61.《ネタバレ》 先ほど観終わりました。かなり面白かったです。
この映画の秀逸な所は基本設定や場面設定
そしてプロットを徹底的に練り込んで有ると言う事です。
それでいて、作品の世界観や背景などは冒頭にザッと説明するのみで
殆ど明らかにされていない。
ある意味ではSFの定番で地味な話なのに
観ている者をこれだけグイグイと物語に引き込んで行くのは
上に書いた事柄(基本設定、場面設定、プロット)を
相当徹底的に練り込み、その過程で余計な物をそぎ落としたからこそ
全然違和感無く、これだけの作品に仕上がったのだと思いました。
私は昨今のド派手な演出ばかりで、粗を隠そうともしないハリウッド映画も
この作品を見習って欲しいと思いますね。
この作品もやはり、あのブレードランナーを手本に取って作ってある映画で
ある意味、レプリカント達が働いていたとされる
植民地星の実情に思いを馳せ、空想し、それを基にして1本の物語にしたかの様に
悲しく、重厚で、深いシナリオの中に
心洗われる余韻を残しつつ、最後まで痛快に見る事の出来た作品です。
作品の内容は
要するに莫大なエネルギーを生み出す月面の新エネルギーの採掘には
高レベルの放射能により、人間が重度の被爆に冒されてしまうというリスクが有った。
その為に採掘会社は違法なクローンを作り出し、偽の記憶を植え付けた上で
月の採掘基地に閉じ込め
3年の任期(実は重度の被爆により寿命が3年程度しか持たない)を課して
偽りのローテーションを繰り返させていた。
つまり、3年でクローンを廃棄処分にしてまた新しいクローンに交換し
採掘業務を延々と継続させ、金儲けしていた。
この映画の新しい所は作品に登場する会社側の管理AI
つまり、会社が騙しているクローンを監視し管理するコンピューターに
性格や許容性、そしてある種の感情を持たせている所です。
結果的にこのAIが主人公達を助けた事で、物語が大きく展開して行く。
惜しい所は時間の関係なのか、予算の関係か分かりませんが
クローンである主人公が脱出ポッドで脱出した後の話が
非常に駆け足で、ちょっと尻切れトンボに終わっている事です。
この最後をキッチリ落とせていれば
私は10点でも足りないぐらいの作品だと思いました。
8点と付けましたが、限りなく9点に近い。
どちらにせよ、1度見て損は無い作品です。