1.《ネタバレ》 確かに、建前上は医者と患者ですから、
そこに恋愛が入り込むというのはタブーでしょう。
しかしながら、お医者さんも人間ですから、
あわよくば恋に落ちるということも十分考えられる。
たぶん表に出てないだけで、そういうことって現に
あるんだろうな~なんて思いながら見ていました。
主人公マーティンは、孤独と焦りを感じていたし、
そんな中で自分を解ってくれる患者ダイアンと出会い、
好意を持った。それは恋心もあるし、なにより
自分を理解してくれる大切な存在でもあったのでしょう。
なので、薬をすり替えて病気を再発させるという
禁断の行為を犯してしまう。ダイアンが死んだとき、
彼は相当に悔やんだはず。
ただ、その描写は割とマイルドだし、ダイアンの恋心も
かなりわかりにくい描写なので、あまり真に迫ってこない。
映画としては、むしろその後の展開、掃除係のジミーが
日記を発見し、取引を持ちかけるところから面白くなる。
それは言って見れば、マーティンが爆弾を
抱えてしまったようなもので、実にサスペンスな
展開になってきます。彼の行為は全くの犯罪であり、
許されることではないのですが、映画というのは
不思議なもので、「このままバレないでくれ~」と
彼を応援する自分がいたりもする。
しかしながら、本当にバレずにまた医者として働く
彼の画で終わる。あぁ良かったと思うと同時に、
実に薄気味悪い。この微妙なラインというか
感覚の不安定さが、この作品の持ち味なのかもしれない。