7.《ネタバレ》 トータルでは予想以上の出来栄えでした。
特にVFXが素晴らしく、20年近く前に「ローレライ」という潜水艦映画がありましたが、
その頃と比べて、もはやハリウッドに引けをとっていない映像であり、邦画の技術の進歩を感じました。
艦内の美術セットも良く出来ており、自衛隊が協力して実際の潜水艦を使っているであろうカットもリアルで良いです。
全体的に役者の演技も緊迫感が有り、それぞれの役職のプロらしさがよく出ています。
例えば、やまとのソナーマンの冷静沈着な演技は実に説得力があると思います。
大沢演じる海江田は一抹の不安を感じていましたが、予想以上にカリスマ性を感じさせてくれました。
こういった個々人の演技が、「尋常ではない事態である空気」を醸し出していることは、素晴らしいと思います。
一方で総理があまりにも木偶の坊であったり、
最大級の貫禄を持ち合わせているべき合衆国大統領の印象が薄いのも不満といえば不満です。
ストーリーに関しては、冒頭10分で、これは終わるはずが無いと思っていたら、その通りの結末でした。
原作を知らない人は「沈黙の艦隊」というタイトルの意味するところがさっぱりわからないでしょう。
ストーリーを端折ってしまったら、アクションシーンもじっくり見せられないと思うので、これは仕方ないと思います。
原作と比較してしまうと、どうしても不満点が出てしまいますが、
やはり緊迫感のある演出と、撮影、編集、特撮といった映像の技術は見事であり、
1本の潜水艦アクション映画としては予想以上に楽しめました。
20世紀、ミニチュア特撮でがんばっていた日本特撮映画の歴史を思い起こすと、
隔世の感があります。
時間はかかると思いますが、続編に期待します。
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以上のようなコメントをしていたのですが、12月14日、続編の配信が発表されました!!
もともと制作されていたはずで、劇場版はあえて中途半端なラストにしたのだろうと思いますが、
これで終わることはなく一安心です。楽しみにしています。
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以上のようなコメントをしていたのですが、2月8日、ついに配信が開始されました!!
現在、全8話中、6話まで配信されてますが、改めてこれがホントに日本制作のドラマかというほど、VFXはがんばっていると思います。
劇場版の後の展開では政治ドラマも濃くなっており、木偶の坊だった総理や閣僚たちも、顔つきが見違えて本気になってます。
女性陣が演じる防衛大臣、ニュースキャスター、潜水艦の副長は、劇場版では弱々しい印象でしたが、
この女性陣も見違えて力強い演技になってきています。
大統領の佇まいもサマになってきました。
艦内の細かい描写や原作との差異などで批判も多い作品ですが、
圧倒的な映像を見て、もはや原作とは別物だと思うに至ったし、
そもそもフィクションのアクションドラマで、細かいつっこみをする気も起こりません。
自分はこれだけの映像を実現してくれたことを、全面的に肯定します。
今後、是非とも「やまと」をニューヨークまで行かせて欲しいです。
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以上のようなコメントをしていたのですが、2月20日、続編の制作が決定しました!!
全てが完結するまで、何年かかるかわかりませんが、
日本映画の常識を破る本気のプロジェクトであったのだと改めて認識しました。
国内の映画会社、制作会社、テレビ局だけでは到底無理だったでしょう。
Amazonという日本にとっての黒船がいるからこそ実現できるのだろうと思います。
日本人がアメリカに喧嘩を売る内容の作品にアメリカ資本が協力するということは、映画史上、歴史的なことではないかと思います。
芸術芸能作品の表現に寛容であるという点についてはアメリカという国を尊敬します。
本当に楽しみにしています。