1.18世紀のイギリスを舞台に名曲アメイジング・グレイスの誕生秘話や政治家ウィリアム・ウィルバーフォースが奴隷廃止に人生を捧げる姿を描いた感動の歴史物語。
重厚なテーマに重苦しい雰囲気が漂うけれど、彼の情熱や信念はとても崇高だし、妻や親友との絆を通して描くことで素晴らしくドラマチックな作品に仕上がっています。
すべての人類が知っておくべき歴史の転換点を描いたという意味でも満点の想いだけど、1つの映画作品としても非常によく出来ていて、深く考えさせられたり、共感したり、感動に涙することのできる名作だったように思います。
僕はこの作品を観賞していて、現代の原発問題などにも繋がる共通点があるように感じました。
実は当時も多くの人たちは奴隷制度が正しいとは思っていなくて、既得権益や社会情勢が壁となって立ち塞がっていたことがよく理解できた。
奴隷が居なければ大農園の経営は成り立たなくなり、経済が混乱する。
やがては国家が転覆することになるかも知れない。
奴隷というのは人権を無視した当時のエネルギーだったわけで、健康や安全な生活に多大なリスクが生じることに薄々気付き始めた現代人がその危険な原発依存から抜け出せないでいるロジックとよく似ている。
そして、当時の政治家も現代の政治家と同じように徐々に無くすという先送りを提案するところが滑稽であり、絶望的でもある。
その打開策として彼らはちょっとしたズルをするのだけど、それに気付いた彼らは天才脚本家だったと言えるだろう。
廃止法案成立は不可能かと思わせる展開に一筋の光明が差した瞬間、僕は身震いがする思いだった。
これほどまでに大きな困難であっても、人類にはそれを乗り越える知恵があるんだということを改めて確信することができました。
僕らとは関係のない遠い国の出来事と感じるのではなく、同じ人類が成し遂げた偉業として誇らしく思えたのが嬉しいです。
聴き慣れたアメイジング・グレイスの旋律も今までとは少し違って感じ入ることができるようになりました。
ありがとうございます。