1.《ネタバレ》 チラシのゴシックアート的な雰囲気に惹かれて、つい劇場へ。サイレント&モノクロってんで、途中寝てしまわないか心配したけれど杞憂でした。何しろ、映像の美しさと音楽の素晴らしさ、これだけで見に行った甲斐があったってもんです。確かに、「白雪姫」の翻案には違いありませんが、こちらの継母は、白雪姫のそれより人間臭い。それが可笑しい。ややブラックコメディ的要素も満載です。モノクロってのは、スペイン人の美女の様に彫の深く各パーツが大きい顔は、いっそう美しさを強調するものですね。実母も祖母も継母も、そしてカルメンも、美女また美女の登場で溜息モノです。惜しむらくは、美青年が一人も出てこなかったことでしょーか。・・・と書くとネタバレですかね。もう、最初から最後までカルメンは悲劇の連続、救いがありません。ラストも、思わず「え~、そんな・・・」と言ってしまったくらい。1920年代当時のスペインの混乱と貧しさが何となく背景に感じられる描写ではありますが、何よりも、現実は、泥沼の現状からキスひとつで救い出してくれる王子様なんていやしない、ってことを、残酷なまでに描写しております(グロという意味ではありません)。このラストに賛否はあるでしょうが、私はその救いのなさと残酷さにガックシ来たけど好きですね。アタマからずっとそういうテイストで展開してきたのです、納得のラストです。あまり奥行きのある作品とは言えませんが、ゴシックアートがお好きな方は、決して見て損はないと思われます。この監督の次回作がちょっと楽しみですな。いや~、美しかった!!