131.《ネタバレ》 “THE ABYSS”『深淵』。底なしの海溝の底には何があるのか?
この作品は、中学校の授業の一環で観ました。平日、学年全員で映画館に映画を観に行くなんて、ウチの学校だけだろうか?そういうイベント今でもやってるのかなぁ?先生は無難にBTTF2(前年末公開)にしようとしたそうだけど、人気作だったし観たい人はもう観てる状態。映画授業は2月末。そこで無理を言って、まだ公開前の本作を観せてもらいました。先生と劇場に感謝。
当時、深海/海洋映画が立て続けに公開されて、それがたまたま2作品続けてホラー映画。「また海洋モノか」って、食傷気味ではあったけど、そこはあのJキャメロン監督。しかも初のオリジナル超大作。期待が高まる。
ヘリから降りる軍用ブーツ、軍用ブーツ、軍用ブーツ、スト足パンプス。これだけで掴みは充分だ。そしてキャメロン監督らしく、しっかり“強い女”と“自己犠牲”を抑えています。
リンジーが自分を溺れさせて後に蘇生させる提案の奇抜なこと。それでいてあの状況で2人とも助かる可能性を考えると、最適解と思えること。かと言ってバッドにもリンジーにも辛い選択なこと。
延々と深い海中に沈んでいくバッド。信管解除から残り時間を見ての「片道切符は覚悟の上だった」。これを無機質なタイプ文字で観せる演出も見事。あれだけの人が見守ってるなら酸素残量がどこで半分になったかも解って当然だろうに、演出が上手い。
離婚寸前の夫婦、夫婦ともに死を体感するが、その過程もタイトルの『深淵』(夫婦の深淵、生命の深淵)に掛かっているのかも。
最新技術。先の海洋ホラー2作品に比べても海の中のシーンが多かったように思う。ディープコアに潜水艇、液体酸素と宇宙服のような最新潜水服といった、ちょっと未来の技術(現実にはあるのかなぁ?)が凄い。縦横無尽に動く潜水艇のチェイスは、海中だけにちょっとモタモタ感があるけど、なかなかの迫力。この撮影のために原発の廃炉で作った超特大プールを存分に活かした撮影は圧巻。
そしてヘビ状の水(みんな何て呼んでるの?)が人の顔にモーフィングするCG技術。メカ物以外でこれだけ自然なCGが映画で出たのは初めてだと思うし、この映画からT2が産まれ、この応用でジュラシックパークが産まれると思うとメチャクチャ胸熱。映画の新時代を体験出来た喜びが大きい。
唐突に姿を見せる深海生物。ここがどうにも処理しきれない。たしか当時は宇宙人と取れる訳し方をしていたはず。どうしてリンジーは海底で不思議な物体(小型偵察機っぽいのと飛行機っぽいの)を見たからって、即宇宙人に結びつけたのかが意味わかんなくて…素直に考えたら海底人じゃんって。
リンジー「Non-terrestrial Intelligence」を“地上(陸上)以外の知的生命体”と素直に訳してくれたら良かったけど、“地球のものではないわ”とか“エイリアン”とかって訳してた(と思ったうろ覚え)から、宇宙人が何でわざわざ海底に?ってなるよね~。でどうしてリンジーは突然宇宙人って力説してるの?って事になっちゃったんだと思うんだわ。英語圏ではこの混乱はなかったのかなぁ?
普通に海底サスペンス(地上からの孤立。減っていく酸素。SEALの暴走)で面白いのに、目的不明な深海生物。劇場版でバッドを助けたのは解るけど、その後母船でディープコアを地上まで持ち上げる“おせっかい”に、「おいおいやりすぎだろう」って思ってしまった。
そしてここでも“宇宙からの移住者だ”って字幕が。宇宙なんて言葉は出てこなくて“彼らは暫くここに滞在していたようだ”って言ってるだけなのに。
もうすこし現実的な解決策を観せてくれたら、作品の評価ももう少し上がったんじゃないかな?
~続きは『アビス/完全版』に~