5.いくら公開開始直後の日曜とは言え、何でこんな映画がこうも混んでるんだろう。一体みんな何を期待しているんだ?と人のコトは言えないけれど。
期待するのはただ一点、どのくらいデカいサメが出てくるんだろうか、と。
いや確かにデカいけれど、これだけデカいと、かえってあんまりピンと来ません、当然ながら。そしてこれも当然ながら、製作サイドもこのデカさを持て余しているような。デカ過ぎて、コワくも何ともありません。こんな「シャークトパス」とかと同レベルの企画に、見境もなく一体どれだけ金使ってるんだろうか。恐るべし中国マネー。
もしかしてこの映画のメガロドンは、肥大しきった中国という国家そのものを象徴している・・・なんてワケも無いけど。
とりあえずコワくない、のみならず、安心感すらあります。残酷描写も無く、適度に観客をビックリさせる「ちょっとしたショックシーン」をしきりに挿入する。はいはい、またですか、ってな感じで、こちらもお付き合いにビックリしてみせる(もちろん、ムダにビックリシーンを繰り返すので、食傷気味になってきます)。
登場人物もイイ人たちばかり。人間関係も明朗そのもので、ジェイソン・ステイサム(さすが泳ぎは見事!)演じる主人公も気難しい人物かと思いきや、「元妻の危機」と聞いてホイホイ救出に乗り出してくるし(主人公を物語に引きずり込む為以外に元妻が登場する意義無し)、でもって中国人の母子とじゃれ合いまくり。
中国人女性とその父との間にも何やら葛藤のようなものがあったらしいのだけど、物語の途中で取ってつけたようにそんな過去の話をされても、無理やりドラマをでっち上げたような印象しかありません。
要するに、巨大サメが襲ってくるという、本来ならかなりぶっ飛んだオハナシの筈なのに、やけに大人しいというか、誰にも好かれないけれど誰にも嫌われないようなオハナシにとどめているんですね。中国に媚びを売るだけでなく(映画の巨大マーケットだけど、それなりに商売が難しい事情もある)、チョイ役とは言えマシ・オカに日本語をしゃべらせたり書かせたりして彼が日本人であることを妙に印象づけ、このテの映画には不自然なほど、仲間たちは彼のことを言及してみせる、これって、日本マーケットも考慮してくれてるってコトですかね。日本の観客にはたぶん、どうもでいいコトだったりするのですが。
メガロドンがなぜ本作で我々の前に現れたのか、という説明のクダリ、「これで、作ろうと思えば続編も作れます」という以上のものでも以下のものでもないしなあ。
というワケで、すばらしくスカスカな映画を観させていただきました。気持ちいいほど、実にスカスカ。でも、今後もこんな感じの米中合作映画の流れは、とどまることを知らずに続いていくんだろうなあ、と何やら考えさせられるものがあったりもするのでした。
それに、怪獣映画と言えば日本、と思ってたけれど、レジェンダリー・ピクチャーの買収の件もあるし、今後は「怪獣映画=中国」になっちゃうんだろうか。何だかウラヤマシイぞ。