3.デ・シーカ、ヴィスコンティ、フェリーニという豪華な監督陣によるオムニバス映画。
なんと、上映時間はあわせて“204分”という超豪華版。
しかも長いだけでなく、個々の監督の個性が十二分に発揮されており、かなり「濃い」内容となっている。
私はビデオをレンタルしたのだが、上巻・下巻を二日に分けてやっと観終えることができた。
この4作品の中で、巷で一番評判がいいのが、第1話のモニチェリによる作品だ。
私も“面白さ”という基準だけで選べば、この作品が一番。
主人公夫婦の働く工場での「人、人、人」の混雑ぶりも圧巻だし、新婚夫婦の奮闘ぶりや、貧乏だけどひたむきな暮らしぶりなどは共感が持てるし、観ていて楽しい。
この作品だけでも観る価値はおおいにあるだろう。
しかし、このオムニバス作品の凄いところは、そこに更に巨匠3人の作品が加わることである。
1話目のモニチェリのライトな良作を楽しんだ後、二話目にはフェリーニの渾身の一撃を食らうことになる。
フェリーニのは55分なのだが、彼のその他の長編と比較しても勝るとも劣らない、凄まじいエネルギーを放っている。
はっきり言って見終えた後は、“グッタリ”だ。
開始早々から「フェリーニ節」全開で、飛ばしまくる。
そしてアニータ・エクバーグの不気味なボディと笑い声。
そんでもって、相変わらずの“乱痴気騒ぎ”。
たった55分でも、ものの見事に観てる者を「フェリーニ・ワールド」へと誘ってくれる。
そして、その後の3話目にくるのが、ヴィスコンティの短編。
これもまた容赦はしてくれない。
短編なのに、相変わらず“豪華絢爛”だ。
そして「貴族的退廃ムード」も全開である。
フェリーニ作品みたいに疲労はしないが、これはこれでお腹いっぱいにさせてくれる。
最後の4話目は、デ・シーカの短編。
フェリーニやヴィスコンティに比べれば、まだ“薄い”ものの、そこは巨匠。
ラストに到るまで、ぬかりは無し。
フェリーニやヴィスコンティの作品を既に何個も観たことがあり、それぞれの監督の個性とアクを知っている人にオススメしたいオムニバス映画だ。
そういった人ならば、この作品のボリュームと豪華さに、必ずや大満足できるであろう。