2.クリストファー・ノーラン監督のオッペンハイマー公開前に予習として鑑賞しました。原爆投下は本当に必要だったのか?という批判的視点もあり、描き方は中立的で悪くないと思います。ポール・ニューマン演じる原爆使用を推進するグローブス将軍は傲慢な人間として描かれておりそれが作者の立場を代弁したものではないのは明らかでしょう。確かに広島・長崎への原爆投下こそ直接描写はされませんが臨界事故による被曝のシーンはあり、放射線の恐ろしさを軽視してるわけではありません。そのため核に対する姿勢はダメとは思わないのですが、かといって映画としての出来が優れているわけでもありません。スタッフが一流どころの割にチープな印象を受けます。淡々としている割りにトリニティ実験にくるみ割り人形の音楽を被せたり演出過剰なところがあります。エンニオ・モリコーネの音楽もあまりやる気がなかったのかアルジェの戦いを多少アレンジしただけのような感じで目新しさがないです。キャストはポール・ニューマン以外は印象に残りません。オッペンハイマー役のドワイト・シュルツは重要なポジションなのにポール・ニューマンに全く対抗できていませんので結果的に将軍の方が間違っていながらも魅力的なキャラクターになってしまっています。原爆開発という題材ゆえに日本未公開となったというより、原爆開発という題材でなければ日本未公開であることに特に疑問も持たれない程度の地味な作品です。