260.《ネタバレ》 田舎の高校の吹奏楽部が傷んだ弁当を食べて食中毒で部員が一人を除いてダウン。
その原因を作ったド素人集団がビッグバンドジャズに挑戦するドタバタコメディ。
補習逃れのために嫌々やってた連中が次第に音楽の魅力にのめりこんでいく様子が楽しい。
ダウンしていた正部員が復帰して、おもちゃを取り上げられた子供のように泣き出す姿がかわいい。
この手の学園青春ものは、「がんばっていきまっしょい」「シムソンズ」と同じく舞台が田舎でないとしっくりこないが、この作品も山形弁と田舎の風情がいい具合にハマっていた。
矢口史靖監督は『ひみつの花園』もそうだったが、笑いのセンスがいい。
ヤンキー風の二人のフォークソング、猪に追われるストップモーション、土手から豪快に転げ落ちる自転車少年、竹中直人演じるジャズ初心者の指導教師。
コミカルシーンがあちこちに散りばめられていて笑える。
ストーリはマンガチックでご都合主義の突っ込みどころも散見。
男と遊び歩いてた連中が練習もしてなかったのに4人の演奏に見事に加わったり、応募忘れの音楽祭に急遽代役での出場が当日決まったり。
理屈に合わないところがたくさんあるので、それに引っかかっていると楽しめない。
あくまでマンガチックなコメディとして、ご都合主義を押し切るノリとパワーを楽しめるならこの作品が大好きになる。
ステージ最後の演奏曲「シング・シング・シング」は、思わずノリノリでスイングしてしまうくらいの勢いと楽しさを感じた。
「すべての人間は二種類に分けられる。スウィングする者と、スウィングしない者だ」
会場にジャズのリズムの拍手が広がったときは鳥肌が立つ。
ジャズにはいままで関心がなかったが、この映画で興味を持ってしまった。