★5.《ネタバレ》 苦い。中年側に身を置くと、その痛さは激痛に近いものがあります。二十代の男に惚れる三十女と初老男。相手よりはるかに培ってきたはずの人生経験も役に立たず、気まぐれなアーティストくんに翻弄されっぱなし。痛いなあ。 恋愛話っていうのは、やっぱり種の存続に必要なホルモンがさかんに分泌されている二十代のものなんですかね。気力・体力とも衰えた大人は、静かに諦めるのですね。ダニエルもアレックスも、それぞれがオトナの分別と諦念を表情に滲ませて恋愛劇の幕を下ろすのでした。うーん渋い。 愛憎劇と呼べるような激しい情動はなく、それぞれの日常である子守りの一日とか、ユダヤの成人式のもようとか本筋と直接関係のない描写ばかりなので多分20代の頃に観ていたら退屈に感じたかもしれない。ダニエルやアレックス側に到達した人たちにおすすめです。 【tottoko】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2020-04-22 17:01:46) |
4.《ネタバレ》 思えばこの当時の英国を代表する映画女優は間違いなくG・ジャクソンだったと思います。一般的な美女とは言い難いけど、知的な演技力に恵まれた非凡な名女優だったことは間違いありません。90年代には女優を廃業して政治家に転身し、なんとブレア政権で運輸大臣を務めていたと言うから大したものです。 この映画ではバイセクシュアルのアーティストとユダヤ人の医師P・フィンチ、そしてジャクソンのスタイリッシュというかちょっと奇妙な三角関係を絶妙に演じています。劇中ではやたらと電話が鳴るのと電話交換のシーンがあるのですが、製作された70年代初頭ではもっとも都会的なコミュニケーション手段だったんでしょうね。 ストーリー自体はとても淡々としていてジャクソンとフィンチの演技を愉しむことに徹するのが正解でしょう。ラストに突然フィンチがカメラ目線になって心境を語りだす演出で、今ではこんな手法を使う監督はいませんが当時はけっこう斬新だったんでしょう。そこでフィンチが失恋の苦しみを「心が風邪をひいただけさ」と表現しますが、これは素晴らしいセリフですね。 それにしても、G・ジャクソンの代表作はほとんどDVD化されていなくて、鑑賞するのに大変苦労させられます。 【S&S】さん [ビデオ(字幕)] 7点(2013-03-30 21:42:46) |
3.冒頭、状況が分からず、???状態で見ること30分。いきなり男同士の濃厚キスシーンで、うわっ、とのけぞりました。しかし、本作はゲイ映画として、実は有名だったのですね。知りませんでしたがな。ダニエル・デイ=ルイスのデビュー作だってんで見ただけだったのにぃ。・・・で、本作についてですが。私は自分でも気付いていなかったのか、思いのほか、ゲイに対して抵抗があるようです。この歳になって遅まきながら自覚しました。頭では分かっているんですよ、好きになる相手が同性だというのは別に不思議なことじゃない、って。でも、共感できないのです、どーしても。本作のダニエルとボブのラブシーンを見て決定的に自覚するに至りました。『マイ・ビューティフル・ランドレット』のダニエル・デイ=ルイスの男同士のラブシーンではゼンゼン感じなかった嫌悪感、今回は、感じてしまったのでした。これって、絵的な問題なんでしょうか。分かりません、、、、。なので、バイセクシャルな年下彼氏を持つアレックスにも共感できず。ただし、恋愛における「ままならなさ」に傷つき、悩む、ダニエルとアレックスの姿は胸に刺さります。そして、最後のダニエルの独白。哀しいです。「心が風邪を引いただけ」・・・これは、どーなんでしょう。自分だったら、到底そんな風には思えません。たとえ強がりだとしても。やっぱり誰かを愛することというのは、それなりに重みのあることだと、私は思いたいのです。あるいは、それほど愛していなかった、ともとれますが、それまでの描写はそうではなかったように見受けられたので。あのラスト、どう捉えればよいのか、これを書きながらもまだ分かりません。迷っています。ところで、少年ダニエル・デイ=ルイスの出演時間は、おそらくちゃんと顔が映ったのは2秒くらいだったのではないでしょうか。何となく、面影ありましたが。・・・とにかく分からないことだらけの作品でした。 【すねこすり】さん [ビデオ(字幕)] 6点(2013-03-20 23:47:08) |
2.ジョン・シュレシンジャーらしい映画で当時衝撃を受けました。 ピーター・フィンチとグレンダ・ジャクソンも若い男に翻弄される駄目っぽい男女をうまく演じています。切ない映画だなと思います。 【omut】さん 7点(2003-06-17 19:03:13) |
1.あまりにほろ苦い大人の映画。バイセクシャルのマレイ・ヘッドに翻弄される、男と女。とくに名優グレンダ・ジャクソンとピーター・フィンチの演技が渋い。この頃、秀作を多数世に送り出していたシュレシンジャーの、社会や人間をシニカルに捉えた作風はこの映画でも見受けられます。ラストシーン、フィンチの「心が風邪をひいただけだ」という台詞に思わず胸が締め付けられ、泣いてしまった。 【ノブ】さん 8点(2003-02-01 15:07:03) |