1.《ネタバレ》 『オペラ座の怪人』はサイレント時代から劇映画としては8本製作されていますが(なんとその中にはD・アルジェント版まであります)、本作はそれらとは別にTV映画として製作されたおそらく歴代中もっとも上映時間が長くしかも知名度が低いのではと思います。本作の特長は大胆な脚本で、オペラ座の支配人(B・ランカスター)がほぼ主人公と言えるほど重要な役になっており、大胆に脚色された怪人の出生の秘密と相まって他の作品とは際立って異質な物語になっています。 怪人を演じるのはC・ダンスですが、最期まで仮面をとった素顔を見せないとは言え、歴代で最年長のエリックではないでしょうか。監督はT・リチャードソンで、さすがに手堅い演出でB・ランカスターの好演もありけっこう泣ける悲恋物語になっています。また撮影では実際にオペラ座でロケしていて、オペラ座地下のセットも含めて重厚な美術は素晴らしい、とてもTV映画として製作されたとは思えない出来です。 一部では歴代『オペラ座の怪人』の中でもっともエリック(怪人)の描写が優れているという評もあるくらいで、ミュージカル版のファンも観て損はないでしょう。