7.ウツツ 女男、二人がおり、男は演じられる女を求めた。 そんな女が奇跡的に現れ、演技をテストするうちに、 果たしてそれが演技なのか現実なのかさまよい始める。 ここの描き方が秀逸で、夢なのかウツツなのか、 演技なのか誠実なのか。 滑稽なのは、最初はばかにしていた女が 目の前で見る魔にアフロディテになることであり、 男が自分が何者なのか失っていくところだ。 【元祖】さん [インターネット(字幕)] 10点(2021-05-14 21:11:53) |
★6.《ネタバレ》 マゾッホ原作の劇中劇をオーディションという体で演じていくという(たったふたりの)会話劇。2人ともかなり(堂に入った台詞を)喋りまくるので、吹替の方が観易いかもとも思うが、この淫靡ながらのエレガントな雰囲気はフランス語でないと出せないだろうとも思う。その意味では、少なくともマゾッホの原作は読んでおいた方がよい映画であろう(本作のために態々読むかは別として)。
現実と虚構が次第に綯交ぜになってゆく展開はかなり繊細ながら個人的にはそこそこ興味深く観れたが、特にエロティック面では最初から最後までさほど過激なシーンも無く、全体としてもやや抑揚を欠く(特に「見た目」がほぼずーっと同じなのは少し気になる)。あと、女優は別に取り立てて悪いと言うつもりはないが、敢えて言えば、若い女優を起用することに何らの問題もない(ので、若い女優にすべきだ)と思う。冒頭のちょっと非常識なノリは、オバハンとしては若干イタイし。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(字幕)] 5点(2020-04-04 18:04:44) |
5.《ネタバレ》 仕方無しに始めるオーデイションだが、演じ始めた女優の豹変振りに息を飲む脚色家の流れは、鳥肌が立つようだった。 ただ、その後の展開は潮が引いたり満ち足りで、その波に乗ることができず、延々と時間が過ぎていくという絶望的な時間を過ごした。 フランス語でなければ成立しない映画かな。 そして攻守を繰り返すSとMの世界は、境界線がわかんなくて焦れてしまった。あれを楽しむのも醍醐味なのかしらん。 |
4.ワンシチューエーションの役者二人のみの会話劇。92年の「赤い航路」が甦るエマニエル・セニエは年増のミミといったところ。対するマチュー・アマルリックの「もう、ここが何処だか・・」と言う芝居と現実の境目がなくなる攻守目まぐるしい展開で見せるM性、S性が絶品。「お許し下さい」「そうはさせない」が堪らない。口紅を塗られた姿はポランスキーの化身のようで、この時初めて彼は若きポランスキーに顔かたちが酷似していると気付く。 お互いへの信頼の上に成り立つSMプレイ。そこが抜け落ちている事への監督の警鐘なのか悔恨なのか。80歳にしてこのような作品を作り上げる監督の数奇な運命を背負って生き抜く強さを敬愛して止みません。 |
3.これはポランスキー監督の懺悔なのか、開き直りなのか、新たなる挑戦の表明なのか。 監督のバックグラウンドと照らし合わせて考えると別な意味も持ってきますね。 【大経師】さん [DVD(字幕)] 9点(2017-04-10 16:48:26) |
2.《ネタバレ》 たまには大人な映画に挑戦しよう!とゆーことで、過去に軒並み低い点数をつけまくってるポランスキー監督作品なのに、しょーこりもなく観てみました。すいません、あたり屋みたいで。でも、あれから、ちょっと大人になったんちゃうかな、とか、よーやくポランスキー監督の作品の面白さがわかってきたとか、なんか確認したくなるんです。で、やっぱ、まだ、今の僕には無理でした。映画は、舞台演劇みたいに、リアルタイムに進行し、実際に舞台演劇のオーディションってゆう内容で、登場人物は演出家と女優の2人だけ。場所も、どっかの芝居小屋だけ。2人のやりとりのどこからどこまでが芝居で、どこが本当の会話か、途中から曖昧になっていくとゆう面白さはなんとなくわかるんですけど、ほんまにMな人を見ても気持ちがわかんねー。なんで演出家があんな風になってしまうのか、全然わかんねー。会話の内容があんまわかんねー。ってゆーか、昔の芸術作品も、結局は性差別、ポルノってゆうのは昔から納得済みなので、そこもイマサラ?って感じで、のれねー。ごめんないさい。 【なにわ君】さん [DVD(字幕)] 3点(2016-09-29 21:50:59) |
1.《ネタバレ》 「毛皮のヴィーナス」。それはマゾヒズムの語源ともなった、19世紀オーストリアの作家マゾッホの代表作だ。そんな愛と被虐と陶酔の物語を舞台化しようと試みる野心的な演出家トマのオーディションに、とある無名の女優が大幅に遅れてやってくる。すっかり日も暮れ、劇場に残っていたのは準備に余念がない演出家である彼のみ。恋人とのディナーの約束を控え、当初は断ろうとしたトマだったが、あの手この手で迫る彼女の迫力に仕方なくオーディションをすることに。とはいえ、相手役の男優はおろか、スタッフは皆帰ってしまい、劇場には自分とその女優しか居ない。トマは自ら相手の男役を務め、毛皮のヴィーナスを演じてゆくのだが、何もかもを見透かしたような彼女の言動に次第に立場が逆転し始めるのだった……。いまだ挑戦的な作品を撮り続ける名匠ロマン・ポランスキー監督の最新作は、そんな男と女の愛と駆け引き、支配・被支配、サディズムとマゾヒズムが軽妙に交錯するスリリングな心理劇でした。確かに、小品ながら円熟味を増したポランスキーの才が冴え渡っている作品であることは僕も認めるところなのですが、さすがに90分はちょっと長すぎるかなぁというのが率直な感想です。全編に漂う上質なユーモアや気品に満ちたエロティシズムなど、いかにも彼らしいモダンな雰囲気は凄く良かったのですが、ずっと同じような画と遣り取りばかりが繰り返されるので中盤から少々退屈に感じてしまう。これで、肝心の主演女優さんが目が覚めるほどの絶世の美女とかだったらまだ良かったのですが、いかんせんこの女優さんが少々お歳を召しているうえにちょっぴり微妙……(解説によると、この人監督の実の奥さんみたいですね。ごめんちゃい笑)。うーん、もう少し突き抜けた何かが僕はほしかった。5点。 【かたゆき】さん [DVD(字幕)] 5点(2016-05-14 22:21:22) |