★8.《ネタバレ》 全世界の少年少女が、生まれて初めて読む本格推理小説は、"シャーロック・ホームズ"だと言われている。 この映画「シャーロック・ホームズの冒険」の監督であるビリー・ワイルダーも、少年の頃からホームズファンで、いつの日か自分の映画に登場させたいと考えていたそうだ。
サー・アーサー・コナン・ドイルが創造した、世界一有名なこの探偵とワトスン博士を、ビリー・ワイルダーと名コンビのI・A・L・ダイアモンドが、どうこのホームズものを描くか、大いに期待しながら観ました。
名探偵ホームズとその助手のワトスン博士は、コナン・ドイルが創作した人物だが、世界中のホームズマニアは、彼らが実在した人物のように扱って色々と研究し、なかにはワトスンが女性だったり、はては二人は、同性愛だったなんていう説もあらわれる始末だ。
だからこそ、ビリー・ワイルダー監督も、この映画の題名に"THE PRIVATE LIFE OF SHERLOCK HOLMES"と、"私生活"と謳って、ひねくった面白さを狙ったわけで、こういう事情を知っておいて観ると、この映画の面白さは、一段と増すのではないかと思います。
そして、そこは、さすがにビリー・ワイルダー監督、コナン・ドイルの原作の小説を、ただそのまま映画化するわけがありません。 小説と現実をごっちゃまぜにしたトボけたおかし味を狙って、ホームズの助手兼記録者の、ワトスン博士の孫なる人物が、銀行の保護金庫にあった50年前のワトスン博士の記録を発見。 それによって、ベーカー街におけるホームズとワトスンの私生活や、今まで知られていなかった冒険の一つを再現しようとしたのだ。
そのため、時代考証も凝りに凝って、実にいい雰囲気を醸し出している上に、エピソードの趣向も面白く、特にロシア・バレエの女王からの命令的な求婚を逃れるためにホームズが、デタラメを言ったのがもとで、ワトスンが同性愛者扱いされるあたりは、大いに笑わせられる。
そして、事件は美人のジュヌヴィエーヴ・パージュと共に舞い込んで来る。 このホームズのお色気シーンというのも実に珍しくて、思わずニヤニヤしてしまいます。
彼女の夫の行方を突き止める仕事に取り掛かり、倉庫に隠されていた大量のカナリヤを発端に、次々と手掛かりをたどってネス湖に達するまでの演出も、ワイルダー監督は、悠々たるクラシック調でいい味わいを出していると思う。
だが、ネス湖の怪獣とその正体は、ジュール・ヴェルヌのSF的で、意外と平凡だったのは少し残念。 創作するなら、もっと奇想天外な事件にして欲しかったなと思う。
しかし、そうは言っても、この事件のおかげで、ホームズが背負い投げをくって、照れくさい顔をする光景が見られるし、女スパイの古典的なロマンス・ムードも生まれたのだから、結果的には良かったのかもしれませんが------。
いずれにしろ、いわゆる楽屋オチ的な面白さだけではなく、第一、第二、第三と、いくつもの手掛かりを探って、謎の事件に迫っていく、古き良き探偵小説の面白さと、冒険の楽しさがいっぱい詰まった作品になっていると思います。
出演俳優に目をやると、この映画でホームズを演じたロバート・スティーヴンスは、イギリス演劇界で活躍する役者だし、ワトスン博士を演じたコリン・ブレークリーも、元々演劇界の役者なので、渋くて地味すぎる感じもしますが、しかし、今まで登場したカッコいい英雄的なホームズのイメージをぶち壊して、人間的な魅力と親近感のあるキャラクターになっていたと思います。 【dreamer】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2021-06-02 20:00:02) (良:1票) |
7.ワトソン君の書いた未発表のホームズ譚。というより、内容的には「ボツネタ」という体裁ですね。だもんで、パロディ版のホームズもの、という印象です。ここでのホームズは天才探偵というよりは単なる変人みたいだし、ワトソン君もやたらホームズに噛みついて、これぞ凸凹コンビ。事件の顛末もトホホなものなのですが、ストーリーに関してはバカにしちゃいけない(バカなオハナシだけど)。途中の無駄に思えたエピソードが、無駄にキチンと真相につながっていく(ネッシー騒動まで)のは、なかなかお見事ではないでしょうか。 ところでどうでもいいことですが、硫酸と食塩水で、塩素ガスなんて発生したっけ??? 【鱗歌】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-09-05 10:45:45) |
6.シャーロック・ホームズという人は、もっと尊大で、高飛車で、芝居っ気と茶目っ気があって、頭脳が先走ったらほかのことは全部忘れてしまって、要するに一言で言うと変な人であるはずなんですが。こんな紳士的でおとなしい主人公、ホームズを見ている気がまったくしません。 【Olias】さん [CS・衛星(字幕)] 3点(2015-07-29 20:39:56) |
5.7%か5%で結構な違いですが、ラストで隠し場所を教えてしまっているワトスン氏、医師としてではなく親友として目を瞑ったのでしょう。これではますますホームズが女性不信になりますね。私はロバート・スティヴンスの配役もなかなかよかったと思いますし、ビリー・ワイルダーだからみるという人もいると思うので、すばらしいプロデュースだと思いました。 【HRM36】さん [CS・衛星(字幕)] 7点(2015-07-22 16:23:17) |
4.学校の図書館で原作に読みふけっていた頃に観賞。ジェレミー・ブレットのドラマを観る以前のこと。こだわってビリー・ワイルダーの作品を観るずっと前のこと。原作に時たま見られるような陰鬱な雰囲気は全くなく、小気味良い面白さ。クリストファー・リーが今も印象に残る。 【kagrik】さん [地上波(字幕)] 8点(2012-02-16 09:49:27) |
3.70年ということであまり期待してなかったのがよかったのか、 なかなか楽しめた。 特に前半の展開はわくわくしました。 後半はストーリーの先が読めてしまいましたが、 ワトソンの熱演でなんとかひっぱってくれました。 女王陛下もよかったです。 シリーズ化してあと何作か作ればよかったのに。 |
2.《ネタバレ》 かなり面白い。特に前半は飛ばしていて、笑わせてもらいました。原作を知る人なら、間違いなく楽しめるでしょう。後半から本格的な事件になり、最初のエピソードは何だったんだろうと思いましたが、一応伏線も隠されていました。ミステリーとしては王道ですが、ある程度観客にわかるようにしてあるのがミソ。しかし意外なオチがあり、これには不満な点もないわけではないですが、原作の某エピソードを参考にしたかのような展開で、人の心の機微を描いていたのがよかったです。原題に"Private Life"とありますが、私生活のうちでもホームズの女性関係にスポットを当てています。 残念だったのはキャスティングで、ロバート・スティーヴンスは個人的にはホームズというイメージではありません。クリストファー・リーのマイクロフトもしかり。コリン・ブレイクリーのワトソンはまあよかったのです。ただ、後半はほとんど彼一人が笑いをとっていたのですが、暴走気味で食傷しました。ジュヌヴィエーヴ・パージュが一番のはまり役でしょうか。いろいろな意味で、この人に負っている映画です。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2010-07-11 17:22:35) |
1.《ネタバレ》 ユーモア溢れるダイアローグに興味を誘う意味深な伏線の数々。 かなり期待して展開を見守っていたのですが、結局全貌が明かされて終わるだけの内容(その内容もなんともマヌケですし)。 「シャーロック・ホームズの~」と名乗っておきながら彼の活躍もない(利用されてました、ちゃんちゃんっ)。 【カラバ侯爵】さん [DVD(字幕)] 3点(2007-12-02 23:50:23) |