2.《ネタバレ》 ヴェンダースの心の底にある、静かな世界観を描いている。
今までのヴェンダースとは一味違う。もともとヴェンダースは静かな作品が多いが、
(パレルモシューティングは例外)さらに静かな本作品。
覇気のない自分の無さげな主人公は、それが目に現れている。
そんな彼が事故を起こし、不幸が拡散する。
事故で息子を亡くすのは、シャルロットゲンズブール。
どこかで観たことあると思えば、あのラースフォントリアーの「ニンフォマニアック」だった。そりゃあ体をはった、あの映画を観てたら、記憶に残るわけだ。
この主役の作家は、ちゃっかり子どもを欲しがる、付き合ってた女性を乗り換え、
別の子連れと一緒になる。
とにかくフワフワしていて、心ここにあらずだ。
しかしこの事故を起こした家の長男との再会が、事態を動かす。
この少年のささやかな犯行のあと、主役の男性は自分が許された感じがしたのだろうか、
この少年を抱擁した後、急に世界が開けてくる。
この世界が開けた一瞬を3Dをつかって、表現している。
うまい3Dの使い方だ。
パレルモではちゃけた感のあるヴェンダースが、また静かな心象風景を撮った。
次の作品はどんな風になるのだろうか?興味がある。