5.《ネタバレ》 東映“異常性愛路線”といえば言わずと知れた石井輝男、この路線で彼が監督した作品中では本作がもっとも有名なのかもしれません。もっとも本作のプロットはオムニバスだった『徳川女刑罰史』の一エピソードを拡大再利用したものなので、この頃にはさすがにネタ切れ状態だったみたいですね。それにしてもこの“異常性愛路線”は末期とはいえ60年代の製作、日活がロマンポルノ専門になる前ですから東映というか制作本部長だった岡田茂のえげつなさは相当なもんです。 ストーリーもぶっ飛んでます。将軍が綱吉だった時代の二人の刺青師(吉田輝雄と小池朝雄)が腕を競い合うという設定なのに、話が進むうちに長崎・出島が舞台に変わってしまいます。二人は遊郭に所属して遊女に刺青を彫っているので、そりゃハダカは飽きるほど観れます。タイトルバックの処刑シーンも唐突感が拭えませんでしたが、この遊郭はSMクラブでもあってやたら遊女を吊って痛めつけるシーンが多いんです。刺青はそりゃ絵でごまかせますけど、当初の主演女優がきつすぎて失踪したぐらいですから、この吊り責めシーンはマジで撮影してたみたいです。助監督たちが抗議行動を起こして天下の朝日新聞がキャンペーンを張ったぐらいですから、まさに大炎上です。悪役の旗本がなぜかおしろいを塗ったキャラだったり女囚の中に女装した大泉滉と由利徹が交っていて声だけは女優が吹き替えしているなど、「?」がいくつも並ぶところが多々あります。出島のシークエンスもかなりぶっ飛んでいて、まるで香港か上海租界みたいなところでそこには怪しげなカスバみたいなマーケット(?)があるんです。『黄線地帯』で神戸にカスバを出現させた石井輝男ですが、本作の出島カスバの方が造りこみや不気味さは上を行っています。笑っちゃったのはラストの商館でのシーンで、なんと江戸時代なのにこの館は壁のスイッチで照明が点灯できるんです! ラストカットの娼館女将の又裂きの刑も強烈でしたが、ハチャメチャなお話しをサービステンコ盛りでとりあえず観れるものにしちゃうのは石井輝男の力量の成せる技としか言いようがないですね。封切時はコケたけど、近年では海外やサブカル界隈で評価が上がってきたそうですが、そんな熱を込めて褒めるような映画じゃないのは確かです。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2021-03-24 22:48:43) |
4.超安いが値段なりのまずいバイキング料理を、たらふく食べたような印象。うまくまとめられずに途中で放り出したような脚本、格調の全くないカメラ、一本調子の演出、と良くない所ばかりが目に付く。それでも監督の観客を楽しませようというサービス精神は旺盛のようで、様々な場面と沢山の裸の女が用意されている。特にラスト近くに唐突に出てくる毛唐女の初々しさは尋常ではなく(16歳だそうだ)、豊満熟女専門でほぼロリっ気のない私でも思わず身を乗り出した。見るからにいたいけな白人少女を前貼り一丁の裸にひんむき、全身下品な入れ墨(というかボディ・ペイント)だらけにしたうえ、ろくに演技指導もしないまま燃えさかる火の前でだらだら悶絶させたりする。この場面ではいいかげんな演出がかえって撮影ドキュメント的なリアリティを感じさせるという効果を上げており、東映異常性愛路線の面目躍如といったところだ。 【皮マン】さん [映画館(字幕なし「原語」)] 3点(2011-10-08 09:30:54) |
★3.《ネタバレ》 これって、徳川モノ(江戸時代モノ)の異常性愛シリーズの中じゃ、いまいちでしょう。 “いれずみ”という題材だけで一本撮るのは、ネタ的に厳しいんじゃなかろうか。 『徳川女系図』『徳川女刑罰史』『残酷・異常・虐待物語 元禄女系図』と、この頃は石井輝男監督も立て続けに同系統の作品を撮るが、この作品で江戸時代異常性愛絵巻はネタ切れとなってしまった。 本作よりも、上述の三作品の方が、扱っているネタもバラエティ色豊かだった。 だが本作は、“いれずみ”ネタが最初から最後までひっぱられ、異常というより、単にいれずみ映画(?)になってしまっているのだ。 正直後半は、飽き飽きして長く感じてしまった。
それにしても、橘ますみは本作でも魅力タップリであった! 橘ますみほどエロかわいい女優さんは、他にはいない。 現代においても、もちろんいない。 橘ますみという可憐な女優さんを観るためだけに本作を鑑賞したとしても、それはそれでアリだろう。 【にじばぶ】さん [ビデオ(邦画)] 5点(2009-10-11 01:04:20) |
2.《ネタバレ》 この映画は覆面上映で見ました。始まってすぐにタイトルバックで映しだされる処刑シーン、絶叫、血しぶき、転がる(マネキンバレバレの)首。本編が始まると長襦袢一枚の女が夜の墓場を歩いていて、ひとつの墓の前に立ち止まるやおもむろに土を掘り返す、棺桶を開ける、手を血まみれにして死体の腹をかっさばく、ともういきなりのフルスロットル。心の準備してから見たかったです。映画全体としてはエログロがほどよく混じりあって飽きずに(ヤな気分にはなる)見られますが、明らかに人を選ぶと思います。 【KYPA】さん [映画館(邦画)] 6点(2007-01-11 18:06:32) |
1.《ネタバレ》 大学の先輩に連れられて初めて見た石井輝男映画がこれ。ラストの臓物ぶっ飛びストップモーションに至る頃には恐怖心も気持ち悪さも通り越して笑うしかなかった映像体験。江戸時代の刺青師(小池朝雄好演)を軸に石井節と言うべきエログロアドレナリンがスクリーンからにじみ出るどころか溢れ出てゲッソリしてしまう。過酷な撮影に女優が逃亡したのもむべなるかな。「直撃!地獄拳」「網走番外地」くらいならまだ笑って進められるけどこれは絶対に無理。でなぜゆえに評価が高いか、と言えば後世の文化に多大な影響を及ぼしたから。全盛期の彼なら漫☆画太郎や楳図かずおの漫画の映像化などチョチョイのチョイ、というところだ。有難い(?)事に、DVD発売中。 【Nbu2】さん [映画館(邦画)] 7点(2006-06-04 00:05:19) |