60.《ネタバレ》 今さらながら初見。数ある高倉健主演作の中で、これがベストかなと。ドキュメンタリーと見紛うような過酷なシーンの数々もさることながら、やはり組織論・リーダー論として秀逸です。最後まで隊列も士気も乱さない少数精鋭の高倉隊と、いつの間にか隊列も指揮系統もバラバラになって壊滅していく大所帯の北大路隊の対比が、痛々しいほどに伝わってきます。それに、崩壊の元凶となる三國の描き方も見事。現場の知識や経験もないのにメンツや職位にこだわり、場当たり的な提言に翻弄され、結局組織を崩壊に導くような人物は、明治の八甲田のみならず、平成の企業組織にもいる気がします。ただし大きく違うのは、責任の取り方。三國はさすがに明治の軍人らしく、潔く自らの非を認めました。それに対して平成の団塊オヤジは「部下が無能だった。オレは被害者だ」とか平然と言い放ちそうですよね。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-10-12 21:06:52) (良:3票) |
59.新田次郎の小説「八甲田山死の彷徨」の息詰まる迫力というのは、克明な描写がもたらす“記録文学っぽさ”に大いに由来しているだけれど、その一方で、作家の想像による補填というだけではない明らかな創作も多々含まれていて、実際の事件に取材しているとは言え、登場人物の名前は皆、実在の人物から変えられていたりするのですな(その前に書かれた短編「八甲田山」ではまだ、それこそ作家の人生観を反映させるような創作は目立たず、雪山の恐怖を描く事自体に主眼があったものの、この時点ですでに名前の変更が行われている。一部の名前は「八甲田山死の彷徨」でさらに変更されている)。で、まあ、この映画もあくまで、小説「八甲田山死の彷徨」の映画化作品なワケです。青森第五聯隊と弘前第三十一聯隊の運命を、やや残酷なまでの対比をもって描かれるのですが、一方で、やはり役者が身をもって演じる“映画”ならではの、同情というか優しさのようなものも感じさせます。何しろ、雪山ロケの、どこまでが演出なのか(それとも演出など有って無いようなものなのか)わからぬトンデモナイ過酷な光景が延々と続くのですから、「ちょっとイイ話」的なセンチな要素も、映画に入れたくなるってもんでしょう。そのくらい、この映画は、やり過ぎです(笑)。カメラのレンズにまで雪が積もってませんでしたっけか。本当に撮影中に死人が出なかったのだろうか、なんぞとついつい心配してしまう、猛烈に我々に訴えかける力のある映画(映画の完成度とか何とかはそっちのけで)。そんな訳で、必ずしも記録文学とは言えない原作に基づいて、ある意味“記録映画”な作品が出来ましたとさ。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2013-09-11 22:29:34) |
【もんでんどん】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2013-08-08 10:59:22) |
57.撮影大変だったろうけど、映画としては盛り上がりなし、少し退屈。 【noji】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-07-29 00:00:27) |
56.ものすごく昔に、天は我々を見放した、という台詞と共にその予告編が鮮烈に焼き付いていましたが、何十年という時をこえて今回ついに、初鑑賞することとなりました。感想としては、もっと発狂しておかしくなってしまう人が続出するのかと思っていたら一人しかいなかったのと、高倉健の部隊は無事だったことに、想像との違いを知りました。それにしてもよくまぁ撮影したもんです。スタッフも役者も相当大変だったでしょう。それだけの力作ですから、作り手の魂は十二分に伝わってくるのですが、いかんせんこれは映画です、娯楽作品です、その点を考えるとどうしても回想シーンがあまり効果的になっておらず、むしろくどいし、編集の下手さが目立って仕方なかったです。辛くて厳しいという大まかなことは伝わってくるんですが、肉体的にまた精神的にどう辛いのか、その辺りの描写がもう少し掘り下げてあったら、見ているこっちも一緒になって、凍え死ぬ様な思いになれたかもしれません。大作映画はどうしても「小の描写」よりも、「大の描写」におもむきを置きがちになる悪い傾向がありますね。 |
55.《ネタバレ》 ただでさえとんでもない作戦なのですから、どこでどういう考えがあってそれに挑んだのか、その状勢的背景はどのようなものであったのか、当事者たちはそれに臨むにあたってどのような思考や葛藤があったのか、というところを十分に下地として築いていないと説得力がなくなるのですが、何と、将校の一言であっさりと実施が決定し、登場人物もさしたる逡巡もなくあっという間に決行に至っています。それが第一の難点。また、せっかくの豪華キャストを投入していながら、演技や表情がほとんど見えません(脚本自体、表現でどうなるものでもありませんが)。それが第二の難点。手間がかかったであろう撮影の苦労がもったいない。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2012-12-19 23:02:12) |
54.オールスターキャスト登場の日本映画。 緒方拳あたりでもちょい役になっている。 三國連太郎がいい。 一見有能そうで、実は無能の役。 エゴと自尊心だけが強くて、結果的に部隊をほぼ全滅させてしまった。 最後はそれに自分が気がついて、、、、 神田大尉の苦悩と葛藤が手に取るように分かる。 これは、戦争映画というよりは、現代社会の縮図を表現したヒューマニズム大作でしょう。 この演出では、指揮命令系統の乱れが大惨事に至ったみたいな描かれかただが、実際は、本当にありえないくらいの大寒波が真の理由みたいです。 それじゃ映画にならないでのこうしたのしょうでしょう。 両大将の妻役、栗原小巻と加賀まりこの圧倒的な美しさ。 この頃の女優は凛とした趣があった。 案内人役の秋吉久美子も絶品。AKBで楽にセンター張れるでしょう。 今の女優は薄っぺらいね。 【たきおか4号】さん [地上波(邦画)] 9点(2012-12-08 19:11:08) |
53.《ネタバレ》 何しろ日露戦争頃のお話。無線も飛行機も未だ普及していない。そんな時代(110年も前だ)には大層な冒険だったことだろう、吹雪の雪山の行軍。そのその過酷な行程の、イヤというほどの時間を使った描写は、見事。途中途中に回想として挿入される、青葉の木漏れ日や、美しい花畑などの映像が、さらに吹雪の厳しさを強調する。登場人物たちの背景に、遠目に見える雪崩が、CGなんかじゃ無いことを知っているだけに、余計に怖い。 また、この映画は他にありがちな、事件当人にまつわる家族や、恋人などの周辺の人のドラマを、あまり追っかけておらず、事件そのものの描写に注力しているのも良い。 戦争批判というのとはちょっと違うが、実際に当人に伝えるすべのない状態で、「作戦は中止した」のなんのって言う、司令官たちの会話が、実に虚しく滑稽だ。その上、馬鹿な上司のお陰でドンドン、ドツボにはまる様を見ていると、腹立たしくなってくるが、原作者は確かお役人さん出身だったと思い出し、彼の上司にこんな人がいたのかなあ、なんて思ってみたりもする。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 8点(2012-11-24 01:51:22) |
52.《ネタバレ》 大作、力作、そんな言葉がぴったりの映画だけど、正直それほど楽しめなかった。簡単に言えば「八甲田雪中行軍遭難事件」の単なる再現映像になってはいないか?ということだ。映画ならば人間ドラマを見せてほしい。そこが希薄だと感じた結果、せっかくの豪華キャストもありがたみが無くなってしまった。加山雄三は当時落ち目だったのかもしれないが、緒形拳、丹波哲郎あたりは役不足でしょう…。苦難の連続も、徳島大尉も神田大尉も、その他の人らも面白みに欠ける。ただただ雪との闘いでこれだけ長いとかなり疲れる。 【リーム555】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2012-08-26 12:30:12) |
51.《ネタバレ》 まぎれもない大作です。そして、実際にロケ隊が遭難しかかったというのもよくわかるぐらい、全編に渡り吹雪いてる。観ていて寒々しくなるので、真夏に観るにはもってこいかも(笑)。ただ、3時間弱の尺は正直長く感じました。2時間ぐらいにしても別に問題ないのではないかと思う。基本の主軸は、有能なリーダーと無能なリーダーの対比、それに尽きるでしょう。無能なリーダーのせいで、多くの隊員が正気を失い、命を落とした。そしてそのリーダー自身は、隊員たちによって最後まで生かされたという切ないラスト。さすがに自責の念で最後は自害されてたけど、そもそもこの訓練てどれほどの意味があったのかしら、ていう思いもありますよね。案内人の女性に対して徳島大尉が「案内人殿に、敬礼!」と言うシーンが一番良かったです。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-08-20 14:06:47) |
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50.物語の設定と同じように、実際の冬の八甲田で撮影するという極めて過酷な状況の中でできあがった映画だ。映画は原作と同様に大変な人気を呼び、私の勤務する高校でも学校をあげて鑑賞することとなった。 事細かに雪中行軍に至った経緯が語られ、青森の第5連隊と弘前の第31連隊がともに真冬の八甲田を踏破する計画が進められる。しかし案内人を用い少数精鋭の小隊で編成された31連隊と、大隊長らも加わって統制のとれなくなった第5連隊とでは、計画内容は大きく違っていた。この辺の描き方が実に丁寧で、前半からすでに見応えのある堂々とした映画になっている。 ところが大規模なスケールで始まった映画も、悪天候の雪の中では誰が誰だかわからず、豪華キャストも形無しになっているように思われる。そしてまた、雪の中で彷徨する過酷な重苦しいシーンが続くが、それはまた観客にも同様の体験を味わってもらいたいとさえ言っているように思える。 その中にあって回想シーンがアクセントとなって映画を引き立てている。また全編繰り返し流れる音楽もまた良い。 ただ心配なのは、時代背景や走行ルートなどある程度の知識を持っていないと、ただ単に雪の中を歩く映画に思われてしまいそうだ。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-07-19 06:50:46) |
49.史実をベースにした人間ドラマ。 かなり脚色も入っているようだけど、橋本忍の脚本は相変わらずの安定感があり、 どっしりとした見応えのある重厚なドラマに仕上がっている。 豪華役者陣のキャスティングも素晴らしく、緊張感のある展開に一瞬たりとも目が離せない。 と思ったら、目が離せないのは映像がもの凄い暗く、役者の顔が見えないことも要因だった。 表情が見えない。演技がわからない。顔がスミで真っ黒に塗り潰しているようなシーンもあり、 これはちょっとひどすぎるね。映像で減点だなんて、勿体ないなぁ。 ものすごい集中力を駆使した映画だった。 【MAHITO】さん [映画館(邦画)] 7点(2011-08-18 18:51:57) |
48.《ネタバレ》 豪華キャストに超大作。 内容は、ただひたすら雪原を進むだけのもので、3時間、我慢を強いられた。 まるで雪原の中を根性で進む映画の内容と同様に、観ているこちらも、その単調さに根性が必要とされる。 「雪の中で眠ってはいけない!死んでしまう!」 まさしく、私も眠ってはいけない、眠ってはいけない、と自分に言い聞かせながら3時間を辛抱し、やっとエンドに辿りついた。 主演の高倉健の出番はかなり少ない上に、名優の三國連太郎はその演技力を発揮する機会さえ与えられていない。 豪華キャストだが、吹雪の中で彼らの表情がよく汲み取れず、せっかくの豪華キャストが活かされていない。 木村大作の撮影も、別に特筆すべきこともなく、「大変な環境の中でよく頑張って撮りました」という程度。 豪華キャストの意味もなく、そして意味もなく長く、内容は雪原を進むだけ、というまさに超大作駄作。 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 2点(2010-07-25 15:32:32) |
47.当時、多大な費用をかけた宣伝で、それまで邦画に興味がなかった若者層の観客にも映画館に足を向かわせた、功績の大きい映画。また、同時に映画館に足を向かわせた若者層を含む多くの観客に、宣伝の割にはつまらないと、二度と邦画を観に映画館へ足を向かわせなくした、A級戦犯的映画。 【ダルコダヒルコ】さん [映画館(邦画)] 4点(2010-05-14 00:13:35) (良:1票) |
46.《ネタバレ》 中学生のころ家族全員で観に行った最後の映画です。雪が降るたびに♪雪の進軍、氷を踏んで♪と歌いながら行進したなー。などとセンチメンタルになりつつDVDで再鑑賞。真冬に実際の八甲田山でロケを敢行した映画作りの情熱は、それだけで感動します。案内人さわ(秋吉久美子が可愛い!)との別れで、敬礼を持って送り出すシーンは当時は感動しましたが、今観ると美化しすぎかなと少しマイナス評価をしました。 原作『八甲田山死の彷徨』を読みながら本作を観るとリーダーシップ論のよい教科書であることに気づきます。計画・リスク・決断について考えさせられます。こういう映画の見方もあっていいのではないかと思っています。 【爆裂ダンゴ虫】さん [映画館(邦画)] 9点(2010-01-10 18:40:10) |
45.《ネタバレ》 大変不親切な映画だと思います。よく商業映画としてヒットしたなと。 まず、何にも予備知識の無い人間がこの映画を見て、二つの隊の状況、ルート、違いを理解できるでしょうか?無理だと思いますが。 そしてただでさえ暗くて見づらい画面に加えて、頻繁に説明無しに切り替わる二つの隊の映像、これは福島隊、これは神田隊と瞬時に見分けるには、かなり集中力がいるのでは? まるでわざとわかりにくくしてるような演出だと自分には感じられました。 ただし、もし手元に何かこの事件を記した本(できたら地図付)があれば、話は全然違います。 そういうものを参照しながら見れば、どれほど一つ一つのエピソードが丁寧に描かれてるか良くわかるんです。 だからこそ、最初に言った不親切さが残念な映画ですね。 しかし、こんなわかりづらい映画が商業映画として大ヒットするって昔の映画観客は随分ゆるかったと感じます。 参照する本さえあれば7点、しかし普通はそんなもの頼れないのでー3点です。 【rhforever】さん [DVD(邦画)] 4点(2009-11-21 14:46:12) |
44.《ネタバレ》 無能な者の誤った判断のために、多くの部下が苦しみにのたうって死んでゆく。正視できない酷さです。山田少佐の自決にプラス5点。明治の人は恥を知っていたようです。 |
43.森谷監督は「海峡」でも感じたことだけど、ロケ撮影の天候の見せ方に徹底した拘りがあるようです。雪中行軍に入ってからは、ほとんど人が判別できません。でも、軍服の雪の付着の仕方を見ていると、何時間も雪の中に居たとしか思えない。凄まじい撮影だったことは容易に想像できます。きっと黒澤明の助監督時代に学んだ姿勢なのでしょう。史実としての遭難事件に脚色が加えてあるようで、この映画から、行軍計画のどこに間違いがあったかを論ずることには意味が無いように思います。話は変わりますが、この映画は一時期、邦画の興行収入記録を持っていた作品らしい。制作費の多くを広告に投下し「天は我を…」という流行語まで生み出した。でも今作が興行収入に見合った魅力を持っていたかというと疑問符が付きます。重い見応えがあるので評価自体は悪くないと思いますが、劇場へ足を運んだ人は満足したのだろうか。よく邦画は面白くないから観ないという人がいますが、こういう大作が持つイメージがそのまま邦画全体のイメージとなり、その後の洋高邦低の流れを作ったのではないかと推察します。邦画ファンの意見でした。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2009-10-31 23:11:53) |
42.《ネタバレ》 完全版なるものの方を鑑賞。どこまで史実に基づいているのかは謎だが、単純に長いだけで面白くは無い。二人の隊長の対照的な運命はそれだけで面白くあるはずなのだが。山に入ってからが雪降ってるし帽子被ってるしで、誰が誰だか良く判らなくなる。高倉の隊の映像なのか、北大路の隊の映像なのかも時々分からなくなる。もう少し編集なり構成なりでどうにかなるはずだが、その編集自体が非常に稚拙。なんでそんなカットが入るんだ?ってことも少なくない。ばらっばら。これでは編集の技量でなんとか、などとは望むべくも無い。とにかく散漫に映像を並べてある。三時間弱もかけて、どこまで脚本通りに撮られているのだろうと疑念すら沸く内容。やけに叫びたがる演出は悲壮感を出したいが故か。メリハリなく、逆効果ですよ。氷を蝋で表そうとするのはいかにも時代ですな。撮影は大変だったろうなぁとは思うものの、作品はその労力に応えるものになっていなかった。 【MARK25】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2008-10-20 21:10:48) |
★41.誠実キャラは徹底的に真実一路、間抜けキャラは徹底的に間抜け! それぞれの個性が際立っていてストーリーを引き立てているのですが、それが極端すぎてキャラクターに人生というか背景の歴史を感じられないのが少し残念。 舞台芝居みたいになっちゃってる気がします。 それにしても観ていて寒すぎる!真夏にでも鳥肌が立つほど寒く感じます 【パターズ】さん [ビデオ(邦画)] 7点(2008-10-15 17:23:53) |