★60.《ネタバレ》 ジャズってなんかプレイヤーたちが感性に導かれるままにフリーダムに演奏するものだと思っていましたら、ビッグバンドになるとまるで交響楽団みたいにガチガチの指揮になるんですね、ほんと知らなかった。このフレッチャーという男は鬼教師なんて次元を超越してエゴの塊みたいな悪漢というレベルです。指揮者や映画監督などの巨匠たちは、黒澤明や溝口健二の例を出すまでもなく自分が芸術と信じるものに対しては絶対妥協しないものですが、この映画でのフレッチャーにはストイックさと同時に人間としての嫌らしさが前面に出ていて実にリアルなキャラです。ニーマンを三時間も早く呼びだすなんてもう単なるイジワルとしか思えないし、教え子の死を伝えるにしても自分に都合が悪いとなると自殺を交通事故だと偽るし、実際こういう人よくいるんですよ。この二人は、良く考えると物語の中盤からはもはや師弟ですら無くなってるんです。フレッチャーは復讐のためにニーマンをフェスに呼ぶし、ニーマンの方はもはやスカウトされるという目的などどっかに吹っ飛ばしてフレッチャーにひと泡吹かせるためだけにドラムリズムを機関銃みたいに浴びせかける。これほどムダを削ぎ落して男同士の対決というかケンカを見せてくれる映画というのも珍しいです。ニーマンという男の描き方も、自意識過剰だし酷い仕打ちをした元カノに自分が苦境に落ちるとすり寄ったり、この平凡な弱さがとてもリアルです。 そして何よりも気に入ったのが、観客の総立ち喝采なんてクサイものをいっさい見せずあのタイミングで暗転させる閉め方です。なにも語ってはいないけど、きっと元カノは観に来なかったろうし二人は決して和解はしなかったんだろうと確信しています。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2016-03-15 23:18:04) (良:4票) |
59.《ネタバレ》 芸術という名の愛憎劇。 とある理由で、先生であるフレッチャーは、教え子であるニーマンの事が死ぬほど嫌いである。 が、彼の奏でる演奏はその事を陵駕してしまう程のもの。 後半のセッション部分は 演奏を止め、教え子を地獄の底に落としたいが 自分の愛する音楽には嘘は付けない 相手を憎みながらも、更なる境地へと進んでいく。 前・中半部分では、教え子の才能と、先生の主人公への恨み、音楽への愛を表現。 ここの表現で後半の印象は変わると思います。 最後の言葉が「good job」という事はレビューで気が付きました。納得。 ありがとうございます! 【風太郎】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-03-12 19:35:46) |
58.こんなに音楽の心地良さを感じない音楽映画を初めて見た気がする。 まさに音楽を武器に殴り合う音楽バイオレンスとでも言うべき映画。 片時も途切れない緊張感。サスペンスとしても一級品の作品だと思います。 最後の公演でフレッチャーに嵌められたニーマン。しかし、今度はニーマンが逆襲にうって出る。 その武器もやはり音楽しかない。2人の鬼気迫るバトル。 音楽モノのラストによく見られる、奏者への拍手喝采もスタンディングオベーションも無い。 しかし憎み合いながらも認め合う。複雑な感情が入り混じる見事なラスト。不思議な爽快感がありました。 【とらや】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-03-11 22:47:08) |
57.《ネタバレ》 獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすという。それでも本物は潰れない。血の滲むような努力があっての天才。そういうことなのか。それにしてもフレッチャー先生の嫌がれせは度を超えている。後半はむしろ笑ってしまった。最後はお互いに微笑みあったが、和解したとは思えない。先生は信用できないし、彼は一生認めてもらえないのだろう。役者の演技と演奏は素晴らしかったです。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2016-03-06 21:34:20) |
56.《ネタバレ》 うーん、凄いね。この作品。見てて自分の大好きな野球、特に高校野球にあてはめて考えていた。実際よく聞く指導者タイプでもあるんだよね。これが正しいのか、そこには踏みつけられた何千の才能もあったわけで。吹っ切れて壁を越えたニーマンを見て、ありかとも思ったし、否定してしまう自分もいた。問いかけが凄い。J・Kシモンズの鬼気迫る表現はとても素晴らしく、これは賞もの!と思ったら、やっぱりの助演男優賞だった。当たり前か。 【タッチッチ】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2016-03-05 17:55:42) |
55.胃が痛い。なにかとんでもないものを見てしまった感覚だ・・・狂気。 【ようすけ】さん [DVD(字幕)] 9点(2016-01-31 23:00:28) |
54.《ネタバレ》 音楽系の映画だと、最後はコンクールで優勝とかいう王道な流れかと思いきや!!コーチの異常さなど誰かに話したくなる面白さもあり、ストーリーの斬新さもありよかった。 【六爺】さん [DVD(字幕)] 8点(2016-01-26 15:00:25) |
53.《ネタバレ》 ラストにかけての「セッション」はしびれます。もしかしたら、元彼女も最後は客席に来てて、感動のラストかもと一瞬でも考えていた自分が恥かしい。そういうんじゃないだろうと。ヒロインの使いっぷりも逆に心地いい。ニーマンの顔つきが序盤からみるみる変わってきたのが印象的です。師弟関係でもライバルでもないけど、高みに登っていく2人の対決はしびれます。 【ラグ】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2016-01-21 21:34:06) |
52.《ネタバレ》 狂気を狂気でねじ伏せる、今までありそうでなかった映画に思わずのけぞりました。 いくつか回収されない伏線や「いるか?」と思わせるエピソードもありましたが、 やはり主役2人の気迫が観る者になんともいえない緊張感と爽快感を与えてくれます。 狂人2人の本心までがよく理解できないことまでが魅力なのかなと思えたり。 ジャズにまったく明るくない私でも魅入ってしまいました。 主演のマイルズ・テラーの目つきがどんどん怖くなってきて、神がかった演技をする 時のエドワード・ノートンと重なって見えたり。 ラスト9分19秒にカタルシスを覚えるかどうかは誰に感情移入して観るかによって 変わると思いますが、学校を追われた後のフレッチャーに以前の狂気を感じなかった 要因の1つは、ニーマンの狂気が既にすべてを超越していたからなのかなと思いました。 |
51.《ネタバレ》 「密告したのはお前だな 舐めるなよクソったれ」 ここからの鳥肌と緊張感は半端なかったですね。 フレッチャーをニーマンが密告した復讐劇。 恨みを晴らすためならプロのジャズ団も関係ない。 そして してやられたニーマン。新作の曲を知らされずに演奏が始まり案の定ぐだぐだ。 フレッチャーの思い描いた通り、色々な人が見ている中で「音楽人生を終わらせる」って感じですね。 ここで終わりでも面白かったけど、どんでん返しのニーマンの逆復讐。 勝手にドラムを叩き始め周りは唖然。もちろんフレッチャーも怒り心頭。 それでもなお叩き続けるニーマンに合わせざるおえなくなったフレッチャー。 フレッチャー自身も「クソったれ」と罵倒するほどの怒り。 ……しかしあまりものドラマの輝きに心の変化が見えてきたフレッチャー。最後にはドラムの傾きも自ら直しに行き、指示するほどに心の変化が。 そして最後の最後。フレッチャーの鼻から上がアップになったシーン。 何かを口から発していました。 しっかり見た人なら分かったでしょう。 「good job 」 【映画泥棒】さん [映画館(字幕)] 8点(2015-11-23 17:12:22) (良:1票) |
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50.《ネタバレ》 当方あまりジャズは知りません。雰囲気が好きな程度で音楽の知識もないのであくまで映画を見たレビューになります。 ジャズの名演奏が誕生した秘話など興味深かったです。決して美しい生まれ方ではないんだな・・・と率直に感じました。屈辱や挫折感の中で良いものは生まれる!そんな信念を持ったフレッチャー教授がジャズを指導するんだから教え方もそれに準じていくのは必然! でも何か良いものを生み出す時のセオリーは共通的にそうなのかもと認識させられもした。過労による鬱になりメンタルトレーナーになった方や、少年時代にいじめられた経験から格闘家になった方や、被災して色々なものを失いボランティアに目覚めた方など一般的には不条理で嫌な経験はその人を大きくし、自分自身も知らなかった能力のスイッチがONになり開花して行く! そうそうかのジョージ・ルーカスもデビュー作「アメリカン・グラフィティ」をハリウッドを通し世に出した時にもハリウッド側が勝手に20分ぐらいのシーンをカットされそれに腹を立てたルーカスはそんじゃぁ自分でやっちゃえということで「ルーカスフィルム」を設立した。もしあの時ハリウッドがそんな理不尽なことをしなければ「スターウォーズ」は生まれてないかもしれない・・・ルーカスフィルムは世界最大の自主制作映画会社として世界に君臨することになった。 この世は時空の縛りを必ず受ける。その中で必ず起こる矛盾や不条理。実はそれそのものを経験することこそこの世に生まれ出た理由の一つなのではということまで考えが及んでしまいました。嫌ことや不条理、理不尽は避けるべきもの、または起こってはいけない事という価値を付けてしまいがちだが、実はそうではなくそれこそがその人の価値を上げ育てるものではと思わせられました。でもやはり嫌ですけどね・・・(笑) そのような点からこの映画の結末は最高の終わり方をしたのではないかと思う。ヒューマンドラマとしてはあの演奏の後の事を描いても良いが決していい終わり方をしないだろう・・・だからあの空間、あのジャズセッションのアブノーマルな空間で意思疎通をし共感を得たフレッチャーとニーマン!さすがアーティスト!ジャズセッションの中ではあらゆるものを超越したのである! 【レスポーラー】さん [DVD(字幕)] 7点(2015-11-23 11:14:10) |
49.汗、涙、血、身体中からありとあらゆる水分を撒き散らして、音を奏でる…いや音を殴りつける。 それは音楽学校を舞台にした“スポ根”だなんて生やさしいものではなく、狂気と狂気のせめぎ合いだった。 常識的な価値観のその先に突っ走っていく二つの狂気。 ついに“一線”を越えてしまった愛する息子を、舞台裏の扉の隙間から遠く眺める父親の眼差しが哀しい。 “偉大”なドラマーになることのみに固執する主人公は、自らを取り巻くあらゆるものを妄信的に確信的に排除していく。 友人を排除し、恋人を排除し、ついには誰よりも自分を愛してくれている父親をも排除する。 不意に訪れた「事故」は、彼にとっては最後の“救い”だったはず。 けれど、彼はその救済までも排除して、自分の中に巣食う狂気を唯一認めてくれる存在の元へと舞い戻る。 音楽に対する理想を共有する二人だが、彼らは最後まで憎み合っている。 二つの狂気は、憎しみ合ったまま、ついに求める音楽を奏でる。 憎悪の中で恍惚となる二人。 その異様な契りは、まさに、悪魔との契約に相違ない。 彼らはきっとこの先も「幸福」なんてものとは無縁の人生を送ることだろう。 常に他者を憎み、自身に怒り続ける日々を送り、精神をすり減らし果てていくことだろう。 ただし、それすらも彼らが望んだことであり、もはや他人の価値観が入り込める隙間など微塵もない。 ほとばしる狂気を目の当たりにして、真っ当な価値観を持つ凡人たちは、ただただ呆然と見守るしかないのだと思う。 【鉄腕麗人】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-11-18 19:16:51) (良:3票) |
48.《ネタバレ》 おそらく、ジャズに詳しい音楽家の人たちにとっては、色々言いたいことある作品なんじゃないかな? ただただ、嫌いだという人もいるはず。個人的には、娯楽作品としてすごく面白かった。 「音楽的」なことはこの際全て置いといて、エンターテイメントとしてものすごく楽しめる内容だと思います。 感じとしては、昔の「ガチンコ」とかのバラエティー番組見てるみたいな、そういう感覚よね。 今時、ああいう先生ってほとんど絶滅危惧種なわけじゃないですか。 だから、たいていの人にとってはぬるま湯の人付き合いや生活を送っている中で、 こういうバトルみたいなのを娯楽として「消化」したいっていう欲求はあると思うんですよね。 本作はそういう欲求に、ドンピシャに直球を投げてくる。 ラストのコンサートでのやり取りだって、「倍返しだ」のカタルシスに通じるものがあるよね。 鬱憤とカタルシスを見事に作り出してくる。あぁ面白い。スッキリ。 DVDには本作が作られるきっかけになった短編が収録してありましたが、ほとんど同じでしたね。 しかも先生役は本作の先生ご本人だし。娯楽のアイデアが、最初から完成していたのですね。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-11-05 23:56:55) |
47.フレッチャーの狂気をニーマンの狂気が上回ったんですね。良くできた映画だと思います。 【東京ロッキー】さん [DVD(字幕)] 8点(2015-11-01 17:13:44) |
46.《ネタバレ》 これぞセッション! いや パッション!! なりっ!! 【午の若丸】さん [ブルーレイ(字幕)] 9点(2015-10-28 21:36:17) (良:1票) |
45.《ネタバレ》 映画としての面白さは十分にあると思います。良く出来た脚本、構成、演出でニーマンとフレッチャー教授の2人の性格、心理を観客に植え付け、ラストのあの演奏会に持って行くんだから。僕個人はフレッチャー教授の心理は分からない。あの演奏の罠の後、ニーマンが反旗を翻す事まで読んでいたと言うのは考え過ぎだろうし。ただ、演出でも語られている様に、ニーマンは遂に到達したのだという事、フレッチャー教授は遂に見出したのだという事、この解釈でいいのだと思います。だとしたらこのラストは2人には望んだラストであり、バッドエンドとは言えないでしょう。フレッチャー教授の教育は明らかに演出的に行き過ぎなのを強調していて、これが正しいのか間違いなのか、『天才』を生み出す為の厳しさの肯定とか、現実は甘くないんだよ、とか、そういう事は映画の外の事で、あのあり得ない(恐らく)理不尽なしごきに耐えて食いついて来るニーマンの姿に感情移入してしまう。ニーマンは負けず嫌いで自信過剰なところもあるが、文字通り血の滲む練習、努力はしてきた。なのに報われずに遂にはブチ切れて教授に飛びかかってしまうが、僕はこのシーンで最高に腹の底が熱くなり、胸が高鳴った。単純に見てフレッチャー教授は悪役、そしてラストでニーマンが勝利する。ニーマンの負けず嫌いがラストの完璧な『caravan』を披露し、笑顔で終わる。僕的には「ザマァ見ろ!」なラスト。人それぞれにある『人生』を『ジャズプレイヤーの視点』に置き換えて語られた作品。そして間違いの無い唯一のものがある。『努力』 それは決して人を裏切らない。「努力しても…。」なんて事もあるかもしれないけど、この映画はそれを教えてくれる良い作品だと思います。 【miki】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-10-26 16:16:14) (良:2票) |
44.《ネタバレ》 これは、もうジャンルは違えど「スポ根」ですね。体を脳のイメージ通りに駆使できるようになったら、どれだけのアドレナリンが湧き出るんだろうと。氷水の入ったピッチャーに手を入れるシーン。邁進する姿がすがすがしい。うらやましい。しかし。今時の映画はそれだけで終わらないようで。そうか、「うつ的」だったのか。そういえば「巨人の星」は星飛雄馬の病状の物語と解釈すれば、納得できるような気もするな。でも、まあそんな要素は入れないで、ジャズとドラムへの情熱と師弟の対決だけ、シンプルにやって欲しかったような気がします。「ラスト9分19秒~」という惹句。客と作品に対して、過度の負担をかけてます。こういうのは、ちょっと勘弁して欲しいです。 【なたね】さん [DVD(字幕)] 6点(2015-10-25 08:47:42) |
43.《ネタバレ》 ニーマンがあのニーマンでなく、フレッチャーもあのフレッチャーでなかったら絶対に成し得なかった演奏。 ラストの2人の交錯する視線が、この映画のすべて。 それまでのエピソードが何もかも必然だった!と感じさせるエネルギーがあった。 【チャップリ君】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-10-20 12:34:48) |
42.前知識無しで見ましたが、これは面白かったです。引き込まれました。偉大なドラマーになると言う野心を持つ音大の学生・ニーマンと、JAZZの極みへ到達する者を生み出さんとするスパルタ教師・フレッチャーとの・・・殴り合い、と言うべきでしょうか。狂気と情熱の紙一重、そんな映画です。 BDで観賞しましたが、音楽が素晴らしいので映画館に見に行きたくなりました。サントラを検索したのは言うまでもありません。 フレッチャーのキャラクターが良いですね。終盤の予想外の行動には驚かされました。役者さんの鬼気迫る演技も良いです。 一つ不満があるとすれば、邦題を「セッション」に変えた事です。原題は「Whiplash」で「鞭で打つ」の意味や、頸椎捻挫の「むち打ち」の意味があります。そして劇中で演奏するJazzの楽曲の名前でもあります。非常に作品にマッチしたタイトルであったわけで、変えるべきではなかったと思います。 しかし邦題がイマイチだからと言って映画自体の面白さが損なわれたわけではありません。 ご覧になられる方は、ラスト9分19秒に息をするのを忘れないようにご注意下さい。 【alian】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2015-10-18 12:56:07) |
41.高橋名人に指で連射してもらえば良いと思います。 【マー君】さん [DVD(吹替)] 5点(2015-10-18 12:27:51) |