4.とにかく淡々と、愚直なまでにひとつひとつのカットをつなぎ合わせていく手法で、徹底的にリアリズムを追及した清廉な映画。
起訴中の事件を真っ正面から描いた本作は、冤罪が起こる背景である、警察及び報道のあり方を静かに、しかし痛烈に批判している。
決して斬新な手法がとられていたり、優れた映像が堪能できたりするワケではないが、こういう作り手の良心と熱意が漲る作品がきちんと作られ、それを観て思いを受け取る映画ファンがいるということが、わたしは無性に嬉しい。
無実を訴えながら39年におよぶ獄中生活のまま95歳で獄死した平沢氏のご冥福を祈ります。
そして例え凶悪犯を見逃す恐れがあろうとも、この世から冤罪がなくなることを私は強く望みます。