この世界の片隅に(2016)のシネマレビュー、評価、クチコミ、感想です。

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この世界の片隅に(2016)

[コノセカイノカタスミニ]
In This Corner of the World
2016年上映時間:129分
平均点:8.20 / 10(Review 151人) (点数分布表示)
公開開始日(2016-11-12)
公開終了日(2017-09-15)
ドラマコメディ戦争ものアニメ漫画の映画化
新規登録(2016-10-20)【ユーカラ】さん
タイトル情報更新(2024-07-18)【イニシャルK】さん
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監督片渕須直
演出新谷真弓(広島弁監修)
のん北條すず
細谷佳正北條周作
小野大輔水原哲
潘めぐみ浦野すみ
牛山茂北條円太郎
新谷真弓北條サン
小山剛志浦野十郎
京田尚子森田イト
佐々木望小林の伯父
塩田朋子小林の伯母
三宅健太ばけもん
喜安浩平
原作こうの史代「この世界の片隅に」(双葉社刊)(双葉社 週刊漫画アクション 2007年‐2009年連載)
脚本片渕須直
音楽コトリンゴ
佐々木史朗〔音楽・アニメ製作〕(音楽プロデューサー)
作詞コトリンゴ「たんぽぽ」
こうの史代「みぎてのうた」
片渕須直「みぎてのうた」
サトウ・ハチロー「悲しくてやりきれない」
作曲コトリンゴ「みぎてのうた」/「たんぽぽ」
加藤和彦「悲しくてやりきれない」
飯田信夫「隣組」
編曲コトリンゴ「みぎてのうた」/「たんぽぽ」「悲しくてやりきれない」/「隣組」
主題歌コトリンゴ「みぎてのうた」/「たんぽぽ」/「悲しくてやりきれない」
挿入曲コトリンゴ「隣組」
製作朝日新聞社(「この世界の片隅に」製作委員会)
東京テアトル(「この世界の片隅に」製作委員会)
東北新社(「この世界の片隅に」製作委員会)
バンダイビジュアル(「この世界の片隅に」製作委員会)
双葉社(「この世界の片隅に」製作委員会)
MAPPA(「この世界の片隅に」製作委員会)
Cygames(「この世界の片隅に」製作委員会)
企画丸山正雄
プロデューサー真木太郎
制作MAPPA(アニメーション制作)
配給東京テアトル
作画松原秀典(キャラクターデザイン・作画監督)
こうの史代(劇中画)
美術男鹿和雄(背景)
武重洋二(背景)
録音柴崎憲治(音響効果)
片渕須直(音響監督)
東北新社(音響制作)
その他本郷みつる(クラウドファンディングで支援してくださった皆様)
小林靖子(クラウドファンディングで支援してくださった皆様)
あらすじ
広島に暮らす18歳のすずに、ある日突然縁談話が持ち上がり、彼女は戸惑いながらも軍港の町、呉に嫁ぐ。折しも太平洋戦争は激化、呉の町への空襲も日に日に激しくなる中、周囲の人々に温かく支えられながら、彼女は気丈に生きる。しかし、ついにその日はやって来た…。こうの史代の漫画をアニメーション化。すずの声を女優のんが熱演。
ネタバレは禁止していませんので
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71.タレント声優は大嫌いですが
担当キャラが能年さんそのものだったので違和感ありませんでした。
マントタヌキさん [DVD(邦画)] 10点(2017-05-18 16:23:09)
70.《ネタバレ》 2回鑑賞。場面設定やアニメ画の繊細さ、主人公の声、随所に入るボケと突っ込み、そして戦争の描き方、これらのバランスが絶妙です。最後の家族が一人増える流れがちょっと強引かなとも思いましたが、当時あった話なんでしょう。何度も見たくなる映画です。
Banjojoさん [映画館(邦画)] 10点(2017-04-24 23:26:39)
69.映画が小説や漫画、音楽と決定的に異なる点は一人では作れないことだ。そのことによって映画はとかくツギハギのように一貫性のない作品になりやすい。そのような作品はハリボテのように中身がない。見る人が見ればまがいものであることがわかってしまう。特に原作があったり、脚本と監督が異なる映画ではしばしばこれが起こる。
しかしこの映画はどうだろう。ストーリー、アニメーション、音楽、さらには声優の演技までが何か共通した意識、意図を持っているかのようにまとまっていて、一つの美しい世界観を創り上げている。
特に素晴らしかったのはキャラクターの愛しらしい表情や仕草だ。柔らかく自然でまるでかわいい草食動物でも見ているようだった。やはりアニメは良い作画があってこそだと改めて思った。
そしてもう一つ言わねばならないのが主人公すずの声優である。あれをどう説明したらいいのだろう?もう声優なんてものは存在していなくて、すずそのものがただそこにいる、そんな感じだった。あとで一体この声優は誰なんだと調べてみたら「のん」という聞きなれない名前があって、どこぞの新人さんかと思いきや、それが能年玲奈だとわかって衝撃を受けた。いろいろと問題の多い彼女だが、その原因はその人並み外れた感受性の強さが原因なのかもしれない。いずれにせよこの素晴らしい力があるなら彼女がエンターテイメントの世界から消えることはないだろう。彼女を必要とする人はこれからもきっといるはずだ。

穏やかでのんびりと、ときに和気藹々と、みんなで力を合わせて辛いことを乗り越えて、それでも悲しいことは起こる。それでも前を向いて歩いていく。世界の残酷さと人の強さを正面から描いた素晴らしい映画だった。
ばかぽんさん [DVD(邦画)] 9点(2017-04-02 12:53:38)
68.《ネタバレ》 本作の原作漫画を遥かに凌駕する映画的演出で特記すべきは、まずは、呉の嫁ぎ先のロケーションです。山のふもと。斜面の畑。石垣。晴美と呉港を見渡して会話するシーン。

タンポポを飛ばすシーンで、周作と並んで石垣の上に座る場面など、高低と奥行きの描き方が圧倒的。そして呉で初めての大規模な空襲のシーン。「こんな時に絵具があれば」というモノローグ。青空に連続して描かれる破裂する爆弾。なんて美しい表現でしょう。また、時限爆弾の後の、黒地に線香花火のような落書き風の処理。こういうの、実写でやってもいいよなぁ、と思いながら見ました。


さて、もう一つ、大雑把な云い方ですが、映画を見た際に誰もが感じるであろう、隠喩の豊かさについても、原作で既に描かれているか検証したい、と強く思いました。

そこで、象徴について追記。やっぱり、本作において最も重要な色彩は白色なんだろうな、とつらつら思いました。思いつくまま白い色をあげてみます。
例えば、タンポポや白鷺の表すもの。金床雲とキノコ雲。ばけ物と鬼(ワニを嫁にもらうお兄さん)。或いは、ネーミングによる多重性、すずとりん、すずの妹の「すみ」(片隅のすみではないか)、「ふたば」という料理屋。遊郭「二葉館」。
これらは殆ど、原作通りですが、映画における白鷺のメタファーは原作をかなり超えるものです。
白いタンポポ。タンポポの綿毛。白鷺。白鷺の羽。波間の白うさぎ。白粉、白粉をふった、すずの顔。雲。アイスクリーム。包帯。砂。糖。白米。


ところで、これは映画的な話ではないので恐縮なのですが、御多分に漏れず、私も映画を見た後、気になって原作を読んだクチです。
何を一番確認したかったのかというと、実は冒頭の扱いでした。この映画を見た際に最も驚いたのは、冒頭、アバンタイトルで、幼いすずが船に乗って一人広島市内へお遣いに出ますが、その際にBGMとして讃美歌「神の御子は今宵しも」が流れ、広島市では、クリスマスの装いが描かれるのです。ちょっとこれには驚きました。

タイトルバックの「悲しくてやりきれない」以上に、このクリスマスソングに驚いたのですが、原作ではこのシーンは昭和9年1月の出来事として、描かれており、明かな片渕須直による改変なのです。

原作と映画との相違では、この部分は大して重要じゃないかも知れません。こゝよりも、夫・周作の過去の扱い、遊郭の女・白木リンの扱いの方が大きいかも知れません。
ただ、私にとっては、本作がクリスマスの映画として始まる、というのは決定的に重要な細部です。
ゑぎさん [映画館(邦画)] 9点(2017-03-28 05:40:00)(良:1票)
67.《ネタバレ》 戦争の時代の中で、純朴に生きた女性を丁寧に描いているのは確かだが、
すこし、きれいごとすぎてないか。人々が荒んでいたこの時代、もっと嫌なことが多くあったはずだが、
この時代でも“楽しかった”“良かった”・・・何が“楽しかった”“良かった”・・のか、
時代を受入れて、純朴に生きる映画が、なぜ、今、高い評価を得るのか不明である。
当時の時代の不幸が目新しいのか、それとも、非日常の変化(不幸)のドラマを体験した気分になる
ことに感動しているのか。理解するのが難しいね。
この監督は何を表現したかったのか。今、中東では、これ以上の不幸を多くの人が味わっている状況で!
cogitoさん [映画館(邦画)] 5点(2017-03-19 14:14:24)(良:2票)
66.《ネタバレ》 ◇小さなころからのすずと家族、市井の日常を丹念に描くことで、観客はすずの親戚にでもなったような親近感を抱く。
◇一緒に泣き笑い物語は進むが、その日が近づいてるのを、すず達は知らない。観客は知っている。
◇あっけなく奪われる日常。それでも、人々は、生きるためにたくましく日常を取り返す。
◇この映画に出会えたこと感謝します。
ハクリキコさん [映画館(邦画)] 9点(2017-03-05 10:28:25)
65.《ネタバレ》 ここまで継続して評判がよいとなると、見ないわけにはいかないなと思い劇場へ。海を駆け抜ける白うさぎの描写、自分の意思と異なる環境においてもひたむきに生きるすずの姿など、印象に残ったところもありましたが、フィーリングがどうも合わなかったです。良作であろうとは思うのですが。
jcross18さん [映画館(邦画)] 5点(2017-03-05 09:27:21)
64.《ネタバレ》 呉市でお店をやっていた私の祖母がまだ健在だった頃、戦中/戦後の生活について聞いたことがあった。祖母は「戦争でお店も全部焼けちゃって、本当に貧しくて何もなかったけど、それでもとにかく毎日楽しかったねぇ。」と答えてくれたのだが、私はこの祖母の言葉を聞いた際、不思議な感覚を持った。自分が勝手に抱いていた戦中/戦後のイメージと「楽しい」という言葉が結びつかなかったのだ。それがこの作品を見て、なんとなくだが祖母の言葉の意味が分かったような気がした。

毎年8月になるとテレビで放送される戦争特番や戦争映画。勿論真実ではあるのだろうが、やはり一つの角度から描かれた「側面」であり、「ダイジェスト」なのだろう。「昔の人は大変だったんだなあ」戦争特番を見るたびにそんな感想を抱き、どこか昔の人は今の自分達とは違うのだという意識を持っていた。しかし考えてみればほんの数十年で人間の業や生活の本質が変わるはずもない。人間の1日とは昔も今も、朝起きて、ご飯を食べ、排泄をし、それぞれが仕事をし、家に帰ってきて夕ご飯を食べ、お風呂に入って翌日の為に寝る。要はこれの繰り返しであり、これの繰り返しこそが人生であろう。この映画が衝撃的であるのは、そういった人間の日々の生活=日常にフォーカスしているところにあり、戦争という「非日常」にフォーカスしてきた今までの戦争ものとは、ほとんど真逆のアプローチであると言える。

2016年5月、オバマ氏の現職大統領として初の広島訪問。あの日行われたスピーチがより心を打つものであったのは、あの8月の日の朝も、いつもと変わらない、そして私たちと何も変わらない、普通の日常があったのだ。そしてそれを一瞬で壊してしまうのが戦争なのだという事に触れたからではなかったか。

映画が終わった際、「すずさんが生きていて、良かった…」「お義姉さんが生きていて良かった…」「周作さんが生きていて…」と思った。
何も無い、普通の1日を過ごせるのがどんなに幸せな事かを実感できる映画である。
rain on meさん [映画館(邦画)] 9点(2017-03-03 13:16:09)(良:2票)
63.《ネタバレ》 見終わって、今まで味わったことのない感情に酔いしれた。
稚拙な表現になってしまうけど……すごい映画。
「おもしろい」「感動した」「好き」「深い」「恐い」「笑える」「考えさせられる」「悲しい」などの多くの感情がごちゃまぜになっていて、一言で言い表せられない。

前半は楽しくて笑えて、すずの魅力満載。当時の生活もわかっておもしろい。
後半は、原爆投下の日に向かってカウントダウンされていくのが非常に恐い。
日を追うごとに「戦争」が身近になっていき、庶民目線で戦争の恐怖が実感できる。
前半のほのぼのムードから一転、これでもかと不幸が起こり、絵柄の可愛さとあいまってギャップがすごい。
だからこそ、より戦争・原爆の悲惨さが伝わってくる。

あと良かったのが、のん(能年玲奈)の声。
すずにマッチしてたし、「声優を本業にしたら?!」って思うくらい、オンリーワンな声質だと思った。

他にも、コトリンゴの歌とか、すずのふにゃっとした笑顔とか、良いところが多すぎて語り尽くせない…。

気になった点をあげるとしたら、ところどころに出てくる抽象的表現や、リアルなのか空想なのかわからない描写は少々やり過ぎだったかな。
そんなに奇をてらわなくても十分傑作なのに。

そして一番の不満は、すずが右手を失くしたこと。
すずがとても魅力的で、すっかり虜になってただけに、見てて辛すぎる。
これのせいで1点減らして9点にしようか悩んだけど、戦争・原爆の悲惨さを後世に伝えることができる重要な作品でもあるので10点にした。
ネギ寿司さん [映画館(邦画)] 10点(2017-03-02 01:44:24)
62.《ネタバレ》 アニメを映画館で見るなんて、子供の頃以外は記憶にないが、「君の名は。」とこの作品だけは見る気になった。
見てみると評判通りの佳作。日本昔話に出てきそうな朴訥でほんわかした雰囲気。
そんな中で絶対幸せになるしかないと思える主人公が、戦争で悲惨な目に遭う衝撃。
ほんわかした声や画柄と、シリアスなストーリーのミスマッチにやられた。
それでいて陰惨に終わるのではなく、最後に救いもあるので後味は良い。
ただ、そこまで深く感情移入はできなかった。
飛鳥さん [映画館(邦画)] 7点(2017-03-01 21:09:09)
61.《ネタバレ》 辛い現実に何度も直面し遂には実家に帰ろうとしていたすずが「この家に居させて下さい」と言ったあたりから何故か涙が止まらなくなった。戦時中と現代では全く状況が違うが、誰でも自分が今置かれている生活圏の中で精いっぱい頑張らないといけないということは今も昔も同じなんだと思わされた。お涙頂戴ではなく、悲しみの先にある明るさがほんのり見えるラストに救われた。
mickeyさん [映画館(邦画)] 10点(2017-02-19 22:47:27)
60.あの日はこの作品の一つの出来事でしかない。すずという一人の女性を通して、あの時代の生活、空気感というものが伝わってきた。あの時代を生き抜いてきたからこそ今があるという事を忘れていけないと思った。
Yoshiさん [映画館(邦画)] 6点(2017-02-15 20:08:29)
59.《ネタバレ》 原作漫画は未読で年末に観に行った。観終わった後すぐに原作を注文していた。年が明けてから近くの劇場に監督が舞台挨拶に来ると知りまた観に行ってしまった。舞台挨拶なんて地方に住んでいる自分にとっては初めての経験だった。まさかパンフレットにサインまでもらってしまうことになるとは思いもしなかった…。

淡々と紡がれていく日常。しかしテンポは異常な程に良い。すずという少女の虜になった観客は食い入るようにスクリーンを見ることになるだろう。この作品は完成まで7年を要したという。資金不足という面もあっただろうがそれだけの膨大で緻密な調査が行われている。すずという女性をリアルに身近にいるように描くにはどうすればいいか。この一点に監督の力が注がれている。一人の女性の日常をそのように描くことができればその日常を歪にしていく戦争をも描き出すことができる。その信念や姿勢が作品から伝わってくる。

タンポポのように流されるがまま生きてきたすず。絵を描くことが好きで得意の彼女は言葉ではあまり語らず絵で想いを発しているように思える。しかし、戦禍で右手を失った彼女は次第に言葉を紡ぎ始める。そして多くの葛藤の末に自分の居場所を確認する。「やっぱりここへ居らして貰えますか…。」その直前の義姉との和解の瞬間、訪れる閃光に息を吞む。直接的な惨状は描かないが強い印象を残す。「治るよ。治らんとおかしいよ。」妹の腕にできたしみ。それだけで我々には伝わる。終戦の日のすずの怒り。自分たちがいつの間にかなんとか適応してしまっていた戦争が、たった一つのラジオ放送で終わりを告げるようなものだったことを知り憤る。放送が終わった時には涼しい顔をしていた義姉の径子が隠れて失った娘の名を呼び慟哭する姿はとても堪えた。戦争が終わっても日常は続く。白い米が見えんと灯火管制の布をはがした時本当の日常が戻ってくる。たったこれだけの当たり前のことができないのが戦争というもの。日常を丹念に描くことで戦争というものを浮かび上がらせ突きつけてくるのだ。何度も。

この作品を見終わった後に感じたもの。反戦、何気ない日常の大切さはもちろん感じる。だがそれ以上に感じたのは人間というものがなんとも健気で、したたかでしぶとく、そして愛おしいものか。何か知らない行列に並び占領軍の残飯雑炊をすすり「うま~」と思わず口に出してしまうシーンは庶民のたくましさと愛らしさが同居しているシーンだ。その人間たちに命を吹き込んだ声優陣も素晴らしかった。コトリンゴが紡ぎ出す音楽、歌もこれ以上にないくらいこの作品に寄り添っている。彼女の歌とともに描かれるラストの孤児のエピソードに圧倒された。戦争によって失った右手が引き寄せる新たな縁。「どこにでも宿る愛-。」新たな居場所を見つけ出した少女が北條家に何をもたらすか。観客は希望を持ってそれを想像するに違いない。

もちろん原作漫画が傑作であったのは大きかったと思う。しかし、それに惚れ込んで長い時間をかけ作品を育てていった監督やスタッフには敬意払わずにはいられない。アニメーションだからこそ作り出せた人間賛歌。堪能させていただきました。
さん [映画館(邦画)] 10点(2017-02-11 03:07:22)(良:4票)
58.《ネタバレ》 TVドラマ → 映画 → 原作漫画 → TVドラマ の順で鑑賞..映画の出来は、原作漫画より、笑いの部分はより笑えたかな..(ニュアンスがよく伝わるのでクスクスと笑いっぱなしだった..) 残念だったのは、りんどう柄の茶碗のくだりが無かったこと..すずと周作の夫婦としての関係が少し淡泊に感じられ、周作の謎めいた感も半減..(尺の問題ですね) それでも、TVドラマより 映画(アニメ)の方が、圧倒的に原作に忠実で、原作の世界観がにじみ出ていて、とても良く出来ています! Good Job! ただ一つ、気になったのは、最後の戦災孤児の少女と母親のシーンが長かったこと..生々しくてインパクト強すぎ(-1点).. 本作は、長めの4コマ漫画の集合体って感じ、短編の面白ネタを一つずつ積み重ねて、時間軸に乗っけて、物語として構築..アニメ サザエさん方式、と言ってもいい作風..とは言え、家族や親戚、登場人物たちのドラマがしっかりと描かれているし、(原作者=女性)女性ならではの視点で描かれているところにも注目! 基本的に大人目線の話なので、対象年齢は二十歳以上、大人を中心に観てもらいたい、と思わせる作品です..小、中学生といった子供には、微妙なオチは理解できないだろうな..笑
コナンが一番さん [映画館(邦画)] 8点(2017-02-10 23:36:52)
57.《ネタバレ》 淡い色彩、素朴な人物画、正確に緻密に描き込まれた戦前の広島の街並。大変美しいアニメである。柔らかく耳に響く広島弁も心地良かった。
最も美しいのは、すずや周囲の普通の人たち。朝には出勤し、かまどで炊飯し、洗濯をして畑の世話をする。生活のための仕事を当然のようにせっせとこなす普通の営みが、戦時下においてはとても輝かしく尊く感じられる。
細やかにユーモアを交えて描かれる人間関係。スパイを疑われるすず、このご時世であるから緊迫の北條家かと思いきや「憲兵さんは何もわかってないのよ」と皆でネタにして大笑い。つられて笑った。生活感のリアリティは気温まで伝えてくる。冬には手がかじかみ、夏はうだるような暑さ。「今日も暑いわねえ」20年の8月、あの日も暑かった。
この美しい人たちを破壊した戦争という「暴力」を憎まない人間がいるとは思えない。エンドロールが流れる中、席を立てずにただ鎮魂を祈っていたのは私一人では決してないだろう。声高に叫ばないが、強く強く心に反戦を訴える力のある映画だ。

私は声優という職業はプロの領域だと思っているので、役者であってもあまり歓迎しないのだが、本作のヒロインの声を担ったのんはすずに魂を吹き込む見事な演技をした。ぴったりだった。
tottokoさん [映画館(邦画)] 9点(2017-02-09 00:51:55)(良:1票)
56.公開から約3ヶ月遅れで地元の映画館でも上映された。
前半は「昭和嫁入り物語」みたいな感じで気楽に観られるのだが、戦争・原爆を意識せざるをえないため、
どうしても緊張するよね。
矛盾してるけど、笑いながらも悲しいみたいなのがずっと続く感じ。
後半になって戦火が激しくなっても淡々と日常が描かれる。
観て良かったなあと思えるし、延々と反芻できる映画です。
おとばんさん [映画館(邦画)] 9点(2017-02-06 22:38:38)
55.正月に妻の祖父母の家に行った際に、義祖母から大戦時の空襲の話を聞いた。
居住していた郊外から、市街地が空襲を受ける様を遠目で見たという。
変な言い方だけれど、と前置きをした上で、当時子どもだった義祖母は、爆撃される光景が花火のように「綺麗」に見えたと言った。

とても印象的だったその正月の義祖母の話が、この映画のシーンと重なった。
主人公のすずは、爆撃を受けるその只中に立ち、眼前に広がる“非現実的な現実”の光景に対して、「ここに絵の具があれば、絵が描けるのに」と思う。
勿論、それが夢想であり、現実逃避であることを本人は分かっている。
でも、そうでも思わなければ、この目の前の現実を踏まえて次の瞬間を生きていない。それがこの「時代」を生きた人々が、共通して持った“生きる術”だったのではないか。
そして、義祖母の「綺麗」という感情もまさにそれだったのだろうと思う。


初めてこの映画を観てから2ヶ月近くが経とうとしている。
その間、何度も感想をまとめようとした。けれど、映画を振り返る度に、主題歌と主人公の声が言霊のように頭の中を巡り、繰り返し繰り返し感情を揺さぶっている。今もなお。

悲しくて、悲しくて、とてもやりきれない。

でも、涙が溢れる理由は、決して悲しいからだけではない。
悲しみを越え、苦しみを越え、痛みを越え、怒りを越え、虚しさと絶望を越えて、その先に何があったのか。
悲しみが消えて無くなるわけでもなく、それを補うだけの幸福があったわけでもない。
それでもだ。それでも命を繋ぎ、ただ生きていく。
その“普通”の人間の、愛おしいしぶとさに涙が溢れる。

“すずさん”の人生が特別なわけではない。
彼女と同じように、何千万人もの普通の人たちが、泣き、笑い、怒り、「戦争」という生活を生き抜いてくれたからこそ、僕たちのすべてと、この映画は存在している。

ん、やっぱりうまくまとまらない。
ただ、全部がすごい。

取り敢えず映画を2回鑑賞し、原作漫画を読みふけったが、この先も僕は人生を通して“すずさん”と共に泣き笑うだろう。
そして、この世界の片隅で命を繋いでいくだろう。
鉄腕麗人さん [映画館(邦画)] 10点(2017-01-22 21:13:56)
54.家族みんなで観れる良作です。戦争映画にありがちなバッドエンドでないのがいいです。
死んだ私の曾祖母などの話では、現実的には『火垂るの墓』とか『キャタピーラー』、『はだしのゲン』が近いのでしょうが。
すずさんは右手を失ったとはいえ、家族が比較的みんないい人でほのぼのして、こんなんで戦時中をよく生きていたなと思います。
まあ、戦争映画にありがちなドロドロ感、グロテスクさ、救いようのなさがあまりないのはこの作品の特徴です。
前向きで元気にになれる最近では珍しい作品です。
SHOGOさん [映画館(邦画)] 9点(2017-01-22 15:48:11)
53.《ネタバレ》 ネットでとてつもない高評価。絶賛の嵐!
さぞ凄い映画かと思い原作未読予備知識ゼロで見に行きました。見た正直な感想…ガッカリです。
ハードル上げすぎました。言うなれば「雰囲気良作」と言った所でしょうか。
まずはマイナス点から。私にはのん(能年玲奈)がアニメに馴染んでいないように思えた。
感情表現の場面で力不足、すずのキャラクターを超えてのんが顔を出す。広島弁も残念。

肝心の物語の方は、あの時代にすずのように暢気で居る事を回り(時代)が
許容するかと言うツッコミはさておき。
この映画は物語要素が少なく仮想的事実の羅列のため具体的評価が難しい。
絶賛されているが具体性のない抽象論が目立つのは物語として褒める事も難しいからだ。
中身の無い実話やドキュメンタリーを善し悪しで語るのが難しいのと似ていて
「戦争・広島」の手前、批判はしづらいが、あえて物語の部分だけを抽出すると
中途半端で煮え切らない恋物語に危機感を持たず生きていたせいで吹き飛ばされた手。
主人公は子供を授からず似た境遇の孤児を受け入れた、そういう事が薄く表現されているだけ。
原作を紐解けばこの映画がなぜ薄いか理由が見える。

例えば遊女、白木リンとの話がほぼ全カットされている。
周作は白木リンを好きで居ながらも遊女との恋より母を安心させるためにすずと結婚した。
それを悟ったすずは周作に心を許し切れて居ない。その前提が全く描かれて居ないので、
突然幼なじみの男を別の納屋で二人で寝かせるような理解不能な描写になってしまう。
「ありがとう。この世界の片隅にうちを見つけてくれて」 と言うセリフも
互いに違う相手を思いながら結婚を選んだ周作とすずが戦争や様々な出来事と
長い時間を経て本当の意味での夫婦になっていったからこそ重みのあるセリフであろう。
ある程度カットなら脳内補完も可能だっただろうが全カットされてる時点で
ただ、暢気に生きたすずと一途な周作と言う薄っぺらな話になってしまっている。

原作物を映画するとき、限られた時間の中で伝えたいメッセージやテーマを絞って
何を伝えるかが監督や脚本の腕の見せ所でありそれが映画の評価だろう。
この映画は、原作の描きにくい部分、汚い部分はカットし無難で表現しやすい部分だけを
時間の枠に目一杯詰め込んだだけの映画でしかなく結果それが深みを失い薄っぺらく
何を表現したいのか、見る側の感性に丸投げにしている感が否めない。
これ自体を映画として最良としてしまうと否定も肯定も出来ないこのような映画は
舞台と設定をちょっと変えれば、いくらでも話が作れる気がします。
他の作家や脚本家が観客を楽しませるアイデアを必死で絞り出したような作品こそ私は評価したい。

またクラウドファンドの出資者は映画の最後に名が刻まれる訳で贔屓目で作品を広める事でしょう。
この映画を否定される事は自分が否定されるような気持ちにすらなると思う。
事実、無名だったこの映画はSNS、口コミで拡がったと評判だけど
その実態はクラウドファンド出資者が結成した応援団だ。
お金を出して貰った上に応援団にし宣伝させてしまう、このシステム。
AKBのCDの販売数を伸ばす商法を思い出し複雑な思いが残る。
資金難で苦しむ作り手の救世主となるべき物だが名前まで出すのはいかがな物か。

あと、この映画の山場すずが玉音放送により終戦をしり慟哭の理由は
力によって朝鮮等から搾取していた日本が力によって米国に屈した事実を知って泣いている。
もちろん涙の理由はそれだけの単純な物ではないだろうが、ちょっとしらける。
敗戦直後の太極旗はカットでよかった。原作とセリフを変えたのもカットしなかったのも
政治的意図を取り除きたかったらしいが…せっかく極力政治色を排除しているのでね。
この映画に被害者意識も加害者意識も似合わない。

最後に良い点。事実と異なる事があるとしても内容が反戦であるとか戦争賛美と言うのが
戦争映画には評価としてつき物ですが、この映画にそのメッセージがあまり感じられません。
戦争の悲惨さを強く打ち出すような事はせず、かといって身内が戦地で特攻し涙を誘う訳でも無い。
戦争で広島と言えばどうしても外国人には色眼鏡でみられがちですが
政治的色を消す事により見て貰いやすい仕上がりになっている。
プロパガンダ色が強くないこの作品だからこそ、広島の話の入り口として
諸外国の人に見て貰いたい映画なのかと思いました
そういう点を考慮して前レビュー投稿では点数を甘めで投稿していたのですが
色々見つめ直した結果、皆が高評価なので気を遣うこと無く素直に思う点数に下方修正しました。
デミトリさん [映画館(邦画)] 3点(2017-01-22 11:08:12)
52.《ネタバレ》 ​一番その世界から離れていそうな人がふとした瞬間から世の中の不条理や理不尽に嫌でも向き合わなきゃいけなくなる。
前半まるでなにか明るいバリアに守られているような気がするが、そんなものは無い。ただただ「ふとした瞬間」どうしようもない理不尽がやってくるのだ。
その残酷さが、その後に残った間がとにかく心に刺さる。
それでも毎日は続く。泣いてばかりもいけないし、落ち込んでもいられない。
とにかく笑って生きていかなきゃいけない。生きていかなきゃいけないのだ。
えすえふさん [映画館(字幕)] 8点(2017-01-20 18:17:00)
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【点数情報】

Review人数 151人
平均点数 8.20点
010.66%
100.00%
200.00%
310.66%
442.65%
595.96%
695.96%
72113.91%
82516.56%
93724.50%
104429.14%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.46点 Review13人
2 ストーリー評価 9.26点 Review19人
3 鑑賞後の後味 9.05点 Review20人
4 音楽評価 8.81点 Review16人
5 感泣評価 9.12点 Review16人
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