62.《ネタバレ》 今だったら「コンプライアンス」的にはヤバい描写が満載で、正直「引いて」しまう部分もあるのだけれど、1980年代に中学生だった自分としては、その時代・年代の「危うさ」の表現に唸るしかない。冒頭のプールでの「イジメ」にしか見えないシーンやら職員室で女子生徒が襲撃されるシーンは今の感覚ではかなり見るのが辛いし、あれを「ノスタルジック」に「あんな無茶なことしたよな」と見る人とは、たとえ同世代でもたぶん友達にはなれないと思う。ただそんな嫌悪感を抱きながらも、この映画からはどうにも目を離せない。 どっちかというと、自分としては、できたらもう二度と戻りたいとは思わない中学生の感覚を、ここまで生々しく詰め込んだ映画はなかったように思う。人間として自分がどうなってしまうのかわからない、明日になったら「普通」でいられるかどうかわからない(だからベタ歌謡曲の「もしも明日が」の選曲には恐ろしさすら感じる)、そういう危うい感覚に満ち満ちている。なのに、周囲の「大人」はなんの助けにもならないどころか、問題の根っこになるような存在。そんな状況を、一人「真面目に」観察していた三上君の最期。長尺での椅子を積み上げるシーンから中二病爆発の台詞の後の「アレ」は、「個だ、種だ」なんて大きなことを言ってみたり、大人たちに「お前のようにはならない」と宣言してみたところで、その顛末は喜劇にしかならない、という大人なメッセージにも見える。自分の思い出したくない部分をえぐられるような2時間。嫌いだけど目が離せない。やっぱり傑作なんだと思う。 【ころりさん】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-11-02 07:10:59) |
61.《ネタバレ》 中学生がそれぞれ抱えているであろう悩みが分かり辛い、顔と名前がなかなか一致しないままに終わってしまった。三上君は死んだのかどうかもわからない。ただ、土砂降りの雨のシーンでカメラのレンズに水滴がつかない点や、安定したカメラアングル、闇の描写など素晴らしかっただけになんとも中途半端な印象で終わってしまった。 【ブッキングパパ】さん [インターネット(邦画)] 4点(2022-09-30 16:16:09) |
60.《ネタバレ》 よくわからなかったというのが正直なところです。 なんとも言えない、不思議な映画ですね。何度か見たらわかるようになるかしら。 スタイルがとても独特で、映画的な作りを排してるんですよね。 みんな素人臭い演技で、カット割も少ないから、その教室に自分もいて 彼らを覗き見してるかのような感覚になってくる。 【あろえりーな】さん [インターネット(邦画)] 5点(2022-04-04 19:19:49) |
59.《ネタバレ》 GYAOの無料動画で30年ぶりぐらいに視聴。初見のときは画面が暗すぎて誰が誰だか判別できなかった記憶があるけど、今回はだいぶクリアな画面で見ることができた。 これが公募による脚本だというのもすごいですよね。脚本そのものがすごいのか、それを力技でまとめ上げた演出がすごいのか分からないけど、公募シナリオだからこそ出来上がった異常な傑作という気もします。 いびつな思春期の、まともに説明のつかない行動原理で動き回り、理性的なコミュニケーションも成立していない子供たちが、台風の夜に裸で踊り狂い、やがて生と死が循環するという物語。この映画の内容を「祝祭」と解釈したりもするけれど、ベルトルッチが共鳴したのも、イタリア人の中に残酷なカーニバルの感覚があるからかもしれません。狂気にリアリティがありすぎて、「シャイニング」や「犬神家」の悪ふざけのパロディも、たんなるパロディでは済まなくなってトラウマになりかねないほど強烈だし、10代でこの映画に出演させられた人たちは、精神に異常をきたすんじゃないかと心配にさえなるレベル。 とんでもない映画だけど、狂気をセンセーショナルな見世物にする制作動機が好きじゃないので1点減点。 【まいか】さん [インターネット(邦画)] 9点(2022-03-30 13:29:07) |
58.《ネタバレ》 初めて観たのは、私が登場人物と同年代のときだったから、自分の延長を見ているようで、なんか嫌だったんだな、きっと。 そもそも相米監督作品とは相性がイマイチだから、今回の再見も何の期待もしてなかったんだけど、それがまぁ、すごい映画だったんだわ。 台風、子供の頃は怖くて仕方がなかったけど、中学生くらいになるとワクワクして待ったっけ。ここ(家の中)は安全だけど、明日になったら外の世界や日常生活が吹き飛んでしまうのではないか?という淡い期待。 教室から見える台風直前の揺れる木々。極端に照明を落とした夕方の職員室の暗さ。学校に取り残される心細さ。壊れていく理性。大人の居ない世界。深夜のバカ騒ぎ。 主人公は三上くんだ。勉強が出来て、女の子にモテて、野球部で彼女も居て、優等生でもありバカも出来る。何不自由無い中学生活を送る三上くん。 そんな三上くんに、身近な大人の梅宮は「お前は15年も経てば今の俺になるんだよ」と言い放つ。「僕は貴方にはならない」と言い返す三上くんの出した結論。「死は生きることの前提」。死んだような大人になるより、今の自分のままの死を選ぶ。あぁいかにも中学生な結論。 翌月曜日の明の話から、三上くんは生きているんだと思う。けど、犬神家やっちゃって、社会的には死んだのかも。 中学生。まだ学力で分けられる前の、雑多な集団生活。まだ子供でもあり、身体は徐々に大人になりつつある。ヒョロヒョロの身体にブラジャーを付けた工藤夕貴ほか主演の子達、子供っぽさを残した彼らがとてもリアルに当時の中学生を演じている。清水の「おかえり」「おかえりなさい」「ただいま」。子供にもそれぞれの世界があることを思い出させてくれる。 思春期に起きる副作用。大人と子供の中間。今でこそ中二病という言葉でくくられているけど、この年代の難しさ、脆さ、危うさは、エヴァ辺りがしっかり描くまで、“そんな時期もあるから”と、適当に描かれていたと思う。 教室越しの揺れる木々は、彼らの内面のざわめきを表現し、職員室の暗さは彼らの将来に対する不安感を描いていたのかもしれない。 私の世代には直球ド・ストライクな、中学時代の“何も経験してないのに妙に悟りきった”こっ恥ずかしい過去を思い出させるトリップ映画。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 9点(2022-03-13 17:28:54) |
57.情緒不安定な子供たちの話。感情移入できるところもあって、少し甘酸っぱい。 【クロ】さん [地上波(邦画)] 4点(2022-01-02 09:43:39) |
56.《ネタバレ》 いったい自分は何を見せられているんだろう?という感覚が終始つきまとう。年齢的なものなのか感性的なものなのか、何が原因かは分からないですが、個人的には意味不明でした。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2021-11-12 19:53:20) |
55.自分には合わなかった。 言わんとする事はわかるけれど、気色の悪い作品に感じた。 学生たちも全員演技が下手で終始「中学生日記」スピンオフな感じ。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2021-09-17 17:43:33) |
54.こんなワケワカラン系の映画も昔はゴールデン洋画劇場とかで放送してて、うわっ、この映画、キライだなあ、なんて思ってました。意味ありげな思わせぶり、そういうのに当時はなんか、イライラしてしまう。しまいにゃ「これが死だ!」なんてブチあげられちゃうと、「いやいや、そんなのは『死』じゃないんじゃないの?」とイジワルの一つも言いたくなったり。 結局は、この登場人物たちと年代が近く距離感が近かったからこその違和感であり、反発・反感だったんでしょう。 そのくせ、そういや自分もまた、高校の時に真夜中にこっそり学校のプールで泳いだことがあったんだよなあ。 今では自分も親の世代になり、この作品を貫く不安定な危うさを、ある距離感をもって眺めるようになって。そう、自分が思春期の頃には、思春期が危ういなどと思わないもの。距離感があってこそ感じられる危うさ、ってのもある訳で。しかし一方では、やっぱり記憶の底をチクチク刺されるような感覚もあって、イライラしないと言えば嘘になる。 だから、大人だから正しく鑑賞できるなんてことは金輪際、言いたくない。あの当時の「そうじゃないんだ」という気持ちは否定したくない。 今では、「キライだけど、面白いんだから、仕方ない」ってなところ、でしょうか。 【鱗歌】さん [インターネット(邦画)] 8点(2021-05-30 17:23:48) |
53.誰もが通る道なんだよなぁ。 思春期の痛々しい行動と台風が近付いている時の謎の高揚感。 ほぼ中学生達によるドラマが展開されるが、そこには青春の清々しさなんてものはあまり無く、ひたすら鬱屈とした窮屈な感情や性的衝動なんかが正に台風の如く吹き荒れる様を描いている。 彼らの生態をカメラは窓の外からや、教室の外側からなど、まるで覗き見をしているかのように映し出していて、長回しの多用によってよりリアルな風景に感じられた。 台風の到来と共に己を解放していく彼らの行動はなんとなく共感できた。 【ヴレア】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-02-07 19:39:29) |
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52.《ネタバレ》 製作当時の80年代にはなかった言葉だけど、この映画は中二病を患った中三が集団発作を起こすお話しだと思います。その中で彼ら彼女たちは性の目ざめや人間の根源的な生死の問題に苦しみ、そしてその中の一人はその問題に決着をつけたってわけです。この物語は徹底的に中学生たちの世界を描いていて、大人は実質的に三浦友和が演じる数学教師とその関連人物しか登場しませんでした。この三浦友和の演じる教師がいかにもいそうないい加減な俗物で、実にリアルです。山口百恵との共演でアイドル俳優というイメージが定着していた彼がよくこんな役を引き受けたと思いますが、本人の回想にもあるようにこの役が現在まで続く俳優人生の大転機となったことは言うまでもありません(当初は糸井重里にオファーしていて断られたそうです)。半面、工藤夕貴ら生徒たちの親は家庭内のシーンがあっても全くといっていいほど登場せず(寺田農だけが暗がりで誰だか判らないようになってワンカットだけ映る)、これが本作の独特のテイストを形成しています。またこの映画には有名な『犬神家の一族』のパロディとしか思えないカットやオカリナを吹く白装束の男女など理解に苦しむところが多々ありますが、相米慎二は脚本にはほとんど異議を唱えない監督だったそうなので、これは脚本家にそういうクセがあったってことでしょう。まあ、土砂降りの中で下着姿になって『もしも明日が』を踊り狂うところをワンカットで見せるという相米らしいシーンもあるので、これは良しとしましょう。とにもかくにも、本作は日本の80年代青春映画の最高傑作だと思います。 この映画は、長野県佐久市の中学校で夏休みに集中してロケしたそうで、在校生もエキストラ出演しています。完成後に体育館に生徒を集めて披露試写会を学校は企画していたそうですが、中身やストーリーを知らずに協力していた先生たちが怖気づいてけっきょく企画は立ち消えになったそうです。これはぜひ実現して欲しかったですね、きっと家族団らんで観ているTVに突然濃厚なラブシーンが流れて気まずくなるような雰囲気だろうなと、想像しただけで笑えてきます。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2019-09-12 18:43:46) (良:2票) |
51.《ネタバレ》 幼心に衝撃だった。歌う愛憎、性と死。清志郎の声。厨二病以前の中学生の性的衝動はここに発露する。少年は愛に死んだ。深夜のアーケードには愛は無かった。 【よこやまゆうき】さん [地上波(邦画)] 10点(2017-05-26 04:17:06) |
50.《ネタバレ》 台風が過ぎ、青空が広がる朝が来ると、あの高揚感も何もかもが次第に薄れていく。たぶんあの後あの少年少女たちは何もなかったように鬱屈した日常に戻っていくんだろうな。誰一人三上君の死について理解できないで進んでいくんだろうな。 誰も変容したように感じなかった。三上君の死さえ、変容の結果だとは思えなかった。彼は自己を正当化するために、教師との喧嘩や彼女に連絡がつかないというだけで浅はかに哲学を装って死んだだけだと思った。ピーターパン的に。 つまり、青春時から青年期への通過儀礼的なものではなく、もっと衝動的な中学生特有の集団ヒステリーのような一瞬を、台風のくるドキドキワクワク感とともに描き切った作品であると感じた。 主題ははっきりとあるものの、登場人物の変容が感じられないから、観る人によっては「なんだこの映画、何が残るんだ?」という気にさせられるかもしれない。でもこの映画は、人生に一度しかない中学校生活最後の年の、大人でも子どもでもない彼らの一種の抵抗や反乱や狂気を写真のように切り取った作品なので致し方ない。 台風のひと時だけで人間がそんなに成長してたまるか。 故相米監督の大傑作。 【JF】さん [DVD(邦画)] 7点(2015-06-05 09:24:00) |
49.○この世には、暴走や狂態では払拭できない鬱屈がある。その鬱屈をいちばん持て余すのは中学生の頃だろう。人生における台風の時代は、過ぎ去ってしまえばすぐに忘れてしまう。この映画は、その時代をまざまざと思い出させてくれる大傑作。全編、アルバート・アイラーの即興演奏が鳴り響いているようだ。○この映画ほど好き嫌いが分かれる映画はないだろう。嫌いな人が冗長と感じる場面も、好きな者は飽くことなく魅入ってしまうのだ。○思春期の頃の痕跡かな?台風が来ると、フリチンで暴風雨の中へ跳びだしたくなる。60歳を過ぎたいまでも。。。。。 【火蛾】さん [映画館(邦画)] 10点(2014-11-03 17:13:25) |
48.《ネタバレ》 相米慎二監督作品。 思春期の中学生を台風を通じて描いた作品。 子供の頃は誰もが感じたであろう台風が近づいてくる際の高揚感に着眼し、それを契機として中学生の日頃感じている不安や性的欲求、苦悩を見事に表現している。 冒頭から通じて身近に水があり、やけに湿気のある空気感で、それがまた彼らの不安定さを演出しており良い。 健のドアを何度も蹴るシーンや三上の机を積み上げるシーンなどかなり長い長回しが使われているがこれがまた彼らの狂気を引き立てている。 これこそ青春映画である。 【こしち】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-08-07 21:43:13) |
47.中学時代って人生の台風みたいな時期で、生と死、正義と悪、そしてエロスが嵐のようにイッキに押し寄せてくる。 この時代をどう過ごすかで、その後の人生というか人格が決まるような気はする。 私は何とか台風をやりすごしたとは思ってはいるが、その爪痕は大きく、良くも悪くもあの時代あってこその現在なんだろうと思っている。 誰もが自分の中学時代を思い出しながら見るのだろうが、自分はこの時代の鬱屈さに共感するにはちょっと年をとり過ぎたかな。 |
★46.《ネタバレ》 こうしたストーリー性よりも感覚的なものを重視した映画は苦手。 哲学的、象徴的なところがあってシュールでわかりにくい。 夜の学校、台風という非日常で不思議とテンションの上がる状況で、抑圧から暴発するようなエネルギー。 台風の中を中学生が裸で踊っている場面は奇妙な高揚感が出ていてインパクトが強い。 思春期に特有のわけのわからない衝動、それをコントロールできない未成熟な思考、狂気を帯びたかのような暴走。 好きではないのに、なにか引っかかる映画ではある。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2013-06-12 00:22:29) |
45.ずっと昔にテレビで観た時に、とても胸が高鳴った。今観ると内容は結構めちゃくちゃだけど、(当時の)この年代の危うさと台風接近の高揚感を見事に描いている。 【noji】さん [地上波(邦画)] 9点(2012-07-01 21:23:11) |
44.中学生の内に秘めたる狂気を描いた、ちょっと変わった青春映画。 核となるようなストーリーはなく、彼らの鬱屈した心情を台風で表現させるといった構成。 決して重たい流れではなく、コミカルなシーンも用意されているのだが、 ラストは結構ショッキングだった。どちらかと言えば、感性で観る映画。 【MAHITO】さん [ビデオ(邦画)] 4点(2011-08-19 08:50:58) |
43.子どもたちのイライラを描く。「イライラ」という不定形なものを描いてこれだけ迫力を出せた映画というのも珍しい。ただ、たしかに子どもたちはイライラしてるんだけど、イライラしたふりをして防衛している「何か」もあるわけで、そこらへんの子どものずるさをも描くだけの距離があったら、もっと良かっただろう。台風に閉じ込められたふりをして、立て籠もった子どもたちという設定なら、もっと校舎を使いこなすべきだった。職員室のドアを蹴るとこと、机を積み上げるとこがいい。カメラが蹴った穴を通って外に出たりする。物語から離れるところで、この監督はイキイキしてくる。何かが持続するところを描くと気合いが入ってくる。商店街でマッシロな男女がオカリナを吹いてるのはシラけた。大西結花が、三上君と工藤嬢が仲良く話し合ってるのを見てて、こちら(窓)を向き、背伸びを二度ほどやって風が吹く、なんてとこがいいんだ。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 6点(2011-07-06 10:44:27) |