3.《ネタバレ》 屋上でキスをする伊藤英明と女生徒の前景と、後景の校舎。
人影は映らないものの、間違いなく誰かに見られている、という感覚で
シネスコ画面が効果的に活かされているが、
どちらかといえば広がりよりも、奥行きや深さを強調した画面が印象的だ。
(吹越満の乗る電車車両の揺れる悪夢的感覚。
廊下奥や教室奥の外光で薄暗く浮かび上がる伊藤の姿など)
一方で、AEDレコーダーや救助袋の伏線シークエンスなどは
あたかも取ってつけたようで、
回収地点でかえって作り手の逆算が露呈し、大いに興ざめである。
これなら、余計な伏線など無いほうがよほど気が利いているし、
インパクトもあるだろうに。
回収のための伏線張り。それは単に観客に辻褄合わせの納得を促すだけで
何ら驚きをもたらさない。
ついでに、盗聴器を仄めかすコンセント口等のショットのくどい反復や、
伊藤の来歴のフラッシュバック。
これらの無駄を省いただけでも、
110分程度には引き締まったはずだろう。