8.《ネタバレ》 相変わらず、政治エンタメとして面白かったですね。
マイケル・ムーアの映画は毎回観てますが、変わらないものと、変わってきたものとあって、
華氏911の時と比べると銃規制の話とかは変わってないし彼の信念も全然変わってないんだけど、
本作はだいぶペシミスティックな感じが伝わってきて。それはなぜかと言うと、ムーアだから当然反トランプ&共和党なんだけど、
後半からは民主党の現体制やオバマまで批判してるわけです。
それで、多くの人が失望や諦めに入ってきて、民主主義が揺らいでる、みたいな話になっていく。
それですごくペシミスティックなんだけど、でも逆に若い人たちに希望を見出す、と言うようなラストになってく。
そうですね、つまるところ特にアメリカの場合は政治にお金がかかりすぎるし、最初の候補者選びの段階でも党の意向があるし、
あと何より右とか左ってのがすごく曖昧になってきたと。トランプ氏はレイシズム的だったり金持ち優遇だったりする一方、
民主党よりリベラルなことを言って民主党候補者をこき下ろし支持者もプア系の人が多い。彼らの雇用を生み出すってのが強み。
それでもう対立軸がよくわかんなくなってきた。以前のようにわかりやすい時代では無くなってきた。
非常に混沌としてきたと言うのはあります。混沌とした中では、ストレートな物言いの人が好まれる。
トランプ氏みたいなの人はパッと出てきたわけでは無くて、やっぱり既存の反動みたいなのがあって、
「もう理想論や綺麗事は聞き飽きたよ。そんなことより職くれよ」みたいな人がたくさんいるんだろうと思います。
ムーア作品を見てその正論さに共感を感じると同時に、言いようのない遣る瀬無さを感じてしまうのもそのへんにあるのかなと思います。