35.《ネタバレ》 主人公が有能なヒーローであると勘違いされる映画、好きですね。
「サボテン・ブラザース」然り「ギャラクシー・クエスト」然り。
そういった訳で、上述の作品を愛する身としては
「何時、主人公が真実に気付いて、慌てふためく事になるのかな?」
なんて思いながら観賞していたのですが……
結局、最後まで周りを勘違いさせたままエンディングを迎えたんだから、もう吃驚です。
さながら「刑事コロンボ」で犯人が捕まらずに、そのまま逃げ切ってみせたかのような衝撃。
でも、決して「裏切られた」という印象は受けず、完走し切ってくれた事に、心地良い満足感を味わえましたね。
途中で主人公が真実に気付いた方が、そこから二転三転させてのストーリーを展開させ易いだろうに、あえて初志貫徹してみせたかのような作りは、本当に天晴だと思います。
ラストのキスシーンの背後で、悪役を乗せたヘリが爆発するんだけど、その事にも主人公は気が付かないまま。
何かが爆発したかと思うくらいに衝撃的なキスだった、と呑気にヒロインに話す辺りなんて、実に微笑ましい。
他にも、自白剤を飲まされた主人公が「今日は誕生日だ」という情報を口にした途端、悪役達が反射的に「ハッピーバースディ」と声を揃えて祝福してみせる場面なんかも、お気に入りですね。
この映画が備えている「愛嬌」を、如実に示したワンシーンだと思います。
そんな中で、あえて不満点を挙げるとしたら……
「最後は弟と一緒に葉巻を吸って欲しかった」と、それくらいになるでしょうか。
序盤にて、葉巻を吸う事が誕生日のゴールであるかのように描かれていたので、その予想が正解であって欲しかったんですよね。
あとは、主人公である兄に比べると、弟の扱いが不憫だったので、兄弟仲良くハッピーエンドを迎えて欲しかったなと、そう思えちゃいました。
映画が終わった後も、主人公は周りを勘違いさせたまま、敏腕エージェントとして活躍し続けるのか。
はたまた正体がバレてしまい、無事に結ばれたはずのヒロインとの仲も危うくなってしまうのか。
そんな後日談について考えるだけでも、楽しい気分にさせられる一品でした。