ぐるりのこと。のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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ぐるりのこと。

[グルリノコト]
All Around Us
2008年上映時間:140分
平均点:7.03 / 10(Review 68人) (点数分布表示)
公開開始日(2008-06-07)
ドラマ法廷もの
新規登録(2007-12-02)【ボビー】さん
タイトル情報更新(2024-03-18)【イニシャルK】さん
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監督橋口亮輔
キャスト木村多江(女優)佐藤翔子
リリー・フランキー(男優)佐藤カナオ
倍賞美津子(女優)吉田波子
寺島進(男優)吉田勝利
安藤玉恵(女優)吉田雅子
柄本明(男優)安田邦正
八嶋智人(男優)諸井康文
寺田農(男優)吉住栄一
木村祐一(男優)夏目先輩
斉藤洋介(男優)橋本浩二
温水洋一(男優)和久井寛人
峯村リエ(女優)生方圭子
加瀬亮(男優)田中ツヨシ
光石研(男優)幼女誘拐殺人事件の弁護士
田辺誠一(男優)売春事件の裁判長
横山めぐみ(女優)資産家の母親
片岡礼子(女優)小山悦子
新井浩文(男優)大間真治
菅原大吉(男優)マッサージ師
新屋英子(女優)佐伯志津子
江口のりこ(女優)マンションの隣人
山中聡(男優)奸原聡(記者)
山中崇(男優)小久保健二
佐藤二朗(男優)内田
田中要次(男優)富田
菊池亜希子(女優)梶山栄子
古舘寛治(男優)
黒田大輔(男優)
赤堀雅秋(男優)
原作橋口亮輔
脚本橋口亮輔
音楽北原京子(音楽プロデューサー)
撮影上野彰吾
製作山上徹二郎
ビターズ・エンド(『ぐるりのこと。』プロデューサーズ)
博報堂DYメディアパートナーズ(『ぐるりのこと。』プロデューサーズ)
松竹ブロードキャスティング(『ぐるりのこと。』プロデューサーズ)
企画山上徹二郎
配給ビターズ・エンド
美術磯見俊裕
衣装小川久美子
ヘアメイク豊川京子
編集橋口亮輔
録音小川武
照明矢部一男
あらすじ
貧乏で負け組みの夫と生真面目な妻。どこにでも存在する夫婦であり、大きな不幸があるわけでもないし、特別良いこともない。しかし妻の様子が徐々におかしくなっていく・・・。再生を描いたヒューマンドラマ
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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28.《ネタバレ》 冒頭から不協和音を奏でるものがコツコツと散りばめられ、中盤のクライマックスへとたどり着く。その不快感が妻と観客をシンクロさせる演出の妙。
無限の闇の救いとは、誰かに支えられているということを受け入れることなのではないか。
個人的には二度と観たくはない映画ではあるが、誰もが一度は観ておくべき映画だとは思う。
打ち込みの挿入曲は映画の雰囲気には合っていないと思った。
xxxさん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-23 11:52:26)
27.《ネタバレ》 入念に作りこまれた映画だと思う。構成は徹底的に考え抜かれていて、情報量も多い。夫婦の生活と有名事件の裁判を交互に語る形式で、微視的・巨視的に90年代を切り取ってみせたのはちょっとあざとくも思えるけれども、確かに成功している。年代もきちんと提示されるが、女性のファッションを見るだけで時代がわかる描写の細やかさはさすが。風呂場で椅子から落ちてごつんと音がするところとか、リアリティうんぬんというかもう、生々しくて肌に伝わってくるようだ。

女は子どもを失った罪悪感から会社を辞め、男はなにごとにも辛抱強く、自分を納得させるための涙は絶対に流さない。英題を見ると「ぐるり」は二人を取り巻く周囲の状況を指しているようだが、逃げそうで逃げない、遠回りしているようで実は真摯に現実と向き合っている二人の生き方もまた「ぐるり」なのではないか、と感じる。というか安易な答えに飛びつかずに(あのうさんくさいベストセラー作家に抱きつく変人みたいに)、生きることに真摯でいようとするとするなら、回り道せざるをえないのかもしれない。

ただ、これほど見応えのある作品も珍しいが、正直いって内容を消化し切れなかった部分もある。割と爽やかに終われそうだったのに「継母ぁ!」を入れてきたのにはびっくりした。それに巧妙な構成が仇となって、ときどきものすごく冷静になったり、展開そっちのけで考え込んだりしてしまい、肝心な夫婦のドラマを遠巻きに眺めていた感がある。なのですごい作品とは思うけれど、感動の度合いを正直に書くと7.5点くらい。繰り返し観れば、いろんなことが腑に落ちるのだろうか。
no oneさん [DVD(邦画)] 7点(2009-08-09 22:38:00)
26.評価が高い本作..微妙でしたね.. 木村多江演ずる、翔子の言動に共感できなかった..病んでしまう過程をもう少し綿密に描かないと、観ている方は置いてけぼりに.. 作中のエピソード、小ネタの、等身大のリアルさは、評価に値するけどね...
コナンが一番さん [DVD(邦画)] 6点(2009-08-03 10:36:01)
25.まあまあ。飽きずには見れた。「猫背は情に厚い」ってのは本当かな?
すたーちゃいるどさん [DVD(邦画)] 6点(2009-07-25 20:49:25)
24.《ネタバレ》 現代日本の問題と希望を法定画家という視点を通して描いた作品。橋口監督が得意とする感情の細やかな描写が冴え渡る。これまでの橋口作品の印象は、短歌のように感情の機微を描写したシーンの集合体であり、悪く言えば寄せ集めの歌集のようなイメージが拭いきれなかった。しかしこの作品は、それぞれの歌が総合的に共鳴し、一体となって感情のうねりのようなものを生み出している。鑑賞後、あたたかい涙が流れる素晴らしい作品だった。この監督の眼差しが心に沁み込むのは、自身が患った鬱病や同性愛者として社会から受けた偏見、それらによる実体験に基づいて、真摯に人間と向き合ってきた結果なのだろう。本当に沢山の人間の美しさや汚さを見てきたのだと思う。そしてこれ程までに、日本人の美点と欠点、その両方を鋭く描写できる監督は、僕にはあの小津監督以外に浮かばない。小津は省略が上手い監督であるが、橋口はその逆の長回しでその場の空気感を伝えるのが上手い。両者に共通するのは日本を愛する心と繊細さとユーモア。そして、この映画では、監督が今の日本を憂いていて、どうしてそうなったのかを、失われた10年を振り返ることで問題提起しているのだなと思った。どこまでも日本というものに拘って撮った作品であるのは間違いない。個人的に印象に残ったのは、日本人の愛情表現を描写したシーンの美しさ。欧米の方が見たら、こんな感想を持つだろう。なぜ彼女を強くハグしないんだ、なぜキスをしないんだ、なんで愛してると言ってあげないんだ、等々…。こういった疑問には、こう答えるしかない。「これが日本人である」と。最後の方のシーン。二人で完成した天井画を見つめ寝転がる。そっと手をつなぐ。そして、足でお互いを蹴りあう。素晴らしい日本的な愛の表現方法だと思う。しかし、悲しい哉、時には直球で表現することも必要なんですね。それは日本人の欠点。白黒つけず曖昧なままだったから、カナオを女好きなだけな男だと勘違いして、ショウコは勝手に妄想爆発して病んでしまったのでしょう。段々分かってくるが、彼は"ヒト"が好きなのである。その眼差しは、どこまでも多角的であたたかい。ところで、この夫婦は、死んだ老婆のようにスケッチされた女性の心も救ったのでしょうね。大事に持っていたカルキ臭い壺が割れたのは爽快だった。はからずも、小津の傑作『晩春』の壺を思い出した。
Nujabestさん [DVD(字幕)] 10点(2009-07-22 21:11:14)(良:2票)
23.《ネタバレ》  橋口監督の繊細な人物描写は見事ですね(これまでの作品はテーマ的に敬遠していましたけど、今後の作品は見ていきたいと思いました)。木村多江とリリー・フランキーのキャスティングも見事にはまってました(理想的な夫婦関係ですよね・・・)。それと、90年代の不気味で世紀末な世相をうまく取り入れてたのも良かったです。
  
 見終わった後、確実に心がやさしくなっている・・・そんな作品でした。
TMさん [DVD(邦画)] 8点(2009-07-03 18:31:28)
22.一方に20世紀末の世間を騒がせた事件史があり、一方に無名の夫婦の歴史がある。でもこうして裁判所での事件を並べてみると、個性的に見えたそれぞれが同じ「社会からの逃走」という病いの別の症状の現われに見えてくる。また、妻の母に認められるまでの夫婦史を眺めていると、世の夫婦というものは同じようでいてそれぞれの特殊を生きてるんだな、と思わされる。普遍と特殊がスルリスルリと交替しあっているような世界観。それらを貫いているのは「人生から逃げない」ということ。別に歯を食いしばって抗うことでなく、柔軟に、しかし逃げないということの大切さ、そんなテーマの周辺を回っていたような気がする。「とにかく面倒なことからは逃げよ」という人生訓を守って生きてきた者にとっては、粛然とさせられる。法廷スケッチという一日だけ有効な絵と、寺の天井画という永く残る絵、でもそれらが等価に支えあって夫婦になっており、また社会が成り立っている、そんなことを見ながら考えていた。夫婦のいさかいなど、長回しで場の雰囲気をそっくり捉えるところが、うまさ。ただ親戚連中は、時代の変化を見せるために動員されたような感じで薄っぺらい。それと天井画ってのがやや唐突だったような。
なんのかんのさん [DVD(邦画)] 6点(2009-05-29 12:07:23)(良:1票)
21.《ネタバレ》 最後まで観ると、救われた気がして「いい映画だった」と思えます。中盤、鬱になる女性が子供のように泣きじゃくるシーンからの展開が心地いいです。木村多江はいい女優だと思いました。ホント、人生って長いスパンで見ないと、良かったか、どうかなんて分からない。簡単にくっついたり、はなれたりする夫婦が多い中、この映画の2人は最後は、羨ましい感じのカップルになります。やはり、人は長く付き合わないとね。それにしても加瀬亮君は裁判がお似合いなのか、よく法廷に立つね。今回も変な役で出てますが。それにしても彼はテレビドラマや声優と活躍してますね。
トントさん [DVD(邦画)] 7点(2009-05-26 14:24:19)
20.タイトルからなんとなくほのぼのした作品をイメージしてたのだけど、見てるだけで鬱になりそうな暗い展開に凹みました。
血を吸い出すシーンもグロテスクで駄目でした。
本当に切ってるんだろうかとか、その後の洗浄シーンで大変なことになるんじゃないだろうかとか考えてしまって本編に集中できず、ちょっと鬱。
裁判もどんどんエスカレートしていく感じで、全部鬱。
途中で逃げ出そうかとも思ったけど、最後まで見ないとレビューする資格を得られないし、困った鬱。
それでも、後半は気持ちが開放されて鬱も解消。
心が軽くなって温かい気持ちで鑑賞を終えることができました。
いい作品です。
木村多江は脇役としてはいろんな作品で見てきましたけど、主演女優としても素敵でした。
リリーさんも良かったし、その他の人たちも実はいい人ばかりで、誰も悪人が居なかったような気がします。
もしかして、被告たちも実は悪人ではなかったとかいう裏メッセージなんでしょうかね。
もとやさん [DVD(邦画)] 8点(2009-05-26 01:35:59)
19.だんなの優しさがどんな薬よりも精神状態を安定させるということが
よくわかる。しかし法廷画家で食べていけるほど日常的に新聞等に
絵がのっているとは思えないのだけど...。あと旦那がつらい状態から
自発的に脱した人に「逃げた」と断言するシーンがたびたび出てくるので
そういう状況下になりつつある人も含めて見る人を選ぶ映画だと思う。
K2N2M2さん [DVD(邦画)] 6点(2009-05-23 05:22:37)
18.甘過ぎず苦過ぎず。
人肌燗で清濁併せ呑んだ気分。
michellさん [DVD(邦画)] 8点(2009-05-18 22:51:59)(良:1票)
17.《ネタバレ》 生きる技術を教えますという感じの映画でした。観ればきっと苦境から脱出するヒントを見つけることができるでしょう。夫は負け組みの亭主です。優しい男なのかもしれませんが、貧乏のオーラが体から漂っていました。まるで貧乏神の化身。まさに甲斐性の無い夫の象徴でした。こういう男の妻にだけはなりたくない。しかし世の中には、DV夫や、ギャンブル狂の夫が星の数ほど存在し、妻を苦しめています。それに比べたら、屁のツッパリでもないかもしれません。妻は家庭内で暴力をふるわれたり、社内でセクハラを受けていたわけではありません。しかし彼女がだんだん傷ついて壊れていく様子が、丁重に描かれており、うつに陥る人のことがよくわかりました。人によってはこの程度の不幸だったら、もっとがんばりなさい、と言うかもしれません。しかし借金地獄だったら納得できるのでしょうか。地雷で足を失えばいいのでしょうか?エイズを抱えて生きている人が本当の不幸を抱えているのでしょうか。人が感じる不幸というのは相対的だと思います。人生は素晴らしいとよく言われますが、あれは半分は嘘です。人生の本質はつらいのです。そういう前提で、先の見えない海の向こうを泳ぐときのように、人生を完走しなくてはいけません。それは簡単ではありません。生きる技術が必要です。ヘタレ亭主でもたまには名言を吐くようです。「おまえはみんなに好かれようとするからだめになる」 ・・・・。妻のように、ちょっと自分を否定されたら、すぐに落ち込む人は多い。こういうときは我が国の総理大臣を見習ってください。政治家というのは、選挙で当選して政治家になります。しかし誰1人として、満票で当選した人はいません。全員から好かれることは不可能なのです。必ず自分の存在を否定する他人が存在します。だからムリに人間関係を修復しようと、もがくのではなく、そういう事実を受け入れたうえで、自分を信頼してくれる人を大切にしたほうがいいですね。法廷を通して、人と人との関係性を丁重に描いたヒューマンドラマでした。

花守湖さん [DVD(字幕)] 9点(2009-05-15 21:42:00)(良:2票)
16.ストレスが溜まりすぎて体がボロボロになりました。とにかく長い……ダラダラと長い……本当に長い……いつ終わるんだろう……このシーン、何の意味があるんだろう……早く終わらないかな……こんなに長く感じた映画もめったにありません。1時間40分くらいに編集してくれれば7点くらいになってたかもしれませんが、観終わって鬱病をうつされたような気分です。……しかし本当に長い……(溜息)
クロエさん [DVD(邦画)] 3点(2009-04-15 12:16:20)(笑:1票)
15.リリーさんの自然体の演技と木村さんの迫真の演技は、マッチしてたと思う。やっぱり奥さんは元気な方がいい。夫婦が本当の意味で夫婦になる過程を観させていただきました。
Yoshiさん [DVD(邦画)] 6点(2009-03-31 01:45:49)
14.《ネタバレ》 子どもが死ぬまでは、非常に退屈な映画です。そこまで30分、危うく途中放棄するところでした。・・・・この映画、男性の見る目と、女性の感想とでは、もしかしたら、かなり違うのかもしれない。というのも木村多江の感情の動きが、確かに、こういうのはあるだろうけど、自然なものには思えないから。・・・・・ということで、リリーフランキーにしてみると、仕事は最低、自分の態度も最低、奥さんも最低、奥さんの母親も薬事法違反の行為で金を稼いで最低、奥さんの兄も殆どヤクザで最低、兄の嫁も最低、法廷画家の仕事も最低の内容、そしてこうした犯罪者も最低なら、それを生み出す社会も最低。・・・こんな最低の周囲に対して、どう接したらよいのだろう。木村多江は、最低の部下に対して、結局自分が破壊され、仕事を辞めた。フランキーの父は、自殺した。・・・・この映画、そうした態度を「逃げる」と表現し、逃げてはならない、と説く。最低の周囲環境から逃げることなく、無理に戦わず、適切な関係を取って生きて行けば、木村多江の失踪した親父のように、最後にこの上のない微笑みを保つことができるのでしょう。拒否するのでもなく、かといって、全面的に受け入れるのでもなく、最低な周囲の存在を承認するけど、自分はそれに染まるわけではない。・・・・それにしても、こんな大人の日本映画があり得たのだ、とびっくりしました。
王の七つの森さん [DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 23:32:19)(良:2票)
13.人と人の結びつきなんて、とても“あやふや”で、脆いものだろうと思う。
結ばれることも、離れることも、実際紙一重で、ギリギリな状態。
でも、だからこそ、今一緒にいられることが、愛おしく素晴らしいものなのだと思う。

ふと一緒になった夫婦が、愛し合い、傷つき、泣き、笑いながら、それでも共に生きていく。
特別に劇的なわけではない。
普遍的だからこそ、その当たり前の“結びつき”が、キラキラと光り輝いて見える。

なんて素晴らしい映画だろうと思った。なんて人生は素晴らしいのだろうと思った。

木村多江+リリー・フランキー。
何とも味わい深い配役によって、とても魅力的な夫婦像を見せてくれた。
特に、木村多江の存在感が素晴らしく、10年という歳月の中で、子を亡くし深く落ち込んでいく繊細さと、そこからまた浮かび上がっていく力強さを、とても魅力的に表現してみせてくれる。
また、リリー・フランキーも、陰惨な数々の事件を法廷画家という視点で触れながら、心揺れる妻を静かに支える朴訥な夫を好演したと思う。

そして「ハッシュ!」以来の待望の監督作品となった橋口亮輔の繊細な人間描写が冴え渡る。

人間が傷つくことに、明確な理由なんて存在しない。
だから、そこから立ち直っていくことにも、理由なんてない。
どうするべきだとか、何をしてはいけないなんてなくて、それを求めようとしても難しい。

ただ一つ、ヒントがあるとすれば、それは、「時間」だと思う。
「時間」さえ経ることができれば、人間は大抵のことは消化できる。

そういう、人間の根本的な“つよさ”を描いた映画だと思う。
鉄腕麗人さん [DVD(邦画)] 10点(2009-03-29 10:54:18)(良:2票)
12.絶望と希望への再生、陰湿な心と優しい心、対極的な人の心が沢山映し出されている。
夫婦二人のスタンスが凄く居心地良かった。

ひで太郎さん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-24 12:01:36)
11.《ネタバレ》 この映画は、自分の周りにおこる様々なこと(=ぐるりのこと)から「距離」を保つことの大切さを語りかけてくれます。「距離」とは「逃げる」ことではありません。物事にぶつかりそうで、ぐちゃぐちゃにされるほど近くもなく、対象がボヤけて何がなんだかわからなくなるほど遠くもなく、ほどよい、心地よい「距離感」です。カナオは、裁判を描く仕事を通じて、被告や被害者の目や手の動きを見つめながら、社会や人とのほどよい距離を見つけます。祥子は花の絵を描きながら、花びら一枚一枚を丹念に見つめることで、自分や家族が抱えてる問題を見つめられる距離を見つけます。
問題に真正面からぶつかれ!といわれ、新たな問題を引き起こしてしまう現代の問題解決方法では何も解決しないんだよ。そもそも問題なんて存在しないし解決する必要もないんだよ。そうやさしく語りかけてくれるよい映画でした。
爆裂ダンゴ虫さん [DVD(邦画)] 8点(2009-03-19 16:52:15)(良:1票)
10.《ネタバレ》 自らの意志のみで世の中を真っ当に生きることはそもそも難しいことである。智に働けば角が立ち、情に棹させばながされる、意地を張れば窮屈だ。明治の代からそれは変わらない人情という世情である。
夏目漱石が『草枕』で描いた非人情の風景。誠実さ故に人情の世界の中では「狂い」のものとされてしまう女。その女に人間として惹かれる画家の男。それは絵画的な風景としての生の捉え方であったか。

『ぐるりのこと。』は、自らの行き方と世の中のズレを許容できないばかりに、次第に精神を病んでいく女とそれを見守る男の物語である。「ぐるり」とは、自分たちを取り巻く世の中のこと、という意味だと察せられる。(英語題より)
女は非日常的に自らの誠実さを表現できる「絵画」を日常とすることによって快復していく。男はそれを見守る法廷画家の男である。彼は「ぐるり」を描き続ける男でもある。
もちろん、彼らは10年という年月をリアルに生きており、それは決して非人情という風景の断片ではない。丹念に描かれ、紡がれる生活というもの。日常があり、非日常がある。その繰り返しの中で生きる辛さに押しつぶされてしまったが為に、破錠しかける2人の生活。
生きるというのは「ぐるりのこと。」であり、「関係」であるが故に辛いけど、それが為に繋がる喜びである可能性もある。彼らの10年はそのことを漸く知る為の10年であったことが僕らに伝えられる。

生きることは、年輪を重ね合わせることである。そう思わせてくれる「物語」であった。
onomichiさん [DVD(邦画)] 9点(2009-03-18 22:10:34)(良:1票)
9.この監督が描く「救済」の感覚が好きだ。前作『ハッシュ!』ほどの爽快感はないものの、90年代の日本を舞台にどっしりと腰を据えた作りは、他作品にはない安定感がある。人と人はぶつかり合ったりすれ違ったりするが、磨り減った心を回復させるのは人しかないというメッセージが快い。宮崎勤事件をはじめとする日本の暗部を「法廷画家」という立場から見据えたリリー・フランキー扮する主人公の優しい目は、そのまま監督の視線と重なる。木村多江という「女優」を発見した功績も大きい。
フライボーイさん [DVD(邦画)] 8点(2009-03-04 23:55:32)
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【点数情報】

Review人数 68人
平均点数 7.03点
000.00%
111.47%
222.94%
345.88%
411.47%
557.35%
6811.76%
71420.59%
81623.53%
91217.65%
1057.35%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 6.66点 Review3人
2 ストーリー評価 6.16点 Review6人
3 鑑賞後の後味 6.66点 Review6人
4 音楽評価 5.80点 Review5人
5 感泣評価 6.80点 Review5人
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