2.《ネタバレ》 映画として見た時に5点くらいかなぁ、と。
話はありきたり。ドロドロした四角関係がクライマックスで突如都合の良い展開によって想定内のハッピーエンドに落ち着く、それだけ。
光を散りばめた映像もありがち、キーになる夕景は加工感バリバリ。
ドタバタギャグレベルのネタの数々は笑えるけれど、それが流れを作っているわけではなくてバラバラ散りばめられているだけで、シリアスな展開になる後半は姿を消しちゃう。
でも、そんなゴタクをゴチャゴチャと並べたところでこの映画に対してはなんの意味もないんですよね。これは映画でなければならない意味すらないんですから。
日曜午前の新宿のシネコンはほぼ満席で、その95%が小学生からの若い女性、中心層は中学生と高校生。おっさん一人で見に来てるのなんて私だけ。彼女達が大人しく映画を見ているわけもなく、普通の映画館のマナーからしたら最悪、なのだけれども、この映画の場合、彼女達はちっとも間違ってないとしか思えないんですよね。
スクリーンに向かって容赦なく投げつけられるツッコミ、そのツッコミが更に巻き起こす笑いの渦、本当にみんな映画を楽しんでる事が伝わってきて、おっさん場違いっぷりハンパないけどそのリアルガールズトークサラウンドシステム上映によって、この映画を最高に楽しむ事ができました。
彼女達の反応から男と女の捉え方の違いも見えて、なるほどねぇ、って納得したりもして。彼女達からすると弘光は「かっこいい」「ステキ」で、未帆は「ウザい」「重い」「気持ち悪い」そうで。私から見ると弘光は計算高くて姑息なチャラ男にしか見えないんですけどねぇ。男からは嫌われるタイプ。未帆はむしろそのチャラ男の言動に惑わされる犠牲者に見えて。
彼女達の激しい共感を呼ぶ桐谷美玲の弾けまくった魅力がこの映画のチカラ。これまでの主演作は微妙なものばかりでしたが、やっと代表作と呼べる映画に出会えた感じ。
単体で見ると大した事ない映画なんですが、この映画の本当の価値を決めるのはシネフィルだの映画オタクだのなんかじゃないので、点数なんて参考にするだけ無駄なんですよね。映画単体としては5点だけど観客が創造した環境までを含めて完成されたものとするならば10点あげたいです。映画レビューなんて時として全く無力だわ。