1.フィルムセンター所蔵作品を、池袋・新文芸坐にて鑑賞。
現存するバージョンは、フィルムの断片をつなぎ合わせて復元し、再編集したもので、どこまでオリジナル性が維持されているかは定かでないが、それでもかなり楽しめた。
随所に笑えるところあり、それでいて見応えもある。
そして何より、当時の月給取り(サラリーマン)の実態が詳細に描かれているのが面白い!
小津安二郎の原作で、それを内田吐夢が監督するという、夢の取り合わせ。
キャッチボールのシーンや、会社内でのシーン、子供同士の喧嘩など、初期小津の作風が強く反映されている。
しかし、そこは内田吐夢の技量か、初期の小津作品よりも格段に面白くなっている。
もし初期の小津作品を、「原作・小津安二郎、監督・内田吐夢」の取り合わせにしたら、ひょっとすると、もっと素晴らしい作品が沢山できたに違いないと思わせる出来であった。
それだけ内田吐夢監督の演出が光った作品だった。
それにしても、本作での轟夕起子、なかなか魅力的だったなぁ~
あのスカートからのぞくヒップラインが何ともエロティック。
そして、川に脚を浸している時の、ふくらはぎの質感の艶かしさよ!
轟夕起子という女優さん、今まで全く注目していなかったが、本作でその魅力を十二分に感じることができた。
これも本作を観た上での収穫の一つだ。