9.《ネタバレ》 「映画はエンターテインメント」という、世間の大半の人が映画に期待するものに対して、真っ向から挑んだタル・ベーラの意欲作。
ストーリーはほとんどないに等しく、父と娘の生活が淡々と描かれる。
しかも同じシーンの繰り返しが多い。
ジャガイモを食べるシーンとか、父の着替えを介助するシーンとか、井戸水を汲みに行くシーンとか。
この作品を見ていて想起されたのはロベール・ブレッソンのモノクロ作品だ。
だけど残念ながら、この作品はブレッソン作品には遠く及ばない。
ブレッソン作品ほど映像に力も無いし、内容に感銘も受けない。
娯楽性ばかりに重きを置いた映画の在り方に一石を投じようとした姿勢は評価したいが、この内容だと高い評価も付け難いものがある。
(追記)
冒頭、馬が登場するシーンのインパクトが絶大。馬自体は汚れているのに画は美しい。その芸術性の極みにプラス1点。