1.《ネタバレ》 熱海をはじめとして階段や坂道のショットが数多く登場して画面にアクセントをもたらしはするのだが、
その高低や段差がドラマに意味をもたらすまでには至らない。
自販機や鍋料理や行きつけの店なども律儀に反復してみせるが、活用と呼べる程ではない。
当初は二人をツーショットで捉えて交流を描写していくが、
髪を染めた桐谷の横顔とそれを詰る菅田のショットあたりから交互にピントを送って一方を暈すことで
二人のもはや相入れなくなっていく関係の変化を示していく。
終盤の木村文乃と菅田もそういう趣旨で撮られているのだろうが、その乱用はやはり面白くない。
十年間のスパンを描くのなら、キャプションや台詞だけでなく
もう少し映画らしい小道具や美術を活かしての年月経過提示が出来なかったものか。
その分、原作をマイナーチェンジしたラストで熱海の居酒屋の店員と娘がいい味を出したが。