★9.《ネタバレ》 時代劇映画できってのダーク・ヒーロー机龍之介、オープニングでいきなり通りすがりの老人を何の躊躇もなく斬捨てる、もうサイコパス人斬り魔でしかない。演じるは“山の御大”こと片岡千恵蔵、机龍之介役としてはやはりこの内田吐夢版の千恵蔵がやっぱいちばん有名でしょう。このキャラの鬼畜ぶりは眠狂四郎でさえも正義の味方に思えるぐらいで、そのニヒルぶりもかなりのもんです。千恵蔵はこの時すでに齢五十を超えている半ば御老体で龍之介を演じるにはちょっと老け過ぎの感もありますが、その貫禄と威厳はさすがとしか言いようがないです。中里介山の原作は超長編のうえに彼の死で未完という問題作、映画化されると長編の尺で三部構成というパターンが主流ですが、それでもストーリー展開は超高速でダイジェスト感があるのは否めません。やっぱ完全映像化となると、アヴェル・ガンスの『ナポレオン』ぐらいの尺が必要でしょう。 第一部しかまだ観ていませんが、とにかく一つ一つのエピソードが短く次々に繰り出されるので、参考資料を片手に観ないと着いていけなくなります。その分どうしてもキャラたちの掘り下げが甘くなりがちで、とくに龍之介が単なるぐうたらにしか見えないところが残念でした。近藤勇や土方歳三なんかとつるみ出したんでどうやら新撰組に龍之介は参加したんだなと判りますが、どうして彼がその気になったのかはまったく描かれていないので?でした。あと『用心棒』以前の古い時代劇にはいわゆる斬撃音がないので、どうも迫力が感じられないのは私だけでしょうか? 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2024-02-17 22:31:36) |
8.さすらいの剣豪・机龍之助と、兄の復讐を誓い彼を追う青年・兵馬。ってことなんでしょうけど、どうも要領を得ない。というのも、何だか短編作品の積み重ねみたいなコマ切れの構成で、どうしても流れが滞ってしまうのです。正直、千恵蔵が演じる龍之助は、虚無的な感じというよりは、ただのグータラ親父に見えてしまい、いまいちキャラがつかめないままに勝手にノイローゼ気味になってしまうのは、どうもいただけない。しかしそれでも、クライマックスではついに2人が邂逅し、戦うべき2人の運命が強く印象付けられて、次作へと繋がります。実際、イイ感じに盛り上がったところで終わっちゃうんです。第二部を乞うご期待、ってな訳ですね。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2011-08-07 14:54:00) |
7.内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による「大菩薩峠」三部作の一作目。何年か前に見た時は話についていきづらく、途中で屈折してしまったが、大映(市川雷蔵)や東宝(仲代達矢)で製作されたものを見ているなら、この東映版も見ておこうと思い、再挑戦。千恵蔵の机龍之介は、この頃の千恵蔵の年齢が50歳を超えていたこともあり、先の二人がそれぞれ20代、30代だったのに比べれば若さという点ではだいぶ劣っているが、狂気じみた独特の存在感とオーラがあり、不思議と違和感を感じない。映画としてはまだ三部作の最初だというのに展開がやたら早く同じく三部作だった大映版のほうがややゆったりとしてる印象ではある。しかし、大映版と東宝版を既に見ているのもあるのかも知れないが以前見た時のような退屈感はなく、むしろ本作は本作なりに見ごたえがありけっこう面白かった。のちに「宮本武蔵」五部作で内田監督と組むことになる錦之助が兵馬を演じているが、その初々しさも印象的。 【イニシャルK】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-05-16 14:32:01) |
6.主人公の剣豪の生き様を描いた映画? 映像はとても美しく完成度が高い、街や商店などはまるで本物のようだった。 主人公はとてもヒーローとは言えないような、悪行を積み重ねる悪者で、 考えてみれば人斬りに人格者などいるわけもなく、当時の剣豪というのは 本当にこんなだったかもしれない、と思わせるものがある。でもやっぱりコイツ大嫌い。 映像がすばらしいだけに、とても万人受けしそうにないダークなストーリーと スローなテンポが惜しいと思う。 【且】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2009-10-05 15:18:31) |
5.いろいろと見せ場はたくさんありましたが、話としてついていくことができませんでした。 |
4.内田吐夢監督、片岡千恵蔵主演による時代劇でその他にも中村錦之助に月形龍之介に山形勲といったこの頃の時代劇が本当に良かった頃の脇を固める男優陣に加え、女優陣にしてもこれまた素晴らしく、長谷川裕見子に丘さとみの美しさと可愛さにくらくらしそうになりました。ニヒルな片岡千恵蔵とこれまた若き中村錦之助のどの作品を観ても素晴らしい眼の演技が印象的です。作品そのものは傑作とまで言わなくてもなかなか見応えのある作品です。 【青観】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2005-12-04 17:39:38) |
3.因果が絡み合った糸のように登場人物達を結びつけ、壮大な物語を構成していく。長いけど興味を失うことはないくらい次から次へと因果が巡っていく。悪運がなかなか尽きない上に女にもてる主人公がいい味を出している。その極意は、強引だけど、いやらしくないことと見た。うーん、無理かな。 【パセリセージ】さん 7点(2004-10-12 19:08:15) |
2.富士山をバックにした大菩薩峠、この雄大なファーストシーンが物語の壮大さを想起させる。ふてぶてしくどす黒い片岡千恵蔵と、若々しく誠実な中村錦之助。二人を中心に偶然と運命が復讐を中心に交差し、悲劇的な物語が展開する。原作が有名な小説なだけあって、やはりストーリーが抜群に面白い。随所に盛り込まれる立ち回りは緊張感溢れ、神前試合、道場での手合わせ、雪の中、爆破とバリエーション豊富。ダイジェストのように展開が速いが、ダレるよりはずっといい。『宮本武蔵』同様、内田監督の大河ドラマは見事なエンターテインメント。 【紅蓮天国】さん 7点(2004-08-26 22:41:25) |
1.内田吐夢と片岡千恵蔵による大菩薩峠3部作の最初。雰囲気は重厚なものがあるが、展開が早い。いつのまにか時間が進んでるし、登場人物も多いので把握するのが大変。原作知らないし、大菩薩峠映画も初めてなのでそこら辺はつらいところ。1作目で判断するのは難しい。印象に残るのは伝次郎の道場に千恵蔵がやってきて錦之助と立会うシーン。その3人の絵の迫力が凄かった。 【バカ王子】さん 7点(2004-07-12 20:04:54) |