293.《ネタバレ》 前半は「鉄腕ジム」や「ロッキー」みたいなサクセスストーリーだが、終盤は今までの総てを破壊されるような、そんな哀しき決断が待ち構えている。
フランキーもエディも最初マギーの依頼を断るが、先に彼女に声をかけたのはフランキーが育てるボクサーのウィリーだった。
ウィリーが去ったのは自分の夢のためでもあるし、マギーをフランキーに育てさせようとしたのかもな。
しかし30代は男でも諦めるレベルだ。
フランキーは夢破れた者を余りに“見すぎた”。
エディの事があってやや過保護にもなっていた。だが、フランキーは勝負に出る。
ウィリーが出て行って吹っ切れたのか、あるいわ焦りでか。
フランキーは冷静な姿勢でマギーにボクシングを叩き込んでいく。
焦らず、氷を削るように確実に。二人は限界まで挑み続ける。
フランキーのアドバイスもあって勝って勝って勝ちまくる。苦戦はほとんどなく本当に「鉄腕ジム」を見ているような気分だった。
しかし、本物のボクサーと殴りあった彼女のファイトはリアリティがあり見応え充分。
強すぎて試合にならない、八百長ではなく「金払ってやるから試合しやがれ馬鹿野郎」料を払って戦う日々が続く。だからって挑発しすぎだフランキー。
それにしたってマギーの母親がクソBBAすぎる。
「いい男を見つけてまともにお暮らし」
「でも負けたんだろ? 残っているものを守らなきゃ」
言ってる事は正しい。でもうぜえええっ
傷ついた娘を見て一応は優しい言葉をかける両親。「娘を酷い目に遭わせて」とさぞかしフランキーを恨んだ事だろう。
フランキーもエディに当り散らすなど人のせいにしてしまいたいくらい自分を責める。
ラストは賛否があると思うが、俺はハッキリとマギーが「やって」と言ったのを覚えている。
体は動かなくとも心はまだ一人の人間、ボクサーだった。彼女は最後まで立派なファイターだったよ。
フランキーは、マギーの“遺言”を受け取り去っていく。
「カッコーの巣の上で」を思い出すようなラストだった。