47.《ネタバレ》 最近のハリウッドで#MeToo運動やらカトリック聖職者問題やらでの内部告発ものを題材としたお話しが流行っているけど、巨匠スピルバーグとドリームワークスが選んだのは50年も前のペンタゴン・ペーパー事件。7000ページもの紙文書を一人で手焼きコピーしたなんて、デジタル化が進みSNS全盛の現代では想像を超えるものがあります。この米国史を変えた大事件をメリル・ストリープとトム・ハンクスを使ってスピルバーグが映像化してるんだから、そりゃ見応えがあるってもんです。その特ダネを巡ってワシントン・ポストとNYタイムズのライバル紙同士がが凌ぎを削る展開をテンポよく見せてくれるのは、スピルバーグの力量にすれば余裕です。メリル・ストリープはスピルバーグ作品には初出演ですけど、夫の死後ワシントン・ポスト社主を継いだキャサリン・グラハムを余裕の好演で、今やお約束のオスカーおよびゴールデン・グローブの主演女優賞ノミネート。ふてぶてしささえ感じさせるポスト紙の編集長はトム・ハンクスですけど、さすがのハンクスも今回はメリルに喰われてしまった感がありました。この映画でのスピルバーグの視点は『リンカーン』に通じるところがあり、米国の民主主義の原点を真正面から見据えていこうとしています。ジャーナリズムが政治を正した世界史でも稀有な事例ですから、こういう風に感動作になるのは必然でしょう。まあこれがオリヴァー・ストーンなら『スノーデン』を撮っているぐらいだから、もっと捻った後味の悪い映画となったでしょうね。 それにしてもこういうテーマの作品を観るたびに実感させられるのは、“報道しない自由”を乱用する我が国のマスコミのだらしなさですね。そりゃ米国だってジャーナリズムはビジネスですけど、なんかその根幹があまりに違うんじゃないでしょうか。まあ記者クラブなんて組織がある時点で、もう問題外ですけどね。 【S&S】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-08-15 22:59:34) |
46.《ネタバレ》 人多い~。情報多い~。相関図わからん~。今何が起こってんの~。 これが冒頭30分の感想。 正直難しすぎて、見るのやめようかと迷うレベルです。 ですが見続けて正解。あれよあれよという間に話が整理され始めて、急に見やすく、そして面白くなっていきます。 具体的にはNYT紙に機密文書が掲載されはじめたあたりから。 最初は『NYT紙 VS Wポスト紙』の構図。そして大統領側がNYT紙を告発したあたりから、『メディアVS国家権力』へと対立構図が変化していきます。 もし国が裁判に勝っちゃったらどーなるのか。まずWポスト紙と株主、投資家たちとの契約事項『緊急事態』に該当し、投資家たちはWポストから手を引いてしまう=会社経営破綻→会社の消滅。更に掲載に携わった経営陣及び現場責任者は、法廷侮辱罪に問われ投獄されてしまうらしい・・・。ひゃあー、人生終わりじゃないですか~。命がけじゃないですか~。 今まで何かと主義主張を異にしてきたベンとケイ、ここに来て初めて手を取り合います。そして、遂に決断。 いったい、ど~なっちゃうの~。 って、現在NYTもWポストも健在ですから。結果は火を見るより明らかなわけで・・・。 それでも最後までハラハラドキドキ。目が離せません。 国民の利益を第一に考えて情報を発信するって、命がけだったんですねぇ・・・。 昨今のSNSとかYahooニュースとか、ほんと良くないですよねぇ。 全部が全部とは言いませんが・・。結局見ちゃうし・・・。 【たきたて】さん [ブルーレイ(字幕)] 8点(2023-05-30 02:25:39) |
45.昨今、日本では、マスコミならぬ「マスゴミ」なんて言われたりして、ジャーナリズムというものに対してどこか軽く見る風潮があるけれど(単に興味が無いだけかもしれない。興味が無いものを軽んずる悪いクセが出ているだけかもしれない)、ジャーナリズムとマスコミとは、いったん分けて考えた方がいいんでしょうなあ。 この作品見てると、アメリカではまだ、マスコミというものに信頼、期待が持たれているんでしょうか。そしてそういう信頼、期待にちゃんと応えているんでしょうか。羨ましい気もするし、少し面倒臭い気もしてしまう。いかん、めっきりスポイルされてしまっているらしい。 いわば、マスコミと国との対決が描かれていて、正直、たいして大きな事件は起きません。いや、たぶん大事件なんですけど、危機一髪みたいな展開はありません。スピルバーグがなぜ殊更にこの題材を選んだのか? 反・トランプ大統領がキッカケであるように言われているし、実際そうなのかもしれない。しかし、かつて「マスコミ」は国家権力を相対化させてきたとは言え、今やソーシャルメディアの普及により、「マスコミ」自身が相対化されてしまった訳で。権力自身も(そしてその対抗勢力も)ソーシャルメディアを活用し、それはトランプ氏の専売特許でも何でもなく、いまや怪しい情報が錯綜しまくって。今のウクライナ情勢などに至っては、もはや何を信じてよいのかわからない・・・。 この映画の物語は、今となっては一種のお伽噺なのかもしれないけれど、それでも歴史の1ページ。スピルバーグ版の『大統領の陰謀』。派手に煽ることなく、物語は着々と進められていく。そういう作品の中で、メリル・ストリープの派手な演技、ってのは、ちょっと際どいものもあります。際どいんですが、何とか踏みとどまったかな、と。映画は彼女色に染まることなく、我々に歴史を突きつけます。 でもあのラスト近くの、新聞社のシーン。いかにも、「我々はこの印刷機で、戦ってます」といった感じの、秘密基地のような描写。やっぱり何か、ロマンを感じている、いや、感じたい、んでしょうか。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2023-01-28 18:51:28) |
44.《ネタバレ》 何度も映像化されてきたニクソン政権の政治スキャンダルを、M・ストリープとT・ハンクスの二大スターの安定感と演技力でしっかりした骨格の娯楽作に仕上げています。人物らの立場説明が簡略にして明快なので、事件そのものに疎くても理解が容易です。 クライマックスの盛り上げ方も巧いなあ!受話器を握りしめるストリープの、決断を迫られた緊迫感あふれる表情にこちらも手汗がにじみます。 また、この脚本は横糸として当時の世相であった女性軽視の視線をだびたび挟みます。ポスト紙社主のケイは「女が社主なんて」という目で見られている描写が多々あり、またストリープも随分と物腰柔らかな女性としてケイを演じます。それだからこそ、ヤマ場での経営者としての腹のくくり具合は大変に立派で胸を打つのでした。 ケイの置かれた厳しい立場を誰よりも理解していたのがハンクス演じるキャップの妻(彼女もまた大事な情報を伝えてもらえないという形で軽んじられています)というのも、皮肉が効いているなあと思いました。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2022-11-18 18:32:35) (良:1票) |
43.《ネタバレ》 -The Post- “ワシントン・ポスト紙”の事です。“ザ・ポスト”で通じるくらい有名な新聞。“ワポ”とも呼ばれてるんだって。 この新聞社を名実ともに有名誌に祭り上げたスクープが、この『ペンタゴン・ペーパーズ』と『ウォーターゲート事件』。 ウォーター~は映画の題材としてよく使われて有名だけど、ペンタゴン~って? 国の最高機密文書を手に入れた新聞社。政府を敵に回してスクープを載せるべきか、安全を取るべきか。社主と編集主幹、記者たちの葛藤。実話ベースだけど、文字に起こすとなかなかドラマチックな展開が期待できる。だけど映画は起伏が少なく、物語が淡々と進行する印象を受ける。 ちょっと、スピルバーグ監督作品らしくないなぁ。なんて思って製作者の名前を見たら、脚本&製作総指揮ジョシュ・シンガーとあった。この人“スポットライト 世紀のスクープ”でも脚本と製作総指揮してた人だ。うん、スポットライトとよく似た観せ方の映画。シンガーのカラーがよく出た映画に思えた。 音楽はあのジョン・ウィリアムズだ。年齢も年齢だし、SWシリーズの続編を除けば、今の時点で最新のオリジナル映画音楽になる。 “あの”スピルバーグ。“あの”ジョン・ウィリアムズ。そして“あの”トム・ハンクスときた。こんな名前がバババーンと出たら、凄いエンターテインメント作品を期待したくなるもの。政府の圧力。忍び寄る怪しい影。裏切り。追跡。脅迫… そんなエンタメへの期待とは裏腹に手堅く真面目に作られた本作。シンガー味100%の本作を、どうにかして今映画にしたい。みんなに今観てほしい。そんな思いから、スピルバーグの名前を全面に出したんじゃないだろうか。 当時、何かあったのかな?2017年2月頃から制作が持ち上がったらしい。メディアの下馬評を覆してトランプが大統領になった(2016.11)直後だわ。 メディアが後押ししたヒラリーが負けた。下馬評、世論の後押しに乗っかって、自分たちで考えることを放棄したメディアの大敗。ジャーナリズムの根幹ってなんだろう?そんな疑問を世間に問う作品として、本作は作られたのかもしれない。信じるか信じないかはあなた次第です。 【K&K】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-08-03 23:15:10) |
42.《ネタバレ》 いくらでもエンターテインメント的に盛り上げられる素材であるのに、あえてそこを外して地味にやろうとしているように見えるのは、「リンカーン」のときもそうだったな。しかしそうなると、ストリープもハンクスも手持ち無沙汰というか、どう演技していいのかよく分かっていないように見える。「リンカーン」のときはデイ=ルイスのもともと浮き世離れした人外的な存在感にすべてが吸収されたわけだけど、ストリープやハンクスはあくまでも対象素材を分かりやすく噛み砕くのが持ち味であるため、こういう演出には合わないのです。またそれ以前に、このストーリーって、それまであまり経営を分かってなさそうだった代表が、ここぞというときに決死の判断をするところに意味があると思うんだけど、ストリープがそれをやると、最初からどうとでもやってしまいそうな万能感が醸し出されてしまうので、物語が成り立たないのだな・・・。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2022-06-18 21:19:06) |
41.《ネタバレ》 序盤は少し退屈でしたが、徐々に引き込まれました。エンターテイメント性は低いかも知れませんが、じっくりと魅せる作品で見応えありです。経営者とは?報道とは?国家とは?色々なことを問いかけてきます。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2021-09-11 18:31:26) |
40.ありきたりのテーマでありながら、裏切らないあたりは流石といったところ。 真実の狭間で報道の自由と国家機密が対する。 ジャーナリストがどれだけ仕事にプライドをかけているかが熱い。上げたらきりが無いんだろう、アメリカの政治スクープ。だから追う価値がある。だから仕事がある。 非常に重厚な社会サスペンスでした。 |
39.《ネタバレ》 昔、ロバートレッドフォードとダスティンホフマンが同じワシントンポストの記者を演じ、ウォーターゲート事件を描いた、大統領の陰謀、なる作品があった。本作は、それに先立つベトナム戦争の実態隠蔽をやはりポスト紙記者が暴く作品。 但し、地道な取材を通じてでは全く無く、いわゆるタレコミ的な情報ソース提供の資料を掲載に踏み切るか否かの葛藤プロセスが克明に描かれる。 記者の奮闘というより、民主主義国家に於いて報道がなすべき責務を新聞社として如何に遂行すべきか、国家反逆罪扱いなのか報道の自由なのか、揺れる者達の群像劇の映画。 トム・ハンクスもメリル・ストリープも、本来の個性は打ち出さず、役に徹した演技、それはそれで熱演だが、に終始する。が、この映画の最たる見所は、アメリカが培ってきた、否、今も培いつつある、民主主義の危機に瀕したときの具現化を丹念に描いているところだろう。 どうしても今のこの時期、59期目の元首を選挙で選出している最中の今のアメリカと比較してしまう。 第45代大統領トランプのこの4年間と選挙敗戦に際しての見苦しいこと甚しい往生際の悪さを、相当数の有権者が受け入れてきたアメリカと、この映画で描かれたアメリカ、どちらも本当に同じ国家なのか考えさせられてしまう、そんな映画。 日本も国民の半数近くは今の政府のコロナ禍対策を一定評価していると云う。劣化しているのは世界的な潮流なのかも知れない。 【Postef】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2020-11-09 20:24:47) (良:1票) |
38.報道の自由を勝ち取ったワシントン・ポストの勇気は素晴らしいけど、 スピルバーグ、メリル・ストリープ、トム・ハンクスを起用したとはいえ、 エンターテイメント作品としては凡作だと思う。 【クロエ】さん [CS・衛星(吹替)] 5点(2020-01-20 04:10:30) |
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37.劇場で見そびれて気になっていた映画。DVDでやっと見られました スピルバーグは社会的、政治的なテーマをそつなくまとめてるなと思いました 地味なテーマもちゃんとエンタメにする手腕はさすがです。 ただ政府側からの圧力をもっとジワジワサスペンスたっぷりに描いてほしいと 個人的には思いました。 良心的な映画であるのは確かだし、ここで描かれている報道の良心、アメリカの良心は 素直に感動します 特定野党と結託して検証も裏付けもせず芸能ゴシップ以下のフェイクニュースの垂れ流しで 政権を倒すことしか頭にない日本のマスコミやマスメディアは爪の垢を煎じて飲むべし マスコミ、報道機関もまた「権力」であることを忘れないでいただきたい 【ひろみつ】さん [DVD(字幕)] 8点(2019-12-08 11:15:20) |
36.《ネタバレ》 ベトナム戦争当時、前線を視察した政府職員が作成したとされる最高機密文書、いわゆるペンタゴン・ペーパーズ。時の政権を揺るがすほどの内容が記されたその文書を巡り、安定した経営か新聞記者としての矜持か、ぎりぎりの選択を迫られることになった記者や社主の葛藤を描いた社会派ドラマ。監督はもはや言うまでもないレジェンド監督スティーブン・スピルバーグ、主演も長年ハリウッドの第一線で活躍し続けるベテラン俳優コンビ、トム・ハンクス&メリル・ストリープ。実話を基にして描かれたという本作、手堅い演出とベテラン勢の安定した演技力でなかなか見応えのある仕上がりになっていたと思います。株式公開による安定経営か、もしかしたら会社存続の危機に陥るかも知れないがそれでも真実の公開か、アメリカの歴史を揺るがした事件を丹念に描いたドラマは抜群の安定力でした。ただ、あまりにも王道過ぎて、若干物足りなく感じてしまったのも事実。もう少し捻りのある展開があればもっと良かったんですけど、これは好みの問題なのかな。面白かったですけど、まあそこまでって感じですかね。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 6点(2019-07-23 23:13:54) |
★35.《ネタバレ》 面白いな―――、まったく退屈させることんくグイグイ持ってく手腕はさすが。あんまりアメリカのその頃の事情に詳しくないので最初はついてけなかったけど、まぁそれは俺個人の問題だしw。 あのワシントンポスト紙の内情がそうだったとはね~いろいろ勉強にナリマシタハイ 【Kaname】さん [インターネット(字幕)] 7点(2019-07-23 07:03:55) |
【メメント66】さん [インターネット(字幕)] 6点(2019-07-21 22:34:48) |
33.《ネタバレ》 メリル・ストリープは「プラダを着た悪魔」では専制君主のような強烈なトップだったが、ここでは優柔不断にも見える迷いや弱さを感じさせるトップ。 まったく違う役をこれだけ演じきるのはさすがだ。 【飛鳥】さん [DVD(吹替)] 7点(2019-07-02 23:39:55) |
32.《ネタバレ》 おもしろかった。序盤、いろんなことを整理するのに少々時間がかかりますが、それだけにベトナム戦争の機密文書がどれだけのものかがよくわかります。実話なんでしょうけど二番煎じってとこもリアリティがあっていいですね。そして、メリル・ストリープ!さすがです。 【ラグ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2019-03-31 21:34:45) |
31.素直に面白かった。ベトナムの画をスピルバーグ監督が撮っているのに驚いた。いつか、ベトナム戦争物をこの監督に撮ってほしい。 【センブリーヌ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2019-02-18 01:50:21) |
30.スティーヴン・スピルバーグ、トム・ハンクス、メリル・ストリープ揃い踏みのこなれた作品でサクサク感に物足りなさを感じます。「マスコミは社会の木鐸たれ」が浮かぶ新聞の品質を語る、アメリカにとってタイムリーな物語。 |
29.時代において必要な映画だと感じた。決定から勝利までの場面は感動的。 統治者ではなく国民のために憲法がある、ということの意味は重い。 【simple】さん [インターネット(字幕)] 7点(2019-02-17 15:09:17) (良:1票) |
28.最初の展開がやや難しく、ストーリーに入っていきにくいのが難点だけど、その後は機密文書を巡って一気に引き込まれる。SNSの存在や政治への無関心が問われる今の時代で、メディアに携わる人達にはぜひこうあって欲しい。 【noji】さん [インターネット(字幕)] 7点(2019-02-11 16:48:47) (良:1票) |