1.《ネタバレ》 クルマには全く興味がなくても楽しめる作品に仕上がっている。
ココロに何かが残るということはないが、2時間近い時間は飽きることなく、たっぷりと堪能できるのではないか。
スムーズさは多少欠くところはあるが、手の込んだ脚本となっている。
麻薬捜査と恋人に対する復讐をミックスして、ストーリーがやや複雑化することによって豊かになり、恋人を殺した奴はいったい誰か、黒幕はいったい誰かという手法でさらに盛り上げている。
驚くようなどんでん返しやオチもないが、カーアクションがメインの作品としては悪くはない脚本だ。
肝心のカーアクションも見所満載である。
Ⅰではお馴染みとなっている手の込んだトラック強盗を冒頭から描いており、本シリーズを好む者を喜ばせている。
成功率の低そうなやり方だが、普通に銃を使って奪う犯罪ではなくて、彼らにとってはゲームのようなものなのだろう。
難解であればあるほど、燃えるのかもしれない。
Ⅲに登場するハンとドミニクの関係も明らかになり、本シリーズと関係ないと思われたⅢとブリッジさせることができている。
最後のトンネルシーンは単なるカーアクションを超えたようなデキとなっており、クルマがまるで生きているような仕上がりとなっている。
欲を言えば、もうちょっとドミニクとブライアンの関係を掘り下げてくれると面白い作品になったと思う。
彼らはお互いを助け合うというような単なる相棒ではない。
助ける義理もなければ、助けられる義理もない。
この二人は似たもの同士でありながら、水と油ともいえる面白い関係である。
信念をリスペクトしたり、妹の恋人だとお互いに認め合いながらも、こいつにだけは絶対負けられないという想いもあるはず。
ラスト間際のドミニクとブライアンの会話にもそういう気持ちが表れている。
そういう微妙な関係をもっと上手く演出して欲しいところ。
それぞれの表面的な目標は、恋人に対する復讐及び麻薬組織撲滅かもしれない。
それぞれの目的のためにコンビを組みながらも、お互いのライバル心をもっとメインに持ってきてもよかった。
単なる犯罪組織を壊滅させるアクション映画は世間に溢れているのであるから、それらのような作品とは異なる要素を付加していくことによって、本シリーズの必要性が増していくのではないか。