1.東宝ビデオ版「エノケンのちゃっきり金太」を鑑賞した。
尺が72分のもので、オリジナルの前篇と後篇をぶつ切りにして、それをつないだものらしい。
確かに展開が突飛というか、いまいち分かりにくい箇所があった。
エノケンは、チャップリンの様に、自分で自分の映画を創らせると、非常に良いものを作る人だ。
脇役で黒澤映画に出たりもしているが、それほどイメージは良くなかった。
本作は、まさにエノケンの独壇場で、エノケンの良さがうまく発揮されていた。
1930年代の日本映画という趣きが存分に漂っている。
まるで、無声映画をそのままトーキーに変換した感じの味わいだ。
バックに流れる音楽も、まるで活弁つき無声映画の音楽の様である。
ラストシーンも素晴らしく、心地良く最後まで観ることができた。
ただ、面白さと完成度という点で、『エノケンの頑張り戦術』には少し及ばないかなぁ。