1.《ネタバレ》 悲惨さが漂う物語をドキュメント・タッチで描いた本作はドグマ映画のようです。そのため生々しさは演出されていますが、題名にあるような太陽などの光は印象的ではありません。しかし、それはあえてボカしているようにも見えます。と言いますのもここでの光は神の存在を匂わすものであり、はっきりと後光の様に差してはまずかったのかもしれません。シネは存在を確認するように「見てる」と天を見上げるのです。でもシネをしっかり見つめているのはストーカーのようにピッタリ張り付いたソン・ガンホだったりします。常々シネの後方にちらちら映るガンホの姿は素朴で、まるで周囲に溶け込んでいるようでありながら、その実はっきり浮いて見えガンホの持つ存在感が良く活かされています。そしてそのガンホがシネから目を離した時に悲劇は訪れるのです。最初は誘拐事件が起きた時でシネはガンホの店へ走りますが彼は一人カラオケに夢中で気付きません。二度目はリストカットする前、デートをすっぽかしたシネからガンホは意識的に顔を反らしています。シネの眼中にないガンホはまさに密なる光という感じがします。シネがどんな状況になろうとラストで彼は何気なくやって来て不必要に鏡を抱え再び見つめるのです。