1.《ネタバレ》 でかい太鼓を搭載した車がドンドコドンドコと猛チャージをかけ、ギターをかき鳴らせば炎が飛び出る。砂漠を疾走するトレーラーには、奪われた女たちを奪還せんと、棒にしがみついた白塗りの戦士たちがびょーんびょーんと迫りくる。
どひゃぁ、狂ってる!これはMAD過ぎるだろうよ!!しかしこれがべらぼうに面白い。しっかり座ってないと興奮して椅子から転げ落ちちまう。
キャストは一新されたものの監督は変わらずジョージ・ミラー。「ベイブ」等のファミリー映画を手掛ける一方、監督も相当溜まっていたようで、30年ぶりの続編でもその狂人っぷりをいかんなく発揮している。
その内容たるや、現在のボックスオフィスを賑わせている他のハリウッドアクション大作の中では明らかに異質。
クーデターに巻き込まれたマックスの活劇のみを映し出す、シンプルかつパワフルな構成だ。しかし狂気とはシンプルな感情や衝動がもたらすもの。作品のテーマに合致したプロットだと言える。
そして一貫した映像世界もまた狂っている。
オレンジ色の砂漠に真っ青な空。人物のクローズアップではオレンジの肌に青い目が映え、夜のブルーの中ではオレンジ色の爆発が画面を彩る。いつの頃からかハリウッド映画に蔓延する「ブルー&オレンジ(大作映画のポスターや本編は、この2色で表現されていることが多い)」をやりすぎなくらい対比させ、無二の世界を作り出す。極端であることも狂気の一面である。
これほどシンプルだからこそ、その狂気を助長し、これほど極端だからこそ、生と死のコントラストがサバイブという本能を爆発させる。
CGが氾濫し、映像を展開させる装置とかした脚本が量産されるハリウッド。この潮流に対して、ジョージ・ミラーは見せつけるかのように、再び傑作アクションを生み出した。
荒野の向こうから絶望と狂気が迫ってきたら、こちらもありったけの狂気で真っ向からぶつかり叩き潰すのみ。躊躇えば死、戦い続けることこそ希望。
狂ってる、狂ってるぅ!でもこんなアクション映画を観たかったんだ。やったぜ、マックス!最高にカッコよかったぜ。