52.イヴの行動原理の全ては損得勘定。その生き様から巡る因果が浮き彫りとなる、冒頭から結末までのストーリー展開が実に見事。劇作家と演出家のキャラが若干弱いものの、男女6名の味わい深く見応えある人間模様とそれらを引き立たせる心憎い演出もまた見事。傑作です。 |
51.とにかくやたら会話が多い、他の映画の倍もしかしたら3倍くらいあるのではないか。 しかも演劇に関するものがほとんどで、前のが未消化のうちに次々と新しい会話が出てくるので、理解力不足の私はなかなかついて行けなかった。 たぶん名作なのだろうとはわかるが、どこがどう名作なのかは私には説明できない。蛇足だが、コロンボに出てきたバクスターとイヴの総てのバクスターが未だに同一人物に思えない。 【ESPERANZA】さん [DVD(字幕)] 5点(2011-07-11 20:29:05) |
50.女性の性質に焦点をあてながら心情の動きや駆け引きをくどいほど描いていて、嫉妬心や不安感など強さ弱さを敏感に感じ取れ、面白いと同時になんだかおぞましい怖い気分になった。 ラストはニヤリとさせるような皮肉が利いてて良いオチです。 【さわき】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-01-29 23:05:14) |
49.《ネタバレ》 【イヴの計画】劇場に屯し、劇作家の妻に声をかけ、彼女のとりなしで女優マーゴに近づく。マーゴのツテで、女優としてデビューを図る。その後演出家か劇作家と結婚する。 【イヴの嘘と脅迫】夫が戦死などの同情をひく経歴はでたらめ。ビール会社の社長の愛人だった。劇作家の妻にガス欠の秘密(イヴを代理出演させるためのいたずら)をばらすと脅迫し、新作の主役をもらえるように依頼。公演前日隣人に「ナーバスになり公演をキャンセルする」と嘘の電話をかけてもらい劇作家を呼び出す。「劇作家からプロポーズされた」と批評家に嘘をつく。 【イヴの誤算】代理公演が成功したのち、つい口走った本音(マーゴ批判)が記事になり、マーゴ達から嫌われ、排除される。批評家は早くから嘘の経歴を見抜いており、誰とも結婚は許されず、彼の言いなりとなる。 【感想】イヴの罪と罰の物語。イヴは嘘と脅迫が功を奏して、あこがれの舞台スターになったが、批評家に嘘がばれ、彼の言いなりとなる。見どころはイヴが無垢な顔して、虚実取り混ぜ巧みに四人に取り入り、女優としてデビューに至るまでの経緯。徐々に虚飾がはがれてゆくところがサスペンスになっています。そのあとの四人との心理戦も見ごたえあり。 ◆ところで冷静に考えてみれば、イヴはあんな謀略を駆使する必要は無いと思いましたね。若くて、美貌で、何より実力があるのですから、普通にオーディション受ければ成功するでしょ。「音楽のような、火のような」演技で魅せればいい。だからこそ劇は大成功を収め、賞も戴けたわけです。実力も伴わないのに無理にスターにのし上がる話でないと成立しない話と思いましたよ。実力の世界なのだから、観客や批評家を唸らせる演技をした者がキラー(勝者)でしょう。誠意に欠ける嘘や行為があっても、実力があってスターになるのだから問題はないわけです。芸能界とはそういうものです。 ◆失望したのはイヴの演技の場面が全く無い事。話だけで終わらせている。オーディションの場面さえも省略。どこか空虚に感じました。裏話だけに終始しては本当の舞台は語れないでしょう。ピアノを弾かないピアニストと同じ。ところでスターを夢見る未婚女性が、結婚していたと嘘をつくかな? ◆名優ベティ・デイヴィスの演技はさすがです。実年齢以上に老けているのは残念ですが、泣いたり、叫んだり、怒ったり、甘えたり、見ていて楽しいです。 【よしのぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2010-12-27 18:20:37) |
48.「イヴの総て」・・・ 一応タイトルだけは知っていたが、まさかこんなドロドロした物語だとは・・・(クリスマスイブの話かと思っていた) のし上がるために手段を選ばないイヴ、そして彼女が受ける報いとは・・・。本当に良くできた話で楽しめた。イヴがカレンを脅迫するシーンはゾクゾクしちゃったな~。 【リーム555】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-10-25 17:31:47) (良:1票) |
47.演劇界の裏で起こっている醜い争いの描写。上品なサンセット大通りといった印象で、役者の名演も適切な展開も文句のつけどころがない。それでも、インパクトという点でもう少し何かが欲しかったのは確か。 【j-hitch】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-08-17 21:58:19) |
46.《ネタバレ》 わかるわ~。誠実で、利発で、謙虚で気が利きすぎる人って付き合いづらいんですよね。マーゴの気持ち分かります。ただ、イヴが途中ではっきり「腹黒い奴」と分かっちゃうのが惜しいんですよ。最後まで、善良な、女優としての才能もある「出来過ちゃん」が、ラッキーに恵まれつつ、しかし周囲を変な雰囲気にしつつ、トップに上り詰める話だったらよかったのに。もちろん、そこにイヴのしたたかな計算があるんじゃないかと、観客を疑心暗鬼させる場面が必要なのですけど。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-05-16 00:04:04) |
45.《ネタバレ》 おー、こわい、こわいですよ。イヴのすべてを知ってしまったら怖いほど戦慄が走ります。そして結末がまた・・・ベティ・デイヴィスの怪演もまた「ジェーン・・・」を彷彿とさせてこれまたこわかったですが、しおらしいところもあって彼女らしい。アンバクスターはコロンボで見せた女優役も怖かったですが、こちらも・・・。長くなりましたがいい作品でした。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2010-02-22 23:48:24) |
44.冒頭の授賞式で普通なら最年少受賞を果たした新進の才能ある女優イヴに拍手喝采が贈られるべきところを複雑な表情でそれを見つめる数人の男女。この冒頭で本作が単なるイヴのシンデレラストーリーではない事が見事に伝わる訳ですが、華やかなショービジネスの世界の裏側をあぶり出すだけにとどまらず、こんなに恐ろしく人間の心理をえぐったサスペンスだとは思いませんでした。登場人物を絞り、それぞれのストーリーの中での配置や役割分担、一つ一つのシーンにおける台詞も演出も見事。話の節目も分かりやすく心理描写も巧みで脚本の素晴らしさが感じられます。あまりドロドロした人間関係を見せる映画は好みではないのですが、それでも長丁場を忘れて見入ってしまう非常に完成度が高い映画でした。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 8点(2010-01-31 16:37:20) (良:1票) |
43.《ネタバレ》 五年置きくらいに観たくなる作品。私の中のモノクロクラシック映画の中では十指に入るかなりの名作。悪役なのに悪役に見えない女優たち。綺麗なのに怖い。やっぱりすごいわまた観よう。 【りんす】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2010-01-22 23:43:01) |
|
42.《ネタバレ》 今ならワンコインで買えてしまう名作中の名作。愛情と嫉妬と野望が後半になって突然グジャグジャに絡み合って、誰が善人で悪人なのかわからなくなってしまうのが凄く怖い。 ガス欠で止まった車の中でマーゴ(ベティ・デイビス)は本音を話したからこそ、イヴの人間性が後半浮き彫りになってきていると思う。 1950年の芸能界って、こんな感じ? 今だって、清純派アイドルがシャブ打って、性器にタトゥーやピアスを指して、SMに酔いしれるプライベートライフに我々は全く気付かずにいる現状。 いつの時代も人間は欲望に取りつかれてしまう生き物なのかなぁ… この映画が名作と呼ばれ、普遍的と呼ばれてしまうのが、なんとも皮肉に感じます。 死ぬまでに一度でいいから観賞されることをお勧めします。 【クロエ】さん [DVD(字幕)] 9点(2009-08-28 07:21:45) |
41.《ネタバレ》 リアリティを感じたのが、イヴはさまざまな策謀をめぐらして栄光を手にするものの、敗者にしか見えないという点だ。誘惑した男にはプライドを傷つけられ、脅迫にしても無意味で、友人を失っただけ損だった。大女優の付き人になるまではともかく、時間がかかっても正攻法の努力をした方が、遥かに理に適っていただろう。 こういう人、実際にいる(性別に関わらず)。自分以外はみんなばかだと思っているのか、本人は狡猾に他人を利用しているつもりで、実際はバレバレ。歪んだ自己愛に基づいて行動してるから判断力が鈍って、浅はかな目論見は見透かされることがわかっていない。 女の子が鏡に見惚れる万華鏡のようなラストシーンは鮮烈に美しい。けれども映っているのはどこまでも自分だけ。きらびやかな夢が虚しいナルシシズムの発露でしかないことを告発するようだ。 階段に座ったイヴが夢見るように語った「観客からの喝采だけあればいい」という言葉は、本心に聞こえた。演劇への純粋さを表明する演技と取っても別に矛盾はないが、きっとあれは、本心と仮面とが一致した珍しい瞬間だったのではないだろうか。授賞式のでイヴは裏切った友人達に臆面もなく謝辞を送るが、あれも実は何分の一かは本気のなのではないか。マーゴの「自分の心を正しい場所に置きなさい」という言葉はただの皮肉とは思えない。マーゴはあれだけ忌み嫌いつつも、イヴの本質を理解できてしまったのだろう。 〈イヴ〉は最初の女の名前、タイトルはつまり女のすべてという意味だろうと思われる。秀逸な筋書きではあるけれどしかし、所詮は男が書いた脚本だと感じるところはある。最後は男性がおいしいところをかっさらい、善人悪人に関わらず女性に支配的な位置に立つ。行き着く真理は「女の幸せは結婚」、か。なんだかなー。 端役で出演しているマリリン・モンローの実人生を、なんとなく作品に重ねてしまった。貧しい境遇から這い上がって名声をつかむも、待ち受けていたのは痛々しい最期。世界中の男性に愛されたようでいて、食いものにされたようにも取れる。 また、脚本は堅固に構築されているが、余裕もなければ隙もない。映画でも小説でも、あまりに言葉を尽くして説明してしまうのは野暮だ。加えて直接作品の出来とは関係ないが、字幕は細かいニュアンスを殺していたと思う。多少は仕方ないとしても台詞のテンポまで全然違うのは勘弁してほしい。 【no one】さん [DVD(字幕)] 6点(2009-06-25 00:00:12) (良:1票) |
40.《ネタバレ》 十数年前に奨められていながら、ようやく観た作品。 現代の我々からすれば新鮮味に欠けているやもしれない内容なのに魅せます。 イヴが賞をとるまで、とる寸前までの彼女は勿論見応えがあるのですが、 ラストシーンに登場する彼女も、イヴに重ねて魅せるところがありよかったです。 今作では端役でしたが、マリリン・モンロー、可愛いですねぇ。 似た女優さんだなぁ、と思っていたらご本人でした。 可愛らしさでは群を抜いていましたね。 【hyam】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-05-14 15:02:40) |
★39.完成度の高い作品。 脚本が実に緻密。 役者陣の演技も巧い。
難を言えば前半のつまらなさ。 終盤の盛り上がりがあるとは言え、早送りしたくなるほどの退屈さ。
それと映像。 技術的な意味では素晴らしい映像だが、芸術的な意味では何もない。
又、女優陣も魅力に欠ける。 マリリン・モンローが端役で出ていたが、やはり彼女が一番輝いていた。 【にじばぶ】さん [DVD(字幕)] 7点(2009-04-15 00:42:08) |
38.華やかな世界って怖いですねぇ。チャンスを狙う人たちがひしめき合っている様子がうかがい知れました。オチもなかなか。 【色鉛筆】さん [地上波(字幕)] 8点(2008-12-29 11:01:45) |
37.お話は面白いし、冒頭の受賞式シーンから回想に入ってゆく構成も巧いし、人間関係も整理されてて分り易いし、配役もお見事だし、名セリフてんこ盛りだし、どう見たって名作なのは間違いないのだろうけど回想形式にした部分意外は映画というよりも舞台劇を見ているような感じ。セリフが多いのはいいのだが、その言葉が決定的なものであふれかえりすぎている。お話と無関係の言葉は全く出てこない。当時のハリウッド映画ってだいたいこんなのが多いんだけど、これで2時間超はキツイ。いや、舞台っぽくても面白さが凝縮されてるならそれはそれでオーケーなのだろうから個人的な好みの問題でしかないのですが。それでも時間をあと30分端折ってくれたら手のひら返したように絶賛するかもしれないくらいの面白さはある。 【R&A】さん [DVD(字幕)] 5点(2008-12-17 11:41:55) (良:1票) |
36.じわりじわりとマーゴの生活に浸食し,彼女の軌道を少しずつ狂わせていったイヴの姿に,下手なサスペンスより恐怖を感じた。演劇界の裏側を描いたという要素ももちろんあると思うが,女という生き物が生み出し感じる,昼ドラのような独特の愛憎劇も描いていて本当におもしろかった。正直,イヴの怖さ,エグさに負けて,途中で見るのを止めようかとも思ったくらいだったが(昼ドラは怖くてきらい)納得のいくラストシーンを見ることができて,久しぶりに大満足,映画のすばらしさを堪能することができた。 【さそりタイガー】さん [DVD(字幕)] 10点(2008-06-09 00:55:07) |
35.《ネタバレ》 冒頭の女優の絶頂としてのイヴと、返す刀で出てくるただの一少女のイヴ。この2つのアン・バクスターの演技を見ただけで内容十分な作品の予感がしてくるのですが、はたして期待通りでした。俳優陣の名演を生かすべく、一つ一つのシークエンスを十分に延ばして、心理戦のやりとりをたっぷり見せてくれるのが嬉しい。中でも印象的だったのは、バスルームに消えたイヴとアディソンのやりとりで、アディソンが(イヴにとって)やばい質問を発するのですが、そのときにバスルームのドアを映すだけで(本人をまったく映さずに!)イヴの内心の動揺を表現していたシーンです。これには痺れました。皮肉と回帰を感じさせる着地部分も、見事に決まっています。 【Olias】さん [DVD(字幕)] 7点(2007-08-15 23:52:01) |
34.《ネタバレ》 何となく題名からラブストーリーかな~と思って見始めたら大間違い。冒頭の授賞式、イヴ以外の面々の冴えない表情…ん?楽屋での会話に、おお?グイグイ引き込まれました。この話、どうなるんだろう…と最後までドキドキ。巧みなシナリオで飽きないし、会話がよく練られていて個々の心理描写が素晴らしいです。女性にとってはファッションも見所かな。モノクロなのに素敵な衣装のオン・パレードでした。皮肉めいたラスト・シーンも印象的ですが、エンド・クレジットで初めてマリリン・Mが出ていた事に気付きビックリ!端役でしたが彼女のその後を思うと不思議な気持ちになる映画…。すんごい演技だったベティ・Dって「八月の鯨」のおばあちゃんだったのね~またビックリ。とにかく、すんごい「女優」さん達によるすんごい「女優」さん達のお話でした。お見事! 【Tweety】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2007-01-18 18:57:41) |
33.この映画すごいですね。半世紀も前に、これほどの完成度を持つ映画があったとは知りませんでした。心情や人間関係の描き方を、台詞だけでなく、演出でも表現しています。ユーモアがあるのに、ミステリーのようです。出演者は誰もが素晴らしく、主要登場人物が多くても、それぞれの個性をうまく描き分けているので、戸惑うことはありません。映画が終わってしまうのがもったいないと感じてしまうほど、のめり込んでしまいました。10点あげてもいいぐらいです。 【shoukan】さん [DVD(字幕)] 9点(2007-01-13 18:48:33) |