5.《ネタバレ》 ほんの2、3世代前…こんな時代こんな日常があったという真実。
試写の評判をTwitterで知り、初日の午後 映画館へ。
テアトル梅田のロビーには人がいっぱい。上映中は立ち見の人までいて驚き。
舞台は戦時中。明るくふんわりと生きる主人公すずと一緒に、
私は、その時代の暮らしを体験した。
広島から軍港の呉へと嫁ぎ、新しい土地で新しい家族との生活が始まる。
物が無く食べる物にも苦労するが、失敗したり笑ったり。
それは今の私たちとさして違わない普通の暮らし。
私たちは、すずと一緒にくすくす笑い、家族とのふれ合いにホッコリし、時に涙する。
2時間の映画が、すずの生きる数年間にも感じられ…そして。
映画が終わった時、色々な感情があふれ、しばし言葉を失った。
片渕須直監督が現地で綿密に調査し再現した風景や暮らしは、全て当時の本当の姿だという。
祖父母から断片的に話を聴いたり、日本史の一部として知っていたその時代。
しかしこれは、どんな歴史書やドキュメンタリーよりもリアルな、VRのような時代体験だった。
すずさんの思いは、当時を生きた多くの普通の人たちの思いに相違ない。
ある意味、隠し、忘れてしまいたい過去。その良いところ悪いところ両方を
原作者の こうの史代さんも、片渕監督も知って欲しかったんだろうと思う。
これは、よく取材して丁寧に作られた、厳しくも優しい〝幸せのあり方〟を描いた最高の映画です。