27.《ネタバレ》 村上春樹の原作「ドライブ・マイ・カー」はほんの素材にすぎず、主人公である演出家が、広島での国際演劇祭において、「多言語演劇」により行われる『ワーニャ伯父さん』の興行を成功させる話が主軸だ。 高校の同級生の家に忍び込む話や、ヤツメウナギのエピソードなどは、別の村上春樹作品から無理やり挿入している。 緑内障が原因で事故を起こす話は、原作では運転手を雇うための理由になっているが、本作ではとくに意味のないエピソードになっている。 『ワーニャ伯父さん』の練習風景、本番、車中での身の上話、などなど、長いシーンが連続する。 演劇の練習風景を見すぎて、それ以外の部分も演劇の練習のように見えてくる。 とりわけ最後のみさきの生家を見下ろしての二人の会話はそう。 家福は、娘を肺炎で亡くし、妻に浮気され、その妻をくも膜下出血で亡くすというほとほと運の悪い人物。 家福と妻は裕福な家庭で、愛し合っているように見えるが、とても幸せそうには見えない。 家福もみさきも感情をほとんど顔に表さないタイプで、外国人から見たら日本人はみんなこうなのかと思われるだろう。 国際演劇祭の演出家に専属の運転手がつけられるというのも、その運転手が若い女性というのも現実にはありそうにない設定。 運転手はどこかの会社に所属しているのかどうか、広島から北海道まで寝ずに運転させるのは労基法違反では。 冬用のタイヤにはいつ交換したのか。 【エンボ】さん [インターネット(邦画)] 5点(2022-08-21 20:10:02) |
26.《ネタバレ》 村上春樹の小説が結構好きでよく読むんですけど、 彼の小説って映画には向かないよなぁと常々感じておりました。 内省的な語り口やそのストーリーなど、映像で伝えるの難しいよなぁなんて。 でも本作を見たら、村上春樹の作風をそのまま忠実に描いているように思いました。 あぁこういうのもアリなんだな、映画の新しい形を垣間見せてくれたような感覚です。 ドライブ映画よろしく、常に優しい風が耳元を通り抜けていくような作品でした。 【あろえりーな】さん [DVD(邦画)] 8点(2022-08-13 16:18:33) |
25.《ネタバレ》 全然期待していなかったですが、良かったです。3時間ほどあるけど全然長く感じなかったです。舞台稽古の本読みのシーンなど普通、間延びして感じるのに、ひとつひとつのシーンに意味がありそうで見逃せない気がして眠くなりませんでした。作品全体も、取り方によって深いような気もするし、そんなに深く考えなくてもいいような気がするし。ラストも明るい未来を想像させてくれて後味が良く観て良かったなと思わせてくれます。ただ、音については謎がいっぱい残って、そこはもやもやしますけど。でも観て良かったです。 【ぽじっこ】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2022-07-30 19:26:47) |
24.《ネタバレ》 3時間級の作品にしては、長さを感じずに観られました。 適度にエサがバラ撒かれてたせいですかね。 濡れ場から物語を紡ぎ出す冒頭は圧巻でしたね。 まさにつかみはOKといいますか。 それ自体を映画でみたいと思わせる『空き巣』のはなしや、岡田将生さん演じる役どころの波風の立て具合など緊張感のほどよさはなかなかのセンスでした。 壮大なノリツッコミともとれる内容でしたが、映画的な手法や小説的なニュアンスを盛り込むのがうまかったですね。 次、観るのがいつになるかはわかりませんが、おさらいして改めて自分が好きなシーンを探すのも楽しそうな作品ですね。 西島秀俊さんもようやっと、しっくりした役に巡り会えたんじゃないかな? 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2022-07-24 01:18:54) |
23.《ネタバレ》 村上春樹ファンの嫁と色々ツッコミながら観ました。 村上春樹の世界観をよく表現出来ていると思います。原作は読んでませんが、短編小説を演劇のリハーサルシーンなどで膨らまして3時間の長編にしています。 逆に村上春樹に思い入れが無い人からしたら、あまり展開がなく随分長くて退屈に思われるかもしれませんね。その中にあって岡田将生のトラブルメーカー的存在はドラマを大きく動かす。 家福は妻の浮気を知りながら何も無かった様にやり過ごしていましたが、終盤、実はそうでは無かった事をドライバーに告白します。お互い同じように心に傷を持つもの同士が包容するシーンは心が揺さぶられる。今まで後ろのシートに座っていた家福がある出来事をキッカケに助手席に座るのが良いですね。 何度も出てくるタバコのシーンや車が走っているのを後ろ向きに撮っているシーンが印象的。最後、車が前向きに変わるのは二人の心の動きを象徴しているようだ。 【とれびやん】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-06-26 01:12:16) |
22.《ネタバレ》 内容に対してとにかく長い、苦痛でしかない。演劇というものにも特段思い入れがないからか、全体を通して退屈。 そして、なんだかみんなタバコを吸う。見ているだけで煙たくなってくる。 あと、運転手は、お客様が乗降するときはドアを開けるもの。それも仕事のうちでしょう。 総じて、賞をとったりノミネートされたり、というのが全く理解できない。多分私の修行が足りんのでしょう・・・ 【チェブ大王】さん [インターネット(邦画)] 0点(2022-05-13 23:48:36) |
21.3時間の長尺だが、確かに長いと感じさせない内容だった。退屈にはならなかったが、見終わってみれば印象はあまり強く残らない作品でもあった。劇中で取り上げられている演劇についての知識があればもう少し面白く見ることが出来たかも。手話の韓国人女性と、素行不良俳優ぶりの岡田将生が印象的だった。 【スワローマン】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-05-02 16:28:43) |
20.《ネタバレ》 嫁さんが、観てみたいと言ったので、なんの前情報も調べずに、9歳の子供が横でスイッチをしてるリビングでアマプラ鑑賞。子供時代、親と一緒にテレビ観てて、エッチシーンがあって、なんかバツが悪くて、一緒にいるのがメチャ苦痛状態になった時、親も同じ気持ちなんかなーって想像したんやけど、その親の気分を思いっきり味わえました。んなことはどーでもいっか、とりあえず、2回のエッチシーンが終わり、妻が死んで、よーやくタイトルロール、さすが179分の映画。長い映画で淡々としてるのですが、不思議と退屈感はなかったです。妻も子供も失くしてる男って、想像するだけで恐ろしい絶望しかなく、でも淡々と日々をこなす主人公に対して、心の中はどーなってるか、それを考えてるだけで、時間が過ぎていき、僕自身も演劇をチョットかじってるので、役者を集め、本読みから始まり、演劇を作っていく過程そのものが興味深く見れたのが退屈に感じなかった要因かもしれません。あと、穏やかに時が流れたかと思えば、なんか不気味で不穏な空気感になったりするのも良かったのかも。ちなみに、感動とかはそんなになかったのですが、生きていくうえで、これから訪れるかもしれない試練に対する覚悟みたいなものの片鱗くらいは感じれたかなー。生きていくって大変。 【なにわ君】さん [インターネット(邦画)] 7点(2022-05-02 10:49:32) |
19.《ネタバレ》 これ、おそらくオープニングロールが流れるまでの、冒頭40分が一番面白い。 それ以降は、気が滅入るというか、気分が落ちる。 あとは演劇に、どれほど造詣があるかで評価も別れそう。 この監督の『寝ても覚めても』はとても好きだけど、これはどうかな。 やはり、重いんだろな。 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-04-30 00:22:48) |
18.普段、SFかホラー映画しか見ない私がこう言う映画の批評に現れるのは、定年退職の効能?でしょう。水曜日のサービスデーに見に行きました。3時間と言う長さに怯えて朝から水分を一切絶って見ましたが、お陰で今回は最後まで持ちました。この作品は映画には不向きじゃないかと思えるが、逆に考えると動画配信よりは劇場で見る方が適切とも言える。3時間拘束される事が前提の劇場で見たからこそ、集中力を持ってお話に入り込む事が出来た。動画配信ではお話に入り込む事が果たして出来ただろうか?私では無理だったかもしれない。 結論を言えば3時間全く退屈する事はなかった。2度見る事は無いと思うが見た事は後悔していない。そう言う作品でした。 【ぴのづか】さん [映画館(邦画)] 7点(2022-04-13 17:29:06) |
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17.《ネタバレ》 ・原作未読 ・村上春樹作品は「ノルウェイの森」を読んだくらい ・戯曲に関する知識皆無 上記で臨みました。 程度の差こそあれ、人間は誰でも世俗にまみれて生活していく中で隠しておきたい事、 それでも敢えてハッキリさせなければならない事、それでも一歩を踏み出せない事は有る。 本作では演劇の台詞を録音したテープの再生と、それに呼応する主人公の台詞の朗読が繰り返し描写される。 当初は単なる主人公のルーティンとしての描写でしかないそれが、物語が進むに従い、 徐々に映画を観ている側で有る私達への静かな、それでいてとても強い問いかけに変わっていく。 本作唯一とも言える物語終盤の大きな起伏を経て、映画は主人公が切々と演じる舞台の描写となる。 様々な言語が行き交うその中で、終幕に手話でゆっくりと切実に訴えられる一つの普遍的な事。 そう、人は様々な事を乗り越えて、いや、例え乗り越えられていなくても生きて行かなければならない。 約3時間に及ぶ長尺、そして特に大きな起伏も無く淡々と進む描写。 映画館の暗闇に身を浸し、目の前で繰り広げられる事に没入する事に慣れていない人にはハードルが高い作品かも知れない。 でも、敢えてそれを知った上で劇場に赴けば、鑑賞した人それぞれ何かしら得るものが有る作品だと私は思う。 決して万人受けする内容では無く、煽情的でもないこの様な作品が世界で受け入れられた事はとても興味深い。 本作を鑑賞している人は皆、本作を通じて自分自身が出演する別の映画を想像していたのでは無いだろうか。 最後に、韓国人俳優のジン・デヨン氏の抑えた演技が素晴らしかった事に触れておきます。 【たくわん】さん [映画館(邦画)] 8点(2022-04-07 16:35:57) (良:1票) |
16.《ネタバレ》 村上春樹氏の原作は映画観賞予定の前日の夜に読破⋯と言っても短い作品なのでなぜこれが3時間の超大作でしかもアカデミー賞を受賞したのかワケわかめ状態で映画館に入りました。理由は簡単にわかりました。わたしがダ~~イ好きな劇中劇、しかも劇を作っていくと言うオハナシが入れ子になっているではないですか! 類似の作品として本サイトでもカルロス・サウラ監督の「カルメン」と「タンゴ」にわたくし奴がレビューとあらすじを書いておりますのでDVDなどで是非ご覧ください。但し両者共に音楽劇(前者はギターが伴奏のフラメンコ劇で後者はミュージカル)なのに対して本作は純粋な話劇を作るお話で人間関係ももっと複雑だしなんと言っても3作共通の主演でディレクター役の中年男優の中では本作の西島秀俊がダントツに魅力的です。観賞中に目を背けたくなったのは濡れ場ではなく例の男の高槻が運転しながら家福と長々と家福の死んだ妻について語り合うシーンです。正直言ってこんな運転をする奴はまともな男か間男かとは関係なく立木かガードレールに激突して死んでしまえばいいと思いましたが類似の結末になってひとまず安心です。家福と高槻と後部座席にみさきちゃんが乗った車は自損事故も他損事故も起こしませんので安心して観賞してください。但し高槻のような運転は絶対にNGです。みさきちゃんのような運転を心がけましょう。 全般的に練習が進んで日に日に劇としての骨格や登場人物の個性という色彩を備えていく舞台に比べて現実の方が色褪せて見えました。早春の広島から北海道に行くのには車より飛行機の方がいいとか履いている靴は皮靴かスニーカーかとかばかり気になったのに引き換え、虚構である演劇の世界では北京語の女優と韓国語手話の女優の間に一瞬通った魂の交流は真実を描いて余りあるシーンだったし家福が高槻に語るチェーホフ劇の魅力と魔力にも納得、虚構を通して真実を描く演劇人としての家福の姿は清々しかったです。 ここで小ネタです。軍事侵攻後に西側ライセンスビジネスのロシアからの撤退が相次いだことは周知ですが、ロシアのKFCは店の旗印を紅白のC.S.おじさんのものから赤地に黄色の”B”の字を染め抜いたものに変え、店名を全て「ワーニャおじさん」に変えたそうです。 ロシア語表記では「ワーニャ」の頭文字がBなんだそうで、旗は全てマクドナルドから譲り受けたものを90度回転して使っているそうです。詳しくは https://youtu.be/XPsO65jOGoY をご覧ください。小ネタ2として家福の妻は原作では子宮癌で亡くなりましたが子宮癌には体癌と頸癌があって40歳代だったらしい家福の妻は前者には若すぎます。(映画でのくも膜下出血もかなり無理筋っぽいですが⋯}、後者(頸癌)はイスラム教徒の女性と未婚(未経験)の女性は罹患率がほぼゼロなのですがその理由は自分で調べてください。「ワーニャ伯父さん」岩波文庫の電子版を映画館の中で予告の間にダウンロードしたのでこれから読みます。 【かわまり】さん [映画館(字幕)] 8点(2022-04-06 19:37:24) |
15.世俗臭の全くしない登場人物たちによる、浮世離れしたエピソードの数々。美しい映像に、淡々としたセリフ。それが心地良い人には最高の映画だし、合わない人には退屈なだけの映画。世俗にまみれた私は、どっちかというと後者寄り。本気でこの映画を語ろうと思えば、村上春樹とチェーホフへの造詣が必要だと思いますが、日々、世知辛い娑婆で暮らしております。そこまではとても手が回りません。 【54dayo】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-04-01 21:53:30) |
14.《ネタバレ》 共働きの夫婦は互いに尊敬し合い愛し合い、思いやりを持って接し、共に困難を乗り越えてきた。 愛車はオールディな外車。まさに絵に描いたような、高次元の理想的な夫婦。を無意識に演じてきた。 高次元で愛し合う夫婦、その幻想を崩してはいけない。 暗い影は見てはいけない。ほころびは見なかったことにしなければ。 生き辛さからの解放とは。幸せとは。人間の表裏とは。 回答のヒントがあるようでないようで。 人生訓をうまいことまとめ上げた感はあるが、いろいろ芯を突き過ぎていてかえって嘘くささを感じる。 とにかく長くてしんどい。その辛さをまずなんとかしてほしい。 【ほとはら】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-03-22 15:01:04) |
13.《ネタバレ》 村上春樹氏の原作は読んでおりませんが、本作が各国の賞レースを賑わせているのは、まずは (日本人として) 喜ばしいこと。しかし、それはさておいても、率直に言って好きな映画でした。 ウィスキーとタバコの煙と、赤い車から漂うレトロ感。この映画のさりげなく懐古趣味なところ、良かったと思う。 ストーリーとしては、現実と妄想の狭間を漂う家福 (西島秀俊) が中心である前半はやや退屈ですが、存在感ある渡利みさき (三浦透子) の登場によって、ドラマが大きく動き出す。 家福とみさき、それぞれ苦しさや喪失感を抱えて、その重さを抱えきれずにそれでも生きていて。そんな二人による、人生のつかの間の「並走」。最後の二人の抱擁は、友情とも愛情とも違う、と思う。一人の人と人として、お互いに今まで本当にお疲れ様、、そしてこれからの人生の健闘を祈る、、。そういう含みのある、ひとまず人生の「ノーサイド」であり、ここが二人の長い旅路の分岐点 (別れ) に見えました。 思えば、映画全体に漂う「死」の重くるしさを緩和するように、海岸線沿いを走る赤い車のフォトジェニックな存在感がありました。その姿はいつでも軽快で、そして洒脱だった。 題名からして人生を車やドライブに例える含みはあると思うけど、私はただ映画の広告塔やイメージとして、この赤い車は大正解だったな、と。 【タケノコ】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-03-21 14:19:48) |
12.居心地が良いのは「我が家」の私ですが、次にしっくりくるのは車の中です。 道路状況にはしっかり心を配りつつも、考え事したり音楽でリラックスしたり。 広くはない空間と、人には気を使わなくても平気な所が魅力。 登場人物たちが、車に肩入れするのがよく分かる。 愛車のサーブは助演道具賞。 渡利みさきほどではありませんが、母との関係ではちょっと複雑な育ちの私。 子供だから親の言う通りにしなきゃと思いつつ、腹の中では不満が溜まる。 いい子をやめちゃダメだと自分でも抑えるが、立場から逃げられないが、ストレス多い。 三浦透子さんの、控え目だが芯の通った演技に心を奪われました。 我慢してるけど、辛いんだよね。 西島さん三浦さん霧島さん他、俳優達の心の内面を感じさせる演技に引き込まれた。 ある時は分かりやすく、ある時は謎。 そこにはいつも愛車があり、チェーホフのセリフがある。 映画祭のくだりでは国際色豊か。 韓国の手話俳優を演じたパク・ユリムさんの可憐さに魅了された。 清々しく荒々しい演劇シーンも興味深い。 いつかチェーホフを観てみたいと思わされた。 【たんぽぽ】さん [映画館(邦画)] 9点(2022-03-14 12:04:29) (良:1票) |
11.行き場のない喪失感を抱えながらの主人公の振る舞いがヒリヒリと伝わってきます。 そしてミステリアスな展開に引き込まれます。 違和感や曖昧さが漂うハルキワールドはどちらかというと苦手ですが、長めの上映時間や不自然さも殆ど気にならない。 原作未読ですが脚色に魅了されたかな… オスカー受賞を祈ってます。 【ProPace】さん [映画館(邦画)] 7点(2022-03-09 20:44:46) |
10.《ネタバレ》 興味深いですね。 何故「ワーニャ伯父さん」なのかが、よく分からなかったです。 あの話は見せ場が多いから、劇中劇に使ったのかなぁ? 確かに、車の中での話は面白く、喪失と再生をうたった映画として、 興味深かったのですが、「ワーニャ伯父さん」との統一性が見えずに残念。 死と生(セックスの中も含めて)がよく描かれてたのですが、 それなら「ワーニャ伯父さん」よりもいい戯曲があったんじゃないか?と 演劇をよく知らない僕は思ったのでした(汗) 全編にわたる棒読みセリフが、森田芳光や山田太一を思わさせて、新鮮でした。 【トント】さん [DVD(邦画)] 8点(2022-03-06 00:17:43) |
9.《ネタバレ》 色々な映画祭で賞を取っている本作、では面白いのかと言われれば非常に微妙。劇的な展開もド派手なアクションも、ゾッとする展開や胸を高鳴らせる恋愛やスコアもなし、いろんな言語が飛び交う劇中劇、禅問答のような会話、玄人向けの作品というよりも完全に好みの問題だよね?とう感じです。 では自分はといえば、冒頭5分くらいで「あ、この作品、好き」となった口です。 難しいことは分かりませんが、街や部屋を映すショットや、道の奥/手前に伸びる道と走っていく車、引きの画の構図というか雰囲気がすごく自分好みだったから。 そして、家福の心象世界ともいうべき車内の様子、最初は亡き妻の声以外は受け入れなかったのに、次第に会話をし、タバコを許し、そして音と寝た男との会話で深淵を覗き、今まで目をそらし続けてきたことへ向き合い、主人公2人の投影ともいうべき舞台の登場人物の演技で呪縛から逃れたであろうことを示唆、そして思い出の車の持ち主は、、、という展開は非常に自分好みでした。 同監督の「ハッピーアワー」が非常に好きな身としては、3時間全然時間を感じさせず、むしろ心地いい時間でした。 ただ、これを「面白いから!」とか「いろんな賞取ってるすごい映画だから!」と人には薦めないと思います。 【クリムゾン・キング】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-02-21 03:03:08) |
★8.《ネタバレ》 外国で評価される以前には、日本では話題になってもいなかった映画。 理由がわかりました。 これは、売れません。 見せ場なし、意外性なし、起伏なし、エロは・・変に多くて、お茶の間には無理。 雰囲気は昭和の映画ですね。 カメラワークも大人しいというより手抜き。 セックスシーンが多いのに、絶対胸は見せない。下だけ脱いでって、俳優の都合だけでしょ。 原作は知りません。ただ、この映画自体が、小説の文字読んでるみたいなもの。 延々と会話ばかりで、間に間延びした風景描写。風景は外国人には日本の観光ムービーみたいでウケるの? クライマックスは、一体どこなのか・・? 雪の中で、家福がベソかいてるシーン? それとも、舞台でワーニャを演じるシーン? 家福が泣きべそをかくに至るシーンなんか酷いものだ。棒読みのような会話の応酬。カンペ見てるの? 演劇の稽古の初期に、台本読み合わせしてて、棒読みでやれと拘っているけど、あれが伏線なの? だとして、意味あるのかソレ? 結局不自然な会話で泣き出されて、見てるコッチが困ってしまった。 モロに西島君のドラマ「真犯人フラグ」の相良凌介そのものでした。見てて萎えちまった。
妻とセックスはできるけど、コミュニケーションは上っ面だけで、気のいい夫を演じていただけの家福。 妻はそれが不満なのかわからないが、浮気にドはまり。子供失った後遺症は言い訳でしかない。 すれ違う夫婦仲は、妻の突然死でエンド。家福は責任に苛まれつつ喪失感を引きずる毎日。 出会ったのは、死んだ娘が生きていれば同い年の女性ドライバー。こちらも、生い立ちの不遇から トラウマと十字架を背負っていた。 で、互いにカミングアウトの末に共感、抱き合って号泣。 話は判るんだけど、引っ張り過ぎだし、絵がつまらない。 映画なのに、思い出話聞かされただけの展開。 まあ、土砂崩れ災害の話を、映画だからと映像化したところで、家福にすれば言葉で聞いただけなんだから リアルではないとも言える。 ただねえ・・ 映画としては、会話だけって・・ねえ・・。 まあー撮影は楽だよね。 予算かからない。
いずれ、この話で3時間も引っ張ったのは間違いでしょう。娯楽映画の対極に位置してる。 ただ、なんだかんだ言ってもヨーロッパの評論家にはウケそうだ。あと、ハルキストにもかな・・。 娯楽映画好きの自分にはこの点数。 アカデミーノミネートは、マジ意外です。 【グルコサミンS】さん [映画館(邦画)] 3点(2022-02-19 00:32:47) |