234.《ネタバレ》 ストーリーはクレしんらしい単純さ。
戦国時代が舞台というと「雲黒斎の野望」を思い出す。あの映画も戦闘描写が凝ってて面白かったぜ。
本作も「クレしん」らしからぬリアリティ、「クレしん」らしい散々笑ってアホみたいに泣かされる。
タイムスリップした先が戦国時代で、そこに居合わせた武将と姫を野原一家が助けるというシンプルなもの。
だが今回のクレしんは馬鹿馬鹿しいドタバタや「陳腐」を「爆笑」に変える破壊力は控えめ。
論点になって来るのが、クレしんの単純な娯楽性に「戦国時代の「リアリズム」をねじ込んだ点。
確かに合戦の様子はリアル。
当時の合戦のルールを娯楽映画の「お約束」として利用する方法は素晴らしい。
とまあ、合戦に関するリアリティは良いが、肝心の姫様側はリアルとは言えない。
何故なら姫君がそのまま後を継げばそれで良いのだから。
実際の戦国武将は、後継に男がいなければ女でも城主になれた。
巴御前や甲斐姫といった女武将がまかり通っていたなら、女城主が認められないわけがない。
鶴姫という実例もあるし。
本多忠勝の姪だか妹も城を任されていたっけな。
あと秀吉の嫁の茶々とか淀殿とか。
あの上杉謙信だって「実は女だったじゃないか」と疑惑が向けられるほどだ。
まあ余りにリアルにしすぎたらそれこそ「つまらない」。
「七人の侍」のようにリアリティとありえない描写をマッチングさせた「娯楽活劇」とするか、
「乱」みたいな城下町すら無い「悲劇」を描くか。
その点で言えば本作は「親子に見てもらいたい」からこそリアリティをねじ込んだ。
でも、それよりも大きな論点はラストの「唐突な最期」だろう。
戦場のリアリティにこだわった結果、いつものクレしんには無い哀しみが訪れた。
いままでの「クレしん」からは予想も出来ない事さ。
俺だってガキの頃は又兵衛があんな事になって泣いたよ。
ちくしょうちくしょうって悲しくなった。
死ぬ間際に大切な刀をしんのすけにあずけてさ・・・。
戦国武将のクセに女に弱かったりさ、人間臭い又兵衛。
静かな静かな幕引きはちょっと切ない。
クソ・・・もう100回見ても又兵衛のシーンで泣く自信があるぞコンチクショウ。