5.《ネタバレ》 中平康監督による犯罪コメディ映画。本作に登場する主要人物4人はそれぞれどことなく「ルパン三世」のレギュラーキャラ(宍戸錠=ルパン、長門裕之=次元、草薙幸二郎=五右衛門、浅丘ルリ子=不二子)に似通ったところがあり、作風も漫画チックな喜劇で、まさにアニメをそのまま実写にしたような荒唐無稽さのある映画だが、それがとても楽しい。脚本に加わっている山崎忠昭がのちに「ルパン三世」にも参加しているというので納得したが、にせ札をめぐるストーリーというのも「カリオストロの城」をつい連想してしまった。(「カリオストロの城」の脚本にはこの人は参加していないのだが。)「あいつと私」でも思ったのだが、中平監督は本作でも登場人物たちに早口でセリフを喋らせていて、展開もスピーディーなのだが、このテンポの良さがちょうどいい感じになっていて心地よい。ラストのオチまでもいかにもマンガ的なのが最後まで作風が一貫していて逆に良かった。宍戸錠の主演作を初めて見た気がするのだが、三枚目のコミカルな役どころが意外に合っていて面白いし、ショートヘアの浅丘ルリ子が明るくて可愛らしい。いつもはクールな印象が強くこういうイメージがあまりない女優だけにこれがまた新鮮に見えた。彼女が銃撃戦のあとに死体を見て嘔吐をするというシーンは確かに邦画では珍しい気がするが、これも中平監督のこだわりのひとつなのかもしれない。にせ札を作る贋作の名人を演じた左卜全とその妻を演じる武智豊子もいい味を出していて、とくに二人で西部劇ごっこに興じているシーンはお茶目で微笑ましい。映画としてはけっして傑作というわけではないのだけれども、肩の力を抜いて気楽に見られる娯楽映画で、個人的にはとても気に入った一本だった。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-09-11 18:06:31) |
4.《ネタバレ》 山﨑忠明さんという脚本家は、たしかにアニメの脚本をたくさん手がけている方のようですね。言われてみれば、「ガラスを擦る音」でギャー!と逃げ回るとか、まさしくアニメっぽいですものね。宍戸錠と浅丘ルリ子のキャラは、ルパン三世のルパンと峰不二子のキャラそのものだという気がします。コメディ映画ということなんですが、正直それほど笑えはしませんでした。それよりも敵のアホっぷりが気になっちゃって(笑)。ガスで殺そうとするとかまどろっこしすぎだし、エレベーターでの銃撃も弱すぎ。まぁだからこそのコメディ映画なのかもですけど。台詞の言い回しがみんなもの凄く早くて、快活なテンポで全編飛ばそうというのが見て取れます。舞うお札に始まり騙しお札に終わる、マネーに踊る人間喜劇です。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 6点(2014-02-09 13:01:13) |
3.《ネタバレ》 スタイリッシュ、と言うよりかなりオフ・ビートなドタバタコメディです。脚本を書いた山﨑忠明という人、実は岡本喜八の傑作カルト『殺人狂時代』のオリジナル脚本家でもあるそうで、なんでも日活でボツにされたのが東宝で採用されて陽の眼をみたそうです。そしてこの人、アニメ版『ルパン三世』の脚本も書いていると知って納得しました。宍戸錠や浅丘ルリ子などのキャラが『ルパン三世』の主要キャラと性格づけが良く似ているんです。極めつけは宍戸錠が乗り回す珍車メッサーシュミットKR200、ほら、『ルパン三世』にも登場する小型タンデム三輪自動車ですよ! この映画、監督が監督なだけにかなりアンバランスというか妙な拘りが随所に観られます。コメディのくせしてけっこう無造作に人を殺すし、殺し方も血が流れるところを強調したりして生々しい。おまけにその死体を見て浅丘ルリ子が派手にゲロまで吐くし、なんと言うか、ヒロインがゲロ吐く日本映画ってちょっと他にはないんじゃないかな。でも本作の彼女は、始めから終りまでもうバルカン砲の様な猛スピードでセリフをまくしたてて、その滑舌の良さには感心しました。 それにしても、左ト全の贋札名人が香港から帰ってくるという冒頭の設定でオチが大体判ってしまいました(笑)。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-06-07 20:29:17) |
★2.《ネタバレ》 コメディ・タッチの和製暗黒街映画。けっこう面白かったです。メインのキャストはそれぞれ好演ですが、特にスーツに身を包んで慇懃な長門裕之が、近年とギャップがあって楽しめました。「柔道二段、合気道三段!」なのにへっぴり腰の浅丘ルリ子もおかしい。しかし出演者では、やはり左卜全・武智豊子の夫婦でしょう。文字通りの名人芸。映画全体を締めていました。特に、妙に拳銃に詳しく、ガンさばきもきまっている婆さん(役名)がステキです。 ただ、全編お笑いというわけでもなく、一瞬夢から覚めるというか、妙に現実的になる場面がありました。これは“悲惨な戦争”を経験した日本人の矜持なのか。偽金作りなら笑い飛ばせるけれど、あの場面ではそういうわけにはいかないという、真面目さを感じました。 ところで、藤村有弘はどこに出ていたのでしょう。よくわかりませんでした。もしかして、最後の中国人だったのかな? 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2010-07-01 21:06:59) |
1.《ネタバレ》 これで宍戸錠の主演作、というより実質出演作自体観るの初めて。「エースのジョー」たるところは見られなかったが「ガラスのジョー」なるキャラが面白く楽しい作品です。そんなに好みの作品じゃないけどそこそこ面白いと思います。浅丘ルリ子の珍しい?アクションシーンも見れます。この頃ほんとかわいいです。 【バカ王子】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2006-04-20 22:36:40) |