3.《ネタバレ》 あんないい雰囲気のボロい地下鉄が実在しているのだろうか?
あまりにも美しいシーンが頻発するのでゾクゾクした。物語は正統派ドッペルゲンガーもので特に目新しい点はない。しかしビジュアルと音楽のセンスの良さが突出しており、難しいことを考えずに雰囲気にぼーっと浸るだけで充分満足できる。キリコの絵画やリンチの「イレイザーヘッド」想わせる耽美的で不吉な画に、脳天気な60年代ジャパニーズポップスがからむタランティーノ的な音楽趣味。その組み合わせが上質な不条理感を観る者の脳内に生成させる知られざる傑作です。