのかと思うとやはり疑問が残るわけです。内容的にも少しだけ言わせて貰うと、あの終わり方は堀辰雄の作品風としては正しいのかもしれませんが、堀越二郎の夢で出会うイタリア人航空技師が当初言っていることに対しての堀越自身の回答は見せてないわけで、そこは中途半端になってしまったかな、という気がします。多分、それに対する回答は彼だけの設計では無いですが、YS-11を1カット出すだけで十分に効果があったと思うんですよね。 【奥州亭三景】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-09-10 00:25:34) |
71.僕自身が歳をとったこともあって、はじめて劇場で泣いた映画。加筆します! 【ようすけ】さん [映画館(字幕)] 10点(2013-09-09 02:17:25) |
70.《ネタバレ》 「戦時中の1人の飛行機設計者の、夢と愛の物語」。ざっくりまとめるなら、こんなテーマだ。しかしもう少し深く読み解いたら、違うテーマが見えてきた。→「自分達のやりたい事をやり抜く。エゴイズムとは何か。そして身近な人を心から愛する事の美しさ」。エゴイズムと人間愛という、あまり相関しそうにないものを、上手いバランスで表現している。ただ、何かしっくりこない。もっと深い深いテーマが、言葉にするのが難しいテーマが、宮崎駿にはあるんじゃないかと思えて仕方がない。戦時中の辛さ?クリエイターの苦悩?いやいやもっと違う何かがあるはず...。主人公の堀越二郎と宮崎駿は、どちらも「浮世離れ」している。普通の人とは違う生き方をしていて、どこか不器用だ。でも生き様はどうだ。浮世離れしていても、生き方が不器用でも、2人共に生き様は凄く格好良い。「浮世離れした男の不器用で格好良い生き様」。これが本当のテーマかどうか分からないけど、人に「風立ちぬってどんな話なの?」って聞かれたら、こう答えようと思う。 【VNTS】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-09-08 00:35:27) |
69.ユーミンの歌とリンクする感動的な予告編から勝手に想像したものとは違い勝手に戸惑ってしまったのだが、戸惑いの原因はわかっている。「死」が描かれないからだ。盛り上がるべきシーンとしてこの物語に必ずあるはずの「死」が。その昔、宮崎駿は安易に感動を得るためだけに登場人物を死なせる手塚治虫を批判したことがあるが、その自らの発言を全うしたということか。頑固だなあ。その手塚氏と同調している「近代化が破壊を生む」というモダニズムの矛盾というテーマもここにきてもぶれない。頑固です。そして何よりもアニメーションの原点ともいえる画の動きに対する拘りがぶれない。昨今のアニメはディテールに拘りすぎて動きを蔑ろにする傾向にある。息子の吾郎にしたってたとえば背景でしかない草花を丁寧に描くことに拘っている。駿は草は意外と緑をべたーっと塗っている。そこに草があることがわかればいいのだ。その緑に光の白と影の黒の線をさーっと動かせば風が描かれる。動いてこそのアニメーション。汽車がダイナミックに走る。人が滑稽に転がる。紙飛行機が颯爽と飛ぶ。地震の波動が不気味に迫る。アニメーション、かくあるべし!!だと思う。 ディテールや物語に逃げるな!と駿は言っている。ような気がする。 【R&A】さん [映画館(邦画)] 7点(2013-09-05 11:57:29) (良:1票) |
68.《ネタバレ》 一つの目的にまっすぐ進んでゆく男と、彼を愛した女の物語。 ふたりのあまりなピュアな心の結び付きは、時としてハードボイルド。 その昔、妻の出産のためにTV番組の収録を休みにしたタレントがいて、 それが妻と子供を大事にしている美談のように伝えられたが、 親が死んでも笑って舞台に立つのがプロフェッショナルのはず。 そんなぬるい美談の対極にあるようなラブストーリーだ。素晴らしい。 【こんさん99】さん [映画館(邦画)] 9点(2013-09-04 00:42:18) (良:2票) |
67.《ネタバレ》 宮崎駿と半藤一利のインタビューを見て楽しみにして劇場へ。観た感想としては「イマイチ」だった。残念。『エゴイズム』が本作のテーマと感じたー高原病院を抜け出す・自分の設計理想を貫く・結婚を家族を呼ばず勢いで行う・タバコを吸う・高原病院へ戻る、そして「俺たちは人殺しの道具ではなく、美しい飛行機を作るのだ」と「君はピラミッドのある世界とない世界、どちらが好きかね?」。これらの『エゴイズム』へ自分は共感はできても共振できずストーリーの展開に遅さを感じている内に終焉の匂いに気付いた。『エゴイズム』達への総括というか決着が曖昧で「観客が個人の問題として考える」入り口へも到達できた作品ではないのではーという不安定な気分のまま映画から掘り出された。自分には戦前戦中の日本の情景を「比較的」リアルに2013年の今に描写した稀有な映画以上の存在にはならなかった。残念。追記:観ていて思ったのだが二郎は「死期が近づいている」菜穂子を愛した。白血病で白く美しい「死期が近づいている」という設定も含めて菜穂子に惹かれたのだ。病人に対して不謹慎な考えなのかもしれないがそう感じた。しかも菜穂子は自分の事を幼少期から「白馬に乗った王子様」と崇拝もしている。自分にはやや引く設定。これも『エゴイズム』なのか。「生きねば」なのか。 【reitengo】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-09-02 10:35:40) (良:1票) |
66.《ネタバレ》 中盤は、ほぼ飛行機作りの話。 しかし後半にまわした恋愛の話がメインになると単なる少女漫画のようになってしまうし、逆に仕事の話が長すぎても偉人伝みたいな映画になってしまう。 この辺りのバランスの取り方が絶妙で、引き立てあっている。 見終わって、清々しい喪失感のようなものを感じた。 この感覚は、ナウシカを初めて見たときにもそう思った。 これは何なのだろう。 例えば、現実に身近で好きな人を亡くしたら、喪失感はあっても清々しさはない。 菜穂子もナウシカも、あまりにも美しく献身的に死んだ。 死によって与えられたものが、失ったものを上回るのだ。 こんな死は、普通ない。 宮崎駿監督だから描くことができたと思う。 【ジンロク】さん [映画館(邦画)] 10点(2013-08-31 10:22:05) |
65.評判どおりの内容。テレビでやってたらもう一回観てもいいかな。 昔に比べて飛ぶシーンにわー!という感じがしないのは私だけか? とにかくおもしろいと思うシーンもあるが、途中からの恋愛要素はいらん。 喫煙シーンは監督もMADMENみてるのかな。 |