2.《ネタバレ》 アレンが好きな、そう遠くない過去のアメリカを舞台にした人間模様。
1950年代、寂れつつある夏の海辺の行楽地コニーアイランド。
こんな作品の舞台にアレン映画独特の色合いと、前作と同じくストラーロの撮影が絶妙にマッチしています。
登場する全ての人物が、それぞれの繋がりの中で何かしらの後ろめたさを感じながら日々を過ごす人間模様。
そんな中、気だるいようで、時に鬼気迫る熱演を見せるケイト・ウィンスレットの存在が最大の見どころです。
かつては女優だった華やかな日々と、今の空しい日々。
そんな日々を彼なら変えてくれるかもしれない。彼女にとっては救世主のように現れた彼もただの人間。
再婚した夫と、ギャングから命を狙われている再婚相手の娘と、放火癖のあるまだ幼い自分の息子と・・・。
何も解決していない、誰も幸せになっていない、彼女を突き放すようなエンディング。
出ていきたくても引越す金も無く出ていけない寂れゆく夏の行楽地という設定が虚しさに拍車をかけます。
それでも、人間は生きていかなければならないということか。
ご主人が気の毒な役回りですが、演じるコメディアン、ジム・ベルーシが十分にらしさを見せてくれます。
お話の方は既視感のあるソープオペラ的ストーリーではありますが、
アレンらしい色調と音楽を背景に描かれる、コメディと並んでアレンが好むほろ苦くシリアスな人間ドラマです。