14.《ネタバレ》 う~ん、まだ若いので、問題提起で終わっているが、見ごたえある着眼点だと思う。まぁそもそもが自殺未遂をするような人に仕事を任せる病院がおかしいのだが、彼女に罪はあるのだろうか?周防監督は、この問題意識のまま、これからも掘り下げてほしい。そして本当の悪の落とし前まで描けるような作品を創る監督になってほしい。多分、奥さんの草刈民代が鍛えるでしょう、彼を・・。怖い気もするけど・・(苦笑) 【トント】さん [DVD(邦画)] 6点(2015-11-21 21:48:02) |
13.《ネタバレ》 裁判的には、あの女医は有罪でしょう。致死量を超える鎮静剤で事を収めた訳ですから。病人を苦しませたのは失態でした。しかも、慄く家族の前で子守唄なんか歌うもんだから、そりゃ異常に映ります。執行猶予付きの判決は、まことに日本らしい決着のつけ方だと思いました。 私は年齢的に患者側の立場で見ていました。自分も延命措置なんてして欲しくない。大方の人はそうだと思います。ならば、何をしておくきべきなのか。普段は考えないことなので、刺激的でした。 興味深かったのは女医の描写です。覇気が無くコミュニケーションが下手。オツムは優秀だけど、計算高いことは出来ない。技術を持っているから医者は出来ても、文系なら社会で使いものにならないタイプ。営業スマイルなんて、絶対に無理でしょう。その人物像がとてもリアルでした。真面目過ぎて、上手に生きられない。そんな薄幸な人を草刈民代はそれらしく陰気に演じていました。 【信託】とは信頼して任せること。人生の最期を信託するのは肉親であるべきですが、それが叶わない場合、本作の女医のような人は信頼できると思いました。無器用な女医の生きざまと、生死に於ける信任のバランス。それが本作の重たい見応えに繋がっているのだと思いました。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2013-09-19 02:34:09) (良:1票) |
12.《ネタバレ》 DVDのパッケージだけ見ると、ずいぶんと重そうな話だなと感じなかなか手が出せずにいたのですが、あの周防作品だからと思い借りて観てみることにしました。まず思ったのは、「人が苦しんでる様子」が凄くリアルだという点。こういうところのこだわりはさすがだなと感じました。確かに、この話においては、江木さんの普段の苦しみと、折井さんが自殺未遂したときに江木さんの苦しみを初めて理解出来たという点がとても大切なので、その苦しんでる様子というのは手が抜けないわけですね。んで、凄く伝わってくる。ただ、これといってドラマチックなことがあるわけでもなく、ずっと平坦にストーリーが進むのでだいぶ退屈しながら見ていたのですが、後半、検事との聴取のシーンからぐんと面白くなるわけですね。一気に娯楽になって、しかも観る人を考えさせる深いテーマに観客を巻き込んでいく。さすがは周防監督だなと唸らされました。やはり社会派の作品を撮らせたら、彼の右に出る者はいないんじゃないか。それだけ、問題提起がいつもしっかりしてますよね。確かに、折井さんも家族にきちんと話をしていなかったと思うし、落ち度はあるはずなんですけど、これが「殺人」なのか「尊厳死」なのかっていう点になると、なかなか割り切れない難しい話になる。その難しさを、映画という娯楽で見せて観客に考えさせる、その巧さに脱帽致します。 【あろえりーな】さん [ブルーレイ(邦画)] 7点(2013-08-26 22:41:13) |
11.《ネタバレ》 周防正行監督が「それでもボクはやってない」に続いて手がけた社会派作品。「それでもボクはやってない」と同様にメッセージ性の強い作品で、周防監督がこの映画を通して言いたいことはよく分かる。しかし、出来としてはかなり微妙で、まず、主人公の女医(草刈民代)にほとんど感情移入ができないのが残念。(「それでもボクはやってない」のように題材が身近でないということもあるかもしれないが、それだけではない気がする。)また、この女医と担当患者(役所広司)との関係が医者と患者の信頼関係以上のものが描かれておらず、患者が死んだあとの女医の対応にも違和感を感じる。このシーンは本来笑ってはいけないシーンなのに思わず笑ってしまった。ここまでははっきり言ってダラダラしている部分も多く、退屈に感じていたが、クライマックスの女医を検事(大沢たかお)が追及するシーンは、大沢たかおの迫真の演技のおかげで非常に見ごたえがあり、ここから急に面白くなった。でも、この検事は悪役として描かれているが、主人公がどう言い逃れをするかよりも、検事がどのように主人公を追い込むかに興味がいってしまうというのは映画としては少々まずく、やっぱり主演の草刈民代の演技力不足を感じてしまった。全体的な構成もバランスが悪く、ラストあれで終わりではなく、裁判まできっちりと(字幕で説明するのではなく)描いてほしかったし、現在進行のシーンを検事局ではなく、裁判中の法廷にすれば可能だったはず。周防監督の作品は今まできっちりと作り込まれたものが多かっただけにこの映画は凡作という印象が拭えないし、奥さんである草刈民代を主演に起用しているからか、周防監督が気を抜いてしまったように感じる部分もある。(さっき書いた死んだ患者を前に主人公が号泣するシーンは役所広司を周防監督に置き換えて考えたほうが自然かもしれないが、劇中の設定は夫婦ではなくあくまで医者と患者なのでそれでもリアリティーはまったく感じられない。)しかし、検事の追及はきちんと周防監督らしいリアリティーを感じるし、テーマや題材は悪くない。でもこの映画は主役に草刈民代を起用したことが、周防監督にとっても映画自体にとってもよくなかったのではないかと思えてしまう。とにかくこの映画の主役に草刈民代というのはミスキャストで、もし、周防監督が伊丹十三監督のように奥さんを女優として売り出したいと考えて起用したならこういう重い映画ではなく、もっと娯楽要素の強い映画で起用したほうがまだ良かったかもしれない。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-08-12 16:21:34) |
10.う~ん、難しい題材を映画にしましたね~ だとしても、予想していたものより、かなり出来が悪かった..草刈民代と役所広司の関係が今一つしっくりこない..(2人の年齢が近いからかな..) それに、役所広司の家族の描かれ方に違和感(不自然さ)を感じます..役所広司の取り巻く環境、背景をしっかり描いていないから、最後の結末がぼやけ、共感が生まれないし、説得力がない..主人公草刈民代を中心に描いているから、中途半端な感じになってるんじゃないかな..残念... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-07-21 13:33:40) |
9.周防監督の作品という事だけで、予備知識なしで期待して鑑賞しました。折井綾乃(草刈民代)と江木泰三(役所広司)の信頼関係がもしかしたら恋愛感情を含むものではなかろうかと思いながら鑑賞しましたが、はっきりとそう伝わるシーンも無く、ただ患者と医者というだけの信頼関係が映像と台詞から伝わってきました。江木泰三を殺す事になってしまう行動は、折井綾乃の失恋後の40歳過ぎた独身女性の孤独と心の闇や、医師としての患者に対する想い、自分の存在意義に対する自我の爆発、など色々なものが混じり合って行動に出たのだと思いました。江木泰三は死後、折井綾乃をこういったかたちで苦しめる可能性が少しでも分かっていたなら、自分の意思を、言葉やメモ書きだけではなくリビング・ウィルとしてしっかり残すべきだったと思います。それが主治医に対する誠意だと。大沢たかおは演技をみて、14年前のドラマ「美しい人」の狂気に満ちた演技を思い出しました。それだけ印象に残る演技でした。今回の映画はテーマがテーマなだけに、「それでもボクはやってない」みたいに、身近で自分の立場に置きかながら鑑賞いう事は無かったですが、今まで考えた事のない「尊厳死」に対して少しだけ関心をもつようになりました。 【N.Y.L.L】さん [DVD(邦画)] 4点(2013-06-29 17:27:43) |
8.《ネタバレ》 好感持てない塚原検事ですが、たぶん彼のジャッジは正しい。観客は早く江木の願いを叶えてやってくれと思っていたはずだが、そこに至るまでの折井医師の行いがマズすぎてヒヤヒヤする。子守歌のシーンは、目も当てられないほど。職分を超える判断に迫られた時の蟻地獄を見たような気がしますが、いかんせん重すぎる。せめてここで竹中直人が出てくれれば、と思ったのは初めて。 【なたね】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-06-02 07:45:41) (笑:1票) |
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7.《ネタバレ》 この作品は、川崎の方の病院で起こった実例がベースになっているようだが、以前の「それでもボクはやっていない」同様、うまいペーストで味付けされているようだ。ドクターの不倫から、ODの下りは最初不要かと思っていたが、案外隠し味になったかも。しかし、検事はまるで、蜘蛛の糸に絡め取るんだな、迫力あった、あれは逃げられない。映画のようなことがないように、この映画をきっかけに尊厳死について、また再考するべきかもしれない。 【min】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-05-14 21:59:12) |
6.《ネタバレ》 日本映画の古典を思わせる重厚な作り。検事の尋問の前に、主人公の行動は前半で全て明かされているので、これはサスペンスではない。大沢たかおが憎々しげな悪役を見事に演じているが、見方によってはこの検事の言い分の方が筋が通っているように思えるのが、この作品のポイント。被疑者を自白させるまでの尋問の汚い手口は、周防監督は例によってリサーチが入念で、かなり真実味があった。世評で言われるほどは悪くないと思った。 【ウェルテル】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-12-09 06:49:04) |
5.さすがの完成度で、長さを感じさせないが、少し真面目すぎるか。 【枕流】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-11-28 22:05:46) |
4.《ネタバレ》 観た後、うまく頭が整理できない重さを持った作品でした。 人生には仕事上でもマニュアルに沿って判断できない事がある。 この映画では、主人公は法によって裁かれてしまうわけだが、この映画では、仕事においても私生活においてもあらゆる局面においてマニュアルを用意しなければならない社会の不毛を感じる。 自分の仕事においても、問題が起こるたびにマニュアルが増えていく経験をしているが、マニュアルができることによって個々のケースで矛盾が生じることも、マニュアルの情報量が増えることによって個々の判断力が弱くなるという面も経験している。これから社会の中核を担っていくのは、かつてマニュアル世代と言われていた人々なので、どんなことでもマニュアルにしようとする怖さはあると思う。 この映画の医療の話でなくとも、男女の仲は法律的には白黒つけられない不可思議さや残酷さをはらんでしまうものです。 法律とはマニュアルの集積であり、厳格化、細分化すればするほど、矛盾をはらんでしまうものであるということをこの映画は教えてくれる。そして法律とは絶対万能の神が決めたものではなくて、人間が決めたものに過ぎないということを教えてくれます。国が違えば全く別の解釈もありうるわけです。 先日、最高裁判所裁判官の信任というものに投票しましたが、あまりにも法を司る者を信任する制度がブラックボックスになっていると実感しました。国民にとって判断材料がなさ過ぎます。 この映画に話を戻すと、この監督の撮り方は、今や巨匠の域に達していると言えるほど隙がなく風格を感じます。テーマがテーマだけに笑いを入れられないのだろうが、一息つけるような演出もあってほしかったです。 次回作はもう少し昔のような気楽な作品も観たいと思います。 【どっぐす】さん [映画館(邦画)] 8点(2012-11-09 23:27:04) |
3.《ネタバレ》 最初に、TOHOシネマズ渋谷の映写状態が非常に悪く(極端に暗くてチラチラ明滅しまくり、キセノンランプが切れかかっているのに気付かなかったくらいにケチな映写してた?って感じ)、途中でモンク言いに行った間の1分ほど見られてませんが、それも含めて映画ってカタチで提供されたモノだという認識で(招待券が配られましたが症状は最後まで改善せず)。これ、始めにメッセージありきな映画でその主張に持ってゆくために極端な味付けが成されている訳ですが(悪いヤツはあくまで悪い、このテのドラマにはあり得ないような善悪クッキリ描き分け状態)、映画が「こう受け取ってね」ってぐいぐい押しつけてくる主張に「んー、でも違うんでない?」って思ってしまったのは、やっぱり主演女優の大根っぷりに起因するのではないかと。彼女、嬉しくても怒ってても悲しくてもほぼ無表情。テレビのバラエティにゲスト出演しててもやっぱり無表情。そんな彼女から伝わってくるイメージは、意志薄弱で精神的に脆く患者に極端に肩入れし職業意識が低く結局は自分が第一な女医さん。そんな流され易い生き方してたら、そりゃ罪にも問われちゃうでしょうよ、っていう状態で。そうでなくて、しっかと生き様を見せつけて、それじゃ仕方ないわ、ってくらいの存在感やドラマを見せてくれたなら、その主張にも納得できたかもしれませんけどねぇ。「ねぇねぇ、これって不条理でしょ?」ってぐいぐいと押し付けてくる結末に、でもワリと納得できちゃったという。もうほんと、ミスキャスト。これに尽きます。『バイオハザード』シリーズや、かつてのイーストウッド映画、ブロンソン映画じゃないんだから・・・。もうちょっと明るい映写してくれてて、途中見れなかった1分間が見られていたとしたら印象も・・・まあ変わらないでしょうねぇ。 【あにやん🌈】さん [映画館(邦画)] 4点(2012-11-02 20:49:10) |
2.取調シーンの後半は迫力あります。前半が長く感じるのですが後半の取り調べシーンがたたみかけてくるので全体としては飽きずに観れます。尊厳死については個人的には決着のついているテーマですが色々な意見があるのもわかります。観た後に誰もが自分の事に置き換えて考えてしまう映画ですね。 【東京ロッキー】さん [映画館(邦画)] 7点(2012-10-30 13:16:31) |
★1.本作がテーマとしているのは「尊厳死」です。 しかし本作は、主人公のやった行為が尊厳死にあたるか否かを模索するようなサスペンスではありません。 キャッチコピーなどでは「医療か、殺人か」という二者択一をしているように思えますが、本作で提示される行為は明らかに「殺人」です。 「それでもボクはやってない」の主人公が冤罪であることと同じように、真実を明らかにした上での物語作りなのです。 しかし・・・自分は「それでも~」が大好きなのですが、本作品では拒否反応を起こしてしまいました。 本作の一番大きな問題点は、主人公の女医に感情移入がしにくい(できない)ことです。 前述のとおり主人公の行為は明らかな殺人なのですから、そうせざるを得なかった、そうなってしまった経緯を細やかに描かなければ、共感することができないと思います。 しかし、本作の主人公にはその説得力があまりにもありません。 殺人を犯した主人公が、どういった経緯でそれを行い、どのように糾弾され、反論するかが見所のはずなのですが、この描写ではそれも上滑りしてしまっています。 最悪なのが、肝心の患者を看取るシーンです。 このときの主人公の描写は本気でひどく、リアリティのある映画を撮ってきた周防監督の仕事ではない、とさえ思いました。 もうひとつの大きな欠点はとにかくだらだらと長いこと。 本作の上映時間は2時間24分ですが、その時間をかけた割には描ききれていないことが多く、同じ訴えを何度も繰り返しているようにも見え、正直前半はかなり退屈です。 役者の「ゆっくりした台詞」が多い演技は見所のひとつですが、あまりにもテンポが悪くてストレスがたまります。 加えて本作にはストーリー上の起伏があまりなく、「それでも~」のような娯楽性はありません。 ラストシーンにも正直がっかりしました。 これだけ長い時間をかけて、最後に提示されることがこれなのか、と。 あまりにバランスの悪い構成に辟易しました。 本作にはいいところもたくさんあります。 役者の演技は素晴らしく、特に大沢たかお演じる検事の「凄み」には圧倒されました。 だからといって、オススメはできません。尊厳死を考える目的では意味はありますが、その本質にはたどり着いていない、残念な作品です。 【ヒナタカ】さん [映画館(吹替)] 4点(2012-10-30 01:09:47) (良:1票) |