31.《ネタバレ》 パラサイト-寄生。なんかこの言葉から連想する厭らしい「したたかさ」や「ジメっとした感覚」そんなちょっとした「怖いもの見たさ」を満足させてくれる映画を期待していった訳ですよ。「庇を貸して母屋を取られる」的なジワジワした怖さをね… でもごめんなさい、全然違っていましたね。 前半の金持ち一家への侵入は、多分コメディーパートなのでしょうか、正直あまり面白くなかったです。金持ち一家に入り込んで寄生する過程がもっと綿密で絶妙なものを期待していたのに、胸をすくような詐欺手口とは全く別物。あの社長一家はみんなしてチョロすぎでしょう。家庭教師はともかく、自分の命を預ける運転手や食事を任せる家政婦の選定にこの杜撰さはちょっと…。そんな有り得無さがのほうが気になってしまい、ほとんど笑えませんでした。 でも後半の計画が破綻し始めるあたりから怒涛のスプラッターな展開、こうなってようやく持ち直してきた感はありました。「匂い」の使い方なんかはとても印象的で良かった。でも前半のがっかり感を挽回できるような、うならせる展開には残念ながら至らなかったようです。 全体をとおして思い返してみれば、格差社会批判としても詐欺モノとしてもコメディーとしても微妙な感じの仕上がりだと思うのですが、なぜこんなに話題作とされているのか…2019年は映画不作の年だったってことですか? ひょっとしたら、「初のアジア発作品賞」とか「定説を覆した四冠達成」っていう話題性を作り上げないといけないほど、アカデミー賞自体が行き詰まっているってことなのかもしれませんね…… 【ぞふぃ】さん [映画館(字幕)] 4点(2020-02-12 12:10:01) (良:1票) |
30.《ネタバレ》 前半は期待通りの展開で面白かった。後半も様々な要素が入っていて面白かったけど駆け足感があった。家政婦がたずねてこなかったらあのまま平和に暮らせていたのか。そうなると主人公の男の子と金持ちの娘とのラブストーリーという展開か。韓流ドラマっぽくなるけど。 【Yoshi】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-12 02:17:32) |
29.韓国の社会事情だからこそ出来た作品だと思います。鑑賞中、ああなるのかな、こうなるのかなと予想したが、全く搦手から 攻められた展開に。ただ最後のストーリー展開が気になる。「コクソン」見た時も思ったが、韓国の○○はもっとしっかりし たほうがいいのでは?(映画の描写だけの話ですが) 【代書屋】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-11 23:23:10) |
28.アカデミー作品賞取ったということで、時間もあったので観にいった。 なる程、本当によく出来た脚本と言える。ありがちな展開だが、それを上回るものが出てくるし、伏線の張り方もいい感じ。 ただし、終盤が(もちろん重要だが)アレなので万人には勧めにくい。この映画は「凄い」と思うが「好き」にはなれない。 【simple】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-10 19:09:15) |
27.前評判が良かったので見に行った。本当に見て良かった。 貧困層と富裕層の描き方、視覚・聴覚・臭覚・触覚・・全て繊細に気を配っている。 監督も役者もカメラマンも全て良い。 映画館の帰りの車中、ラジオでアカデミー賞作品賞となったことを知った。うーん、すごい。 【海牛大夫】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-10 16:39:44) |
26.深~い作品ですわ。 【貧富の差】をこれでもか!と見せつけます。 インターホン越しの家政婦さんが怖かった。。 【tonao】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-02-08 18:49:13) |
25.《ネタバレ》 異色の韓流ドラマ・コメディ、サスペンス。雨も雪も降らへん薄暗い半地下に住む4人家族。高台に佇む大豪邸はおいらたちの憧れ。金持ちは脇が甘え…そこの従業員になって大豪邸乗っ取り計画発動。半地下に潜むヘンな住人。最後にカマしちゃう血祭り。バイオレンス展開は予想してなかったぜい。良作。 【獅子-平常心】さん [映画館(字幕)] 7点(2020-02-02 00:55:31) |
24.アカデミー賞候補作品ということで鑑賞。 半地下に住む平凡な家族が、どんどん展開していく。 それで良いのか?と思うが応援している自分も居る。 ぐいぐい引き込まれました。 韓国の国内外の問題も少し分かったし、貧富について深く考えるきっかけになりました。 【たんぽぽ】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-30 18:54:16) |
23.「パラサイト」という題名に何か強い期待をして観てしまったせいなのか、多く考えすぎてしまった。 この半地下家族は綿密な計画の元、富豪家族に取り入り全てを乗っ取る計画をしているのかと、、 もしこの半地下レベルの貧困を抜け出したいという事なら妹までのパラサイト収入で十分だったと思う (結局地下にパラサイトしている男の設定を炙り出すためにだと思うと無理があるように思えた) そもそも「パラサイト」は地下の男を主に意味していると思う(もちろん半地下家族もパラサイトだけど) 邦題だと半地下家族だけを指しているように思えてしまうのが残念。 「あぁこの家族はどんどん金持ち家族に取り入って「パラサイト」してるなと中盤まで思わせて なんだ!本当の「パラサイト」がいた!」という驚きを消している。 申し訳ないが個人的には社会的なメッセージがどうのこうのはどうでもいい 人を騙して寄生して暴力や殺人まである映画から「社会的な問題に取り組んでいる」なんてことは思っても口に出せない だってそんな映画期待するなら題名からわかる社会問題を強く取り組んでいる映画をもっと観に行ってるはずだか 正直そんな映画は避けている自分が分かっているから。 そんな普段社会的な問題を考えない人が「格差社会に強くメスを入れている」なんて口にしたら きっとあなたはこの映画に「パラサイト」されていますよ、と言いたくなる。 【かのっさ】さん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-30 10:24:43) |
22.《ネタバレ》 実際のところ前半はかなりありふれた展開なのですが、端折り方が絶妙です。 だれる寸前で痒い所に手が届くかのように次の展開に進んでくれる…これが実に心地よかったです。 あまり詳しくは書けませんが、何より中盤切り替わりのインパクト! さらには、適度なスリル、適度なちょいエロ、残虐、絶望・・・ このテーマにして”面白い”…そのうえで胸に突き刺さる。 とにかく作り手のうまさにやられました。 【午の若丸】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-29 21:26:30) |
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21.《ネタバレ》 まんまやんけ。 【ネタバレ】 しかもほぼ同じ内容の感想文が巷に溢れている。なんか寒いなw 私は古い人間なのか、「こんなんありますけどどうでしょう?」と正解なしに世に問うのが映画の本筋なんじゃねーかというのはある。こんな誰もが同じところに導かれる話はやはりプロパガンダの亜流であり、もっといや洗脳だ。 だからぱっと見の個人的評価としては、この映画は『グムエル』や『スノーピアザー』よりも下である。これこそ賞取り映画でしょうという感じ。 しかしまあ、事と場合によってはそのような装いが必要にもなろう。なにしろこの監督はあの『殺人の追憶』を撮った人だ。あんなもやもやをもやもやしたままで傑作へと導ける人が、こういうものをあえて撮ったということに意義がある。 「リスペークト!」や「無計画が最善の計画」とかいうセリフにこめられた、オッサンたちの敗残者魂みたいなもの、これらは現実には世に露出することはない。いや、なかったというべきか。タブーとして自らの贖罪の箱の中に仕舞い込み、言語化できないよう巧妙に仕組まれてきたもの。もし言うことができたとしても、なぜかその途端に生活面でプッツンしてしまうもの。しかしそれらはもはや臨界を超えつつあり、ほんの少しのきっかけで自暴自棄な「個人テロ」のおそれもでてきた(ホンマか?)。んで、慌てて表層意識に置きましょうとか考えた? これ以上法人税率さげれませんっ、もし下げたら死人が出ますみたいな? あれ何書いてんだ? 『世界的に』『いっせいに』同じようなデモが起きる、といった国境を超えたわざわざしい共時性がなんだか薄気味悪いが、それは気にしちゃいけないところなんだろう。 ま、これから何が起きるか、そして個人がどこまで冷静に主張できるかだわな。 ひょっとして宗教臭く丸めこまれちまう可能性もあるが。それだけは勘弁。 【アンギラス】さん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-29 06:25:49) |
20.《ネタバレ》 半地下で暮らす貧しい家族は「万引き家族」を彷彿とさせる。富豪の一家に取り入る過程や富豪一家のキャラクターなど、あまりに漫画チックで、このままコメディとして進んでいき、ほろ苦いハッピーエンドなんかを迎えるのだろうか、と思いきや、予想外の展開で、最後は惨劇に。まあ、面白くは見れるが、意図しているところがなかなかつかみにくい。 【エンボ】さん [映画館(字幕)] 6点(2020-01-28 23:12:21) |
19.《ネタバレ》 面白くないわけではないけれど,消化不良でした。 格差問題の根っこというのは,「富める者はますます富み、貧しき者はますます貧しくなる」ということで,一度その差がついてしまったら最後,学ぶ機会も与えられず,就労するにもその就労技術さえもままならない。そしてますます貧しく……というスパイラルではないかと考えています。 しかし,主人公家族たちは「受験に失敗した」という能力の問題から始まり,実際に就労して見るとそれぞれ十分に技術を持っているわけで,そのことがリアルさに欠くように感じました。 「元々,十分な能力を持っていたのに就労できないのが悲劇なのだ」というのであれば,序盤の「ピザの箱さえちゃんと組み立てられない」というのはなんだったのだろう? 「実は受験に不正があり貧乏人はどう頑張っても受からないのだ」というのであれば,上流階級の娘に対する憎しみなどがあってもおかしくないのに,呑気に(しかも恩のある友達を裏切って)恋仲になるというのもわかりませんでした。 コメディ映画として観るのならば,そのちぐはぐさも面白いなと思ったのですが,だとしたら最後の惨劇はなんだったのだろう? 何も悪くないのに刺されてしまう社長の不条理さは何? 「無計画」がキーワードと言いつつも「上流階級に取り入る」という計画性と,「衝動のまま殺してしまう」という無計画さが特に鏡合わせにもなっておらず,映画としてのオチが弱いと思いました。 「上流階級の息子がモールス信号を読み解く」というのも,特に話には何も生かされておらず,もったいなく感じました。もちろんラストの父息子の交流につながっていることはわかっていますが,「寄生しているホームレス」と「寄生されている上流階級の息子」がつながっている……というどれだけでも面白く調理できるだろう設定が活かされなかったことを歯がゆく思いました。 映画としてどうしようもなく悪いわけではないですが,しかし「何を描きたかったの?」と振り返ってみたとき,私には見えてこないなと思ってしまいました。 【プランクトン】さん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-28 19:05:38) (良:2票) |
★18.《ネタバレ》 貧しさは自分に能力があろうと今の時代は降り掛かる。 様々な要因に縛られ出来る仕事はピザ屋の箱の組み立て作業…。 そんな中、舞い込んだ家庭教師代理のお仕事から始まる惨劇への幕開けはなかなかテクニカル 次々と元居た家政婦や運転手を蹴落とし(最終的には物理的に)家族が入り込んで行く光景はなかなかに痛快です。 というか入り込んだ家族も特に兄と妹は優秀なんですよね。この世の中で家族で一致団結した結束力の力は本当に凄いです。
ただ個人的に人を騙し続ける映画というのはなかなか落ち着かなく、息苦しいので苦手なのですが、 まるで僕を狙ったかのように息苦しさ…というか自分の首元を絞める力は強くなって行きます まさかのパラサイトの二重の意味に気づかされたあたりから締める力は更に強くなり、 大きいようでスケールという言葉の上ではかなり小さい豪邸の中で起こる脱出劇は息を吞むにしても長過ぎてとてもハラハラしました。 そのせいか家からの脱出のときの安堵感はその先にある絶望的な家の状況なのに何故かホッとしてしまい、僕でも汚水が吹き出す便器を抑えながらなんとなく煙草を吹かしてしまうでしょうね。 途中子供がモールス信号に気づくシーンはありましたが、あれはなんだったんでしょうね。
そして一つの事件が原因でほころびが生まれ、最終的な大惨劇へ急降下して行く流れは凄まじい。 ただバレるんじゃない、それ以上の事が起きる事でこちらもイヤな気分から一気に解放されて良かったです。絵面は地獄ですが。 にしても父が社長の旦那を殺すシーンは完全なる感情から起きてしまった事なのであんまり同情できないんですよね。
結末も絶対にそれは無理だろうという中終わるなんとも苦くも仕方が無いラスト。無理とどこかでわかっていても自分ではそう思いたいラストが素晴らしいですね。
賞を取りまくっている韓国映画と聞いて気になり、初めてのポン・ジュノ監督映画でしたが、最悪の緊張感と現在のどうしようもなさが丁寧に混ざり合い極上のエンタメに仕上った一本でした。他の作品もちゃんと見て行きたいですね。 リスペエェェェェクトッ!!!!!!! 【えすえふ】さん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-28 15:42:12) |
17.《ネタバレ》 ◇お金持ち一家に、あっという間に侵入していく半地下一家。コミカルに、期待どおりに。上手く行き過ぎて、どこで綻びが....?と、大嵐とともに不穏な予感...にドキドキしっぱなし。 ◇そこから二転三転、ジェットコースターのよう。エンタメ作品として久々に人に勧めたい作品。純粋に面白かった! ◇ラストは、あの結末のための必然性は分かるものの、動機はちょっと弱くて、お金持ち一家に同情してしまった。 ◇何よりも、半地下一家の仲の良いこと。韓国は家族の結びつきはこんなに強いのか...日本だったら、息子娘はさっさと家を出てそうなのに。 ◇「金持ちはシワを金で伸ばせる」「計画を立てるから、計画どおりにいかない」セリフも印象的でした。 【ハクリキコ】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-28 01:43:05) |
16.《ネタバレ》 前半コメディ、後半ミステリー、ですね。前半の調子を保って、最後まで行ってくれたら最高だったんですが、後半は付け足しのように感じられました。仕事にありつけない低所得家族を描きたかったのか、因果応報を描きたかったのか、作り手側の意図が分かりません。笑えるシーンについては、無理に笑わせようとしているのではなく、日常を切り取っただけなので、作り手側にとっては前半も後半も違ったことをしているとは感じられなかったかもしれませんが、私にとっては大きく違和感が感じられます。この変調を話の転換ととらえられれば、良い印象になるでしょうし、私のように違和感が残ってしまえば、物足りなく感じられるでしょう。 【shoukan】さん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-27 17:31:37) |
15.《ネタバレ》 おいおい、こんなに簡単に騙されるなよと思いつつ、前半のコメディ部分を乗りきり、怒濤の展開の後半戦へ突入。最後まで楽しく観れました。 階段の上り下りで格差を演出してるとか、他の人が書いてるような細かい演出には気がつかなかったけど、大雨での洪水被害を機に、抑えていた感情が制御できなくなるまでの流れは同情できました。 お父さんのその後に思いを馳せてしまいます。 【おとばん】さん [映画館(字幕)] 8点(2020-01-25 10:45:20) |
14.《ネタバレ》 米アカデミー賞作品賞ノミネートという前知識のみで見ました。 よくできています。最初は万引き家族的な感じでそういう映画なのかなと思っていたのですが、 家族がキャンプへ行った夜から急展開。 最後は容赦ないバイオレンスとなり、飽きさせません。 格差社会の問題をとりあげ、メッセージ性もある。 なるほど、賞を十分狙える映画になっています。 ただ、まあ、作品賞は取れないでしょうね。 韓国の映画賞は総なめにするかもしれませんが、ハリウッド向けではない映画ですから。 【シネマファン55号】さん [映画館(字幕)] 7点(2020-01-24 18:12:26) |
13.えらく評判がよくていろんな国際映画祭の賞をいくつか受賞していることと昨今の日韓の軋轢を理解し、隣国をより良く理解する一助にならないかと思って映画館に出向きました。結果は完成度という点ではかなり高得点をつけてもいいけれど、隣国を理解できるかという点においてはほとんど得るものがなありませんでした。それになんと言っても後味の悪さ、胸糞の悪さは半端ではありませんでした。このままで行けば本作品はオスカーの外国語部門にノミネートされるのではないかと思いますが、今まで日本の作品でノミネートされたり受賞に漕ぎ着けた作品は全て、多かれ少なかれ、日本をアピールするものでした。そうでない場合は、アニメ作品に顕著ですが、「魔女の宅急便」のように外国を舞台にしたりしています。でも本作品で韓国を写しているところだあるとしたらそれは階級格差なのか、作品の中盤で登場する多重債務男なのか。。。 鑑賞中半ばで隣に座っていた中年のアメリカ人男性が席を立ちました。エンドロールの時に後ろに座っていた若いカップルが「良かった!」と言ったので「ハリウッド映画のコピーじゃない。だったら字幕のないハリウッド映画を見た方がいい。」と言ったら納得していました。家に帰ってから「おくりびと」の巻頭の部分を見ましたが、やはりのっけから仏教の様式美とチ〜〜ンの音。。。本作品をあえて劣化コピーとは呼びませんが、監督も製作者もハリウッド映画を見まくって「こうでないといけない」という型を学んで模倣しているとしか思えませんでした。本作品の完成度に高得点を付けるのは構いませんが、世界の知られざる文化を紹介しているかいないかという点においてはオスカー受賞は別の作品であって欲しいです。過去に7点をつけた韓国作品の「シュリ」も同じで最近減点しようと思っていたのであらかじめ低い点をつけておきます。暴力と流血がダメな方にはお勧めしません。 【かわまり】さん [DVD(字幕)] 5点(2020-01-24 02:35:40) |
12.《ネタバレ》 紛うことなきポン・ジュノ監督作品で、そのあまりのポン・ジュノっぷりに嬉しくなっちゃったりもしたのだけど、さて、アタシは果たしてこれまでポン・ジュノ作品をちゃんとブレずにレビューしてきてたのかいな?って過去作のレビューをチェックしたら、『パラサイト』についてはそのまま過去作品のレビュー読んでもらえばOK、くらいには一貫してたのでひと安心。 とは言え、それだけじゃ不親切なのでちょこちょこっと。 底辺の人々のお話という点で貫かれたポン・ジュノ作品、今回もまたその通りで、上流階級の人々との対比という点では『スノーピアサー』くらいに判りやすい構図を作っているわ。ごちゃごちゃと物で溢れて情報量が多くて、歪み、汚れ、やかましい下の人々の生活と、情報量の少ない、直線と水平で形作られた上の人々の生活。上で情緒を持って降る雨は下に暴力となって流れ込んでゆく。その底辺のやるせなさを、だけどポン・ジュノ監督はいつもの通り、決して美化することなく、コミカルに、そして醜く無様な存在として描くのね。 権力に支配されたシステムの内側での決して勝利のない闘争の滑稽な虚しさ、半地下から地下へと堕ちる父親の到達点、叶うことのない希望。シニカルに描かれた現代社会の縮図。毎回、韓国の今を皮肉るポン・ジュノ監督だけど、日本にも(あの避難所の風景は昨年も何度も見ることになった日本のそれとそっくり)世界にも通じるものなのね。 『グエムル 漢江の怪物』のような家族の姿、『母なる証明』と通じる流れ落ちる水、『殺人の追憶』と共通するラストカット、あちこちにポン・ジュノ印が刻まれている中で、今回は「匂い」がキーになっていて、「匂い」がまるで体内を流れる血を示すようで、その扱い方が上手いと思ったわ。 ちなみに、でもアタシは一家には同情とかしなくて、いちばんキモチを寄せていたのはお金持ちの奥さんね。彼女に訪れた悲劇はあの一家がもたらしたものだけれど、それも結局はシステムの内側に存在していたがゆえ、彼女の魅力的な無邪気さがそれを招いた原因のひとつだとしたら、それは哀しいお話だわ。 【あにやん🌈】さん [映画館(字幕)] 9点(2020-01-23 20:01:56) (良:3票) |