31.小暮実千代が情感たっぷりに生真面目な芸妓を演じ、今が旬の「おちょやん」こと浪花千栄子がドスの効いた貫禄ある茶屋の女将を演じている。 若き若尾文子のまだ青臭いウブな演技、と女優の競演が見所です。 華やかな芸妓の世界も裏に回れば過酷で非情な女の世界である事がよくわかる映画である。 昔の日本映画は、祇園を舞台にした良作が多かった。 【とれびやん】さん [インターネット(邦画)] 7点(2021-03-01 23:02:18) |
30.《ネタバレ》 今の時代ならこんな半分性奴隷みたいなことないだろうけど 当時はあったのかな。 それとも他の選択肢をあえてこの二人は蹴って ラストは一皮むけた二人が気持ち新たに芸者道を進み始めたのだろうか。 いずれにしても不幸になるべくしてなった不幸物語かと思いきや ラストの頼もしい二人にエールを送るたくなる良い映画だった。 【Dry-man】さん [インターネット(邦画)] 6点(2021-01-13 23:00:12) |
29.《ネタバレ》 溝口監督ほど、芸者の世界をシラフで見つめ続けた監督もいないのではないか? 本作以外にも「祇園の姉妹」「残菊物語」と芸者界を一刀両断する。 溝口監督作のは観てないが、「滝の白糸」も良かった。 役人の担当者が、芸者遊びで仕事を業者に口利きする、という世界がそもそも おかしいのだが・・ 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-10-07 23:50:28) |
28.《ネタバレ》 天真爛漫な若尾文子の可憐さ、それにも増して木暮実千代の艶っぽい風情は素晴らしい。素晴らしいが、男に頼らざるを得ない芸者の悲哀、と言えば聞こえは良いが、内容はかなりドロドロと欲望に塗れた陰惨・醜悪なもので(とにかく男共は本当に碌でもない奴しか出て来ない)、正直中盤は相当キツかった。男なんてこんなもの、そしてそういう男を相手にカネを遣わせる以上は、芸者だってこんなもの、というような一種の諦観すら感じられるが、この感覚も時代と共に変わりつつあるものだと思いたい。 とは言え、ラストの美代栄のまっすぐさ、そして美代春のしなやかさ・強かさはやはり素直に美しかった。気さくなようで地味に冷酷な浪花千栄子の演技も素晴らしい。非常にシンプルで無駄も無いが、味わい深い。 【Yuki2Invy】さん [DVD(邦画)] 8点(2020-02-15 02:07:01) |
27.いやー、面白かったですね。私もお茶屋の舞妓遊びに連れてってもらったことがありますが、昔も今も全然変わらないんですね。木屋町の佇まいも舞妓さんも同じでびっくりです。ま、木暮実千代みたいな艶っぽい人はさすがに見たことないですが。舞妓さんの世界の厳しさというより、嫂、妹娘の絆がよく伝わってきました。思ったよりエグい場面もなく良い。栄子が可愛らしいのが微笑ましい。 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-06-12 22:44:25) |
26.《ネタバレ》 観始めて思うことは今から60年以上前の作品に関わらず、意外にも違和感を感じないということ。それだけこの祇園の世界は特殊で今も昔も変わらない特別な世界ということなのだろうか。若尾文子はまぁ若い、そしてかわいいですね~。なかなかでゴザイマシタ 【Kaname】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-08-08 05:54:44) |
★25.溝口健二というサディスティックな女性賛美者が、鯛のアラをすわぶるように二人の女の受難を愉しんでいる。 【火蛾】さん [DVD(邦画)] 10点(2015-12-18 21:16:23) |
24.《ネタバレ》 みんな若尾さまを目当てに観始めるでしょうけど、すぐ判りますけどこの映画は小暮実千代を愛でるのが正解です。もう何と言いますか、彼女をギュッと絞ったら色気の汁が滴り落ちそうな感じなんです。彼女が冒頭でなじみ客にぶつける捨てゼリフが、現代のキャバクラ嬢の言う本音と大して変わらないところはとても面白い、時代に関係なくこの世界は変わらないものなんだなとしみじみ思いました。若尾文子も時代にあった自我を持った舞妓を好演していて、初めてお座敷に上がる時の初々しさは胸キュンものです。 80分余りと尺は短い映画ですが、実に濃厚な80分間の溝口ワールドです。「女を撮らせたら溝口」と言われただけあって、小暮実千代の演技を観てると、どうしてここまで繊細な演出が出来るんだろうと感嘆してしまいました。また出てくる男と言う男が、だらしなく狡猾で卑怯で女優陣を引きたててくれます。状況が変わる場面になると必ず電話が鳴るという作劇術もなかなか興味深かったです。そして忘れてはならないのが置屋の女将の浪花千栄子で、男も女も操る手腕はまるで老練な政治家みたいで怖くなってきます。 こうなると同じ溝口の『祇園の姉妹』もぜひ観たくなってきました。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-06-25 21:54:37) (良:1票) |
23.冒頭の、祇園の世界に吸い込まれそうなショットに息を飲む。まさにここは、「そういう世界」。木暮実千代演じる主人公・美代春も、「そういう世界」の人間。と言っても我々庶民には「そういう世界」ってどういう世界だか、なかなかわからないんですけれどもね~。まず美代春が、金の切れ目が縁の切れ目とばかり、自分に入れあげた客を邪険にする場面があり、ああオソロシや。と思いきや、形式的なしきたりの世界に生きる彼女にも、一方では、栄子やその父に見せる愚かしいまでに情に厚い一面も。そしてそのしきたりの世界に表面的には憧れても結局は馴染めぬ栄子と、その世界に生きていかざるを得ない美代春。彼女たちを利用しようとする者たちも含め、みんな何かしら、不自由を味わっている。ここは、そういう世界、なんだなあと。 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 9点(2015-03-17 22:55:09) |
22.《ネタバレ》 作品のポイントはたった1つしかないのに、それをじっくり90分かけて描き出す落ち着きと丁寧さ。中でも、中盤、浪花千栄子が木暮実千代に翻意を促してじわじわとたたみかける際の、陽炎のようにゆらめく迫力があまりにも強烈。 【Olias】さん [映画館(邦画)] 8点(2015-02-23 04:13:29) |
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21.二十歳の若尾文子の可愛さが印象的です。戦後間もない時代の作品ですが、一見すると時とともに大きく変ってきたように見える人々の価値観も、本音の部分では今も大して変わってないのが伝わってきます。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2015-02-19 18:10:32) |
20.ストーリーは何も足さない何も引かない美しさがあった。舞妓世界の華やかさの裏表が伝わった。 舞妓さん言葉は上品だった。 【ホットチョコレート】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2015-02-11 23:25:00) |
19.《ネタバレ》 主人公たちの純粋さや生真面目と対照的に描かれる、世間(?)のシステムの強固さに溜め息。そのシステムに守られている面もあるだろうけど、ちょっとクラクラしてきます。若尾文子が生真面目さから謝罪に行く場面にしても、浪花千栄子の方はまるで「飛んで火に入るなんとやら」といった表情で、彼女を人質にしてしまう。これはびっくり。出入り禁止を解かれた後は、急に仕事の電話が何本も掛かってきて、いつのまにかいなくなっていた男衆が何事もなかったかのように戻ってくる。「何事もなかったかのように」続いていく日常に目眩がしました。けどまあ、今日の昼ご飯はそうめんかなあ。 【ゆうろう】さん [DVD(邦画)] 8点(2014-07-06 10:51:20) (良:1票) |
18.姉妹(名目上の)の世代の差・時代の差。たとえば若尾文子が登場するときは洋服である。木暮実千代は若尾と浪花千栄子の中間の世代で、だからどっちの言いぶんも分かる。それだけにつらい。若尾もそれは分かっていて戦前の『祇園の姉妹』のように、一方的に責めるわけではない。浪花にやはり凄味、「それはお金のある人が言うことえ」と、ビシッと決めてくる。上方人のネットリした暗さを出すと一番でしょう。東京のホテルの部屋、窓の外に切り絵のようなビルがあり、上を欄間が切ってて、なんかこのセット、戦前ぽいと言うか、モダニスト溝口の残り香を嗅ぐような気がした。その一方で木暮の家を出たとこ、直角に路地が通ってて、分かれ道と言うか、一方に田中春男が去っていき、一方の奥では花火やってたり、狭い感じが懐かしい。モダニズムと日本情緒、監督の美意識の二極がうかがえる。 【なんのかんの】さん [DVD(邦画)] 8点(2013-10-28 09:48:02) |
17.新憲法が交付され基本的人権が尊重されるような時代になってもなお残る古くからのしきたり、そして悲しくも切ないさだめ。旦那というスポンサーを持つ持たないなど、一間華やかに見える芸妓の表と裏の世界が垣間見える。この手の女性を描かせたら溝口の右に出る者はない。若尾文子の若さに驚くと共に、理不尽なさだめを強く生きる木暮実千代にうたれる。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-08-11 06:03:33) |
16.《ネタバレ》 神崎の前で美代春が脱いだ白足袋。何とも言えぬ艶めかしさに息を呑みました。観終わって、単なる売春婦ではない「富士山同様日本の宝」と言われる祇園芸妓としての気位の高さ、乙に澄まして紳士面するものの仕事に欲情を絡める薄汚い本省課長にカラダを売らねばならぬ理不尽さ、相反する二つを繋ぐ人としての情け、それぞれが白足袋に凝縮されていたように思いました。女優三人の好演の相乗効果が構図同様に作品の奥行きの深さを与えていました。 |
15.《ネタバレ》 完璧。今で言えば芸能事務所のシンドイ話を見せられる感じ。ラストシーンだけでも素晴らしい(という言い方は、濃密な作品世界のラストシーンについにいたった感慨でもある)。新入り若尾文子の身代わりで辛い務めを引き受ける木暮実千代の笑みで終わる。乗り越えた笑みなのである、凄い。 長回しの溝口(宮川一夫カメラ)だが、畳の座位から立ち居への移行にアクション繋ぎが例外的に二三あってメリハリが導入される。日本家屋の襖や簾などの上下の線がフレーム内フレームとして頻繁に画面を、閉じられた謀略・欲望・権力の空間として現出させる。 【ひと3】さん [映画館(邦画)] 10点(2011-03-15 19:34:31) |
14.《ネタバレ》 製作は昭和28年。新しい時代が来たのに、旧弊な扱いを受ける芸妓。新しい時代と伝統の乖離を描いていて、近頃の相撲協会にまつわる騒動を連想しました。この件に関して、新聞で「芸の世界では世間の常識は通用しない」とか言っていた人がいましたが、この映画を見ても同じことを言うのでしょう(男だし)。まあ、どんな世界にも裏というのはあるものでしょうが……。 裏といえば、本作では仕事先のお得意さんにお気に入りの芸妓をあてがって仕事をもらおうという魂胆ですから、これは要するに賄賂でしょう。ここでも裏の世界が描かれています。こうしてみると、60年近く前の映画なのに、扱われている題材の新しいこと! こういうところは、日本人は変わっていないのでしょうか。それこそ日本人が誇る(?)伝統というやつかもしれません。日本に限らない話かもしれませんが。 画としては、細い路地が多い京の街の特色を生かした、道が奥へ伸びている構図が印象的です。室内でも、すだれなどを使って手前と奥とを明確に分け、奥行きを出しています。昔の京都の街並みを見られるのが嬉しいですね。京都に生まれ育った私としては、ロケ地がどこか想像するのも楽しいです。 出演者では、弱冠二十歳の若尾文子が、いかにも当世風(当時)の女の子を演じていて愉快です。嫌味な浪花千栄子も好演。木暮実千代は、京言葉のアクセントがどう考えても変なのが残念です。 そういえば、『雨月物語』と同年の製作でスタッフもほとんど同じなのに、こちらは台詞がよく聞き取れました。不思議です。フィルムを使用する機会が少ないことが理由だったりして。 【アングロファイル】さん [地上波(邦画)] 8点(2010-07-20 21:00:40) |
13.舞妓さんの仕事も見掛けだけではわからない大変な職業です、木暮実千代演じる美代春姉さんのプロ意識に惚れこんでしまいました。いい映画です。 【白い男】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2008-12-20 13:05:02) (良:2票) |
12.サクセスストーリーの要素あり、青春ドラマの要素ありで感動。祇園の昔の様子も垣間見れたし、これまで故黒川紀章氏のよき奥さんという印象の強かった若尾文子さんの若かりしころもチェックできました。あと印象に残るのは舞妓さんの色気(?)です。これが初めての鑑賞だった溝口健二作品でしたが、収穫の多い名作でした。 【kagrik】さん [CS・衛星(字幕)] 10点(2008-12-17 12:50:11) (良:1票) |